翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

英語以外は苦労が絶えない?

うちの取扱言語で一番多いのは、圧倒的に「英語」。これは多分、他の翻訳会社でも同じ状況だろうと思います。国際共通語と言う位置付け故に当然の事だと考えますし、不況になると他言語の翻訳は止め、「取り敢えず英語へは翻訳しておく」と言うクライアントの発注の仕方から見ても、それが理解できます。

従って、英語以外の言語の翻訳取扱量はかなり少なく、その量も景気の影響を受け易い。二番目に取り扱いの多い中国語を除くと、ほぼ年間に数件と言うオーダーにまで落ちてしまいます。もっとも、これはうちのクライアントの特性によるものなので、一般的にそうであると言う事ではないですが、少なくとも言えるのは、英語以外の言語の翻訳取扱量は英語のそれより遥かに小さいと言う事です。

同時に、それらを取り扱える翻訳者はどれ位いるのだろう?と言う疑問が頭をもたげるのですが、私にはそれを知る術がありません。需要と供給のバランスがどのような状況かによって、その言語における翻訳者の環境が大きく違ってくるのだと思います。

今回の翻訳者インタビューで、有難い事に中国語系翻訳者の方とお話ができました。そこには、英語以外の言語で翻訳の仕事をする事の難しさのようなものを感じ取る事ができたと思います。また、自分自身の思い込みを是正できました。

中国語には中国語市場の独自な事情があり、例えば大陸の翻訳者と価格で戦って行かなくてはならない環境にあります。絶対量の少ない(と思われる)翻訳案件を、そう言った大陸の翻訳者と奪い合う図式にあると想像されます。そんな環境の中で、国内翻訳者の強みは何か?を考えると、やはり日本語ネイティブであると言う事でしょう。その特性を生かし、和訳を取り扱う事が強みになるのではないかと思います。

取扱分野に関しては、少し違う考え方でアプローチした方がいいようです。仕事量も翻訳者数も潤沢な英語であれば、ゼネラリストよりスペシャリストを目指す事で、他との優位性を出して仕事獲得へ繋げるアプローチとなりますが、仕事量が限られる言語においては、むしろ積極的にジェネラリストを目指して取り扱える分野の裾野を広げ、より多くの仕事獲得していく必要があるようです。

翻訳者としての仕事をする環境を考えると、この「取扱い量が少ない」と言う状況が、その言語の翻訳を買い手市場にしてしまい、色々な面において翻訳者さん達を苦しめているように感じます。それは、時にエージェント側の対応や態度に現れる事もあるでしょう。案件分野を選べない絶対量のなさ、レート面での大陸価格との競合などが、色々な点に現れてくるようです。レートの面もそうですし、案件の依頼の仕方や依頼の内容などもそうです。また、エージェントの対応では、納品後にレートを値切られたというような話も、その一端だと思います。

今回のインタビューで英語系以外の翻訳者さんとお話が出来た事は、私の意識/認識を是正する上で非常に有意義でした。私自身が日英・英日翻訳者である事から、英語翻訳の環境を物事を考える土台にしていて、英語以外の言語翻訳の環境に沿ったものの考え方が全く欠如している事に気づかされたからです。このブログ記事で何かしら問題提起やアドバイスが出来れば最高なのですが、「べき論」は出来ても現実を理解した話が全くできない…そういう状態だと気づかされました。今後はこの穴を埋めるべく、希少言語の翻訳者さん達にも色々と話を聞いていきたいと思います。

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作成者: Terry Saito

某社翻訳部門の中の人です。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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