翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

通役者

ある方が「たまに通訳を褒められるが、そんな時に思うのが『観客に、うまいと感じさせるのも、実力のうち』」と言うツイートをされているのを見かけた。御本人はジョーク半分で仰ってるのかもしれないのだが、私は、その通り!と思わず心の中で拍手。

かつて、インハウスで通訳者を6年ほどやっていたが、今や私は通訳者ではないので、あまり偉そうなことを書いてしまうと怒られそうなのだが、私もこの方と同じ事を考えてアプローチしていた時代もあった。今日は、日頃書かない通訳ネタを書いてみたい。

先日、10年振りに元上司であり元同僚だった方と酒を酌み交わした。その時、彼に「米国取引先の人間が、Terryは英語が上手いと言っていたぞ」とサラリと言われた。社交辞令を大いに含む発言だけども、悪い気持ちはしない。心の中でこっそりと「上手く騙せてた?」と思っていた。実のところ、上手くはない。うまそうに見せていただけかもしれない。

通訳者として駆け出しの頃は、兎に角、自分に自信がなかった(いつまでも、ずっと、なかったが)。そういう気持ちは必ず、通訳してる時の態度だったり声に出てくる。聞いているクライアント、それに相手先に不安な印象を与えてしまう。

「こいつ、大丈夫か?」
「ちゃんと通訳できてんのか?」
「大切な事が相手に伝わってるんだろうな?」
「ちゃんと相手の言ってること、分かってるんだろうな?」

これではもう通訳者以前の問題。お話にならない訳です。

語学学習、通訳技術の向上、そういう能力向上の努力は当然必要なことだが、加えて、こういうメンタル面の訓練も必要だと思うのです。人と直接交わる仕事と言うものは、全てそう言うものだと思います。

昔、私も冗談半分に通訳ネタをツイートしていたが、その中でこんな事をツイートした事がある。

トムクルーズになったつもりで話す。

そう。私は英語がネイティヴ並みに上手いんだ。それも聞いてる側が惚れ惚れするような英語を話すんだ。聞いたことは全部分かるんだぞ。

ここまで極端ではないにしろ、頭の中に雄弁に英語で話をする人間をイメージして、その方を演じて通訳してみる…と言うようなアプローチをした事があります。

まぁ、別にトムクルーズでなくてもいいのですが。

演じる…と言うアプローチをすると、しっかりした英語を話そうと試みるわけですから、自ずと英語を上手くなろうと言う意識が強くなる。そういうモチベーションに繋げる効果もあるように思います。

これって、英語学習者にも使えるアプローチかもしれませんね。

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作成者: Terry Saito

某社翻訳部門の中の人です。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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