一ヶ月ほど前、私はこんなツイートをしたことがあります。
「製造の現場では当たり前のことですが、チェックを入れても不良品はすり抜けます。極論、チェックに100人掛けてもすり抜けます。大切なのはミスが出ない仕組みづくりを考えることです。これは翻訳も同じ事がいえます。「後で直せばいい」という考えは間違っています。最初から一発OKを目指すべきです。」
これは理想論だよ…と仰る人もいます。そう言った途端に、この話はおしまいです。本当の品質改善なんてできるはずもありません。事実、製造業で「最初から全て一発OK」を成し遂げているところはないと思います。但し、極限まで近付ける事は出来ています。
何につけても「研ぎ澄まされる」には、高い次元の目標と意識、意欲があってなされるのですから、そこに自己妥協を持ち込む隙を与えないように努めた方がいいですよね。
以前、スペルは(正確に)覚えよう…という主旨のブログ記事を書きました。私は社内翻訳者時代に発音とスペルを関連付け(完全一致ではないが)、タイピングして手続き記憶としても身に付けるというやり方をしていました。それは一発で正しいスペルを素早くタイプすることが目的です。
間違ったまま、後で修正するという考え方は以ての外ですし、スペル確認の為だけに辞書を引く手間も省きたい。正確に覚えちゃうのが早いです。
一文書内に登場するユニークな英単語の数ってどれくらいだと思いますか?その文書の分野と長さにより差が出ますが、以前、データを採った時の記憶では、少ないものは数百から多いものでもニ~四千語くらいだったと思います。専門用語や固有名詞を除くと、使っている単語数は意外と少ない筈です。
これは一例ですが、何事も「最初から全部一発OK」を目指すと、いろいろと対応手段を考える事ができるので、先入観に捉われず、果敢にチャレンジする事が大切だと思います。それがいつぞやは「自分流」に繋がって行くのだと思います。
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【おまけ】手続き記憶に関して
手続き記憶は短期記憶ですが、繰り返し行うことによって長期記憶として定着します。
生産ラインで製品組立を行った経験のある方は分かると思いますが、作業はすべて決まった手順で覚えます。それにより一連の作業が手続き記憶として定着します。
この記憶の良いところは、同じ作業を効率的かつ正確に繰り返すことができるようになる点です。加えて重要なのは、異質なもの、異常な動作や感覚を感じ易くなり、問題を検出し易くなります。
先のタイピングの例ですと、ミスタイプしたことが自分で認識できるのです。これは、スペルチェッカーで認識されない単語のミスタイプにはとても有効でした。