翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

チャンスに逃げず、立ち向かうという事

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あるクライアントの元担当者A君とは、今は直接的な業務の繋がりは無くなったものの、事ある毎に英語の質問を受け、それに対してやりとりをするという仲なのだが、先日、同様に英語の質問を電話で受けている時の事だった。

「海外からくるお客様の前で業務の説明プレゼンを英語でやらないかって所長に言われて断っちゃいましたよ」とA君がポロリと漏らす。

それを聞いて、え!?…と思った訳です。

そもそも、所長クラスから直接指名で来た話を何故に断ったのか?
そんな指名を得る機会は多いわけではない。上にアピールできる大きなチャンスでもある。

彼にとって、そんなに高いハードルなのか?と思い、その後、あれこれと経緯話を聞き、そして彼の TOEIC スコアを聞いてみれば、一昔前の海外赴任経験者レベル。それを聞いて「多少ハードルは高いものの出来ないレベルぢゃ全然ない」と思ったのです。それに英語質問のやりとりで彼のレベルもなんとなく把握していた事と、そういうプレゼンは山の数ほど私自身がこなしてきたので、どの程度のレベルが要求されるのかも分かっていたから、「彼なら出来る」と踏んだわけです。

大きなお世話ながら彼に考え直すように説得しました。

  • 君なら問題なくできるレベルだと考える事。また、そんなに高いハードルではない事。
  • 日々の業務の中で、こんな変化はチャンスと考えるべきである。一生、今の仕事を続ける気か?
  • 上手くいっても失敗しても、人生初めて英語で海外顧客の前でプレゼンをしたという経験は変わらない。
  • その経験したという事が重要で、そこから更に次の事、新しい事が見えてくる。これがきっかけで、10年20年後に全然違う仕事をしている事になるかもしれない。
  • この仕事を断ったままだと、この先、所長から指名されるなんて事は二度とない。自分で門を閉ざす事になる。絶対無理なハードルなら仕方がないが、少し高いと思うレベルならば食らい付け!

大体、こんな趣旨の事を彼に話し、その場は電話を切りました。

人間、日々の繰り返しをしていると、異質なものが入ってくると拒絶する傾向があります。でも、それでは人生が回っていかない。ずっとそこに留まったままになる。いいえ、その状態が維持される訳ではなく、少しづつ精神面も含め悪化していくものです。

変化こそ、チャンスです。人生切り開くチャンスです。そう思って立ち向かうべきだと私は思います。

彼が何故断ったのか?、表向きは「英語に自信がない」というものでしたが真意は分かりません。「怖い」とか「面倒」とか色々考えて「変化」を拒んだのかもしれません。あるいは、失敗する事を恐れるがあまりに断ったのかもしれません。

今日(日付は昨日になるか)、たまたま観ていた「高校生レストラン」と言うドラマの中で先生が最後に言った言葉。

「負けて勝つ」

まさしく、これです。「負けた事に負けない」、負けた事をきっかけに次の一歩へ繋げる。だから、失敗したっていい、駄目でもともと精神でチャンスに立ち向かっていくべきです。

以前、通訳者さん達が通訳者になった経緯などを話す USTREAM 放送があり、その中で彼女達が言っていた言葉がとても印象的に記憶に残っています。

「当たって砕けてもいいから、多少レベルの高い仕事でも、仕事を取って、出来るだけの準備をして立ち向かう。そこで失敗して落ち込んでも、その経験を経ないと分からない事が山ほどある。そこで分かった自分の欠点を埋めるべく、また努力が出来るし、頑張ればいい」

概ね、こんな趣旨の事を話されていました。本当にその通りだと思います。何か少しでも違った明日を夢見るならば、少しでも自分の人生を心豊かなものにしたいならば、失敗なんて気にしないで、チャンスに敏感に反応して取り込んでいく。そういう意識が大切だと思います。

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上述の彼の顛末ですが、翌朝に電話を貰い、「仕事を受ける」と所長に話をしたと連絡を貰いました。そして一週間の準備期間の後、本番を迎え、無事に大役を果たしたようです。顛末記のメールを貰いましたが、顧客から質問が出された程、彼のプレゼンは伝わっていた様子。それに答えられない場面でも所長から「経験だから」と温かい言葉と共にサポートを貰えたようです。「この仕事を受けて良かったです」という言葉で締めくくられた彼のメールを読んで、本当に良かったと思いました。きっと、彼の中で何かが変わったものと思います。ちなみに、彼の作成したプレゼン資料と原稿は、私の方でもチェック/修正に協力させてもらいました。

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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