翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

情報格差

コメントする

先日、SNSの繋がりとはまったく関係のない特許翻訳者の集りに参加させて貰った。SNSを使っていない翻訳者の方達と接触する機会を、以前から欲しいと思っていたので、思わぬところでその機会を持つことができて、とてもラッキーだった。

その集まりに出て、SNSで繋がった方達ばかりとの交流を続けてきた私には、一種のカルチャーショックのようなものがあった。

お話ができたのは数名の翻訳者さん達で、皆さんとはまったく面識なし。名刺を頂けたのは一人だけで、他の皆さんは名刺を持っていなかった。翻訳者同士の交流を目的とした会ではなかったことと、相互に知っている翻訳者が多かった(と推測される)ので、止むを得ないところもあるのかもしれない。ただ、この部分だけを捉えても、「同業者と繋がる」という点において意識希薄なのではないか? という疑問を持った。

帰り道にお話しした翻訳者さんを含め、数名の方と話をしたが、翻訳の情報収集やコミュニケーションのための横の繋がりを持っていない方が、とても多かった。一体、その辺り、どうしているのだろう? と、私の視点から見れば疑問に感じる訳だが、知り合いの翻訳者が(余り)いないことが当たり前という感じだった。翻訳の情報や学習は、ネット経由で翻訳学校の情報を得て、セミナーに参加されるなどしてる様子。

業界誌を知らない方がいたり、JTFやJATを知らない人が多かった。TMとMTの差を理解されておらず、すべてが「機械翻訳」として理解されている方がいたり、「マクロって、それ美味しいの?」と翻訳周辺の技術にとても疎い方も多く、この辺りの話をしていると、SNSで情報収集している翻訳者さん達とは明らかな「情報格差」が生まれていると感じずにはいられなかった。

お話した翻訳者さんに、ネットの翻訳者コミュニティでは色んなグループが出来ていて、その中で勉強会が盛んに行われている話をしたら、とても興味を持たれていた。すかさず、SNSの世界を紹介しておいた。

SNSの利用に抵抗感を持つ翻訳者さんが存在することは理解しているが、その理由の多くはコミュニケーションの面倒さにあるのだろうと思う。SNSを単純にコミュニケーションツールと理解しているところが問題なのだと思う。SNSは生きたナレッジデーターベース。そこのところを強調してSNSを勧めた方がいいのだろう。

SNSの使用の有無で大きな情報格差を生み、それによって翻訳に差が出てる可能性がある。翻訳者とて、新しい流れには敏感に反応し、取り入れて行く姿勢は大切だと思う。

ガラパゴス翻訳者にならないためにも…。

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中