道具は使い方を間違えれば凶器になる…これは翻訳支援ソフトにも当てはまると最近つくづく思う。
翻訳支援ソフトを使った翻訳は、各文章にブツ切りにされ、表の中で翻訳を進めて行くようなイメージになる。
この時の人間の脳内のイメージは、文書ではなく文章が強く意識される。
文節単位と言う見通しの悪さが、そういう意識に落とし込む。まさに、「木を見て森を見ず」の状態。
百戦錬磨の翻訳者であれば、既に翻訳品質に対する考え方もしっかりとしており、色々な策を講じて、文書としての翻訳品質を確保する工程を追加するだろうが、初心者の方だと、いとも簡単にこの「一行翻訳屋」スパイラルに落ち込んでしまう傾向があるようだ。
前後関係を考えていない。文書全体の流れを把握していない。
そんな状態で翻訳された完成品が、誤訳の山を築くのは目に見えている。翻訳者としての信頼性を大きく傷付け、次の仕事を失うかもしれない。
翻訳支援ソフトを使う意図と目的と方法を明確にし、自分の翻訳作業の一部分に使用するのだと言う明確な意識と、それを自分自身で制御出来る強い意志がない限り、翻訳支援ソフトには手を出さない方がいいと、最近した経験から考えている。
よって、翻訳の
「初心者は翻訳支援ソフトに手を出すな!」
と言っておきたい。