翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

年齢を重ねただけの価値はあるのか?

なぜか、ふと昔のことを思い出したので書いてみる。

数年前、職場で翻訳をしているという親会社の人間が、定年を迎えるので翻訳者として使ってくれないかとボス伝手に言ってきた。

定年間際の人にはこういう手合いが多く、ろくに翻訳というものを調べもせずに井の中の蛙的発想のまま、人脈に頼ってコンタクトしてくるので本当に閉口する。よほど優秀な翻訳者でもない限り、こちらは間に合っている。今いる翻訳者を押しのけて仕事が取れるほどの翻訳の質があるなら話は別なのだが、概ねそんなことはない。気乗りしないまま、仕方なくボスに付き合って面接をすることになる。

こちらは常に「トライアルを受けていただいて合格すれば登録させていただきます」なのだが、これを気に入らない人がこの手合いにまことに多い。よほど自分の翻訳に自信があるのか、もしくは翻訳を舐めているのか、コネで登録して貰えて、仕事がどんどん貰えると思っているようす。

この時の人は本当に酷かった。登録がすんなりいかないことに腹が立ったのか、もしくはトライアルを受けさせられることに腹が立ったのか、10年ほど前にうちに委託したという案件の品質が酷いというレポートを「御社の今後の参考に」という名目で、社長を初め本社の役員も宛先に入れて、退職日にメール発信して退職していった。

返信や反論しようにも、当の本人は退職し、連絡のつけようがない。投げ逃げである。

とはいえ、問題は問題として真摯に受け止めようと、過去の受注記録を調べてみたものの、該当する案件を受注した記録がない。何度も確認したが、やはりない。仕方が無いので、レポートに書かれていることを検証したのだが、確かに翻訳的に問題のある箇所もある。ただ、指摘自体が間違っているものもある。「こう訳すべき」とコメントされているものも社内方言で、一般には通用しないものだったりする。「裏取り」が不充分なまま、NGと結論しているものが多かった。

翻訳というものは、こういう疑問箇所をお互いに意図確認しないと、善し悪しを判断できないところが結構多いのだが、それもしないまま一方的に自分が正しいと主張してこういう行為に出る時点で、この人は翻訳を知らないと言っていいだろう。

一方的評価で「品質が酷い」と周りに流布されては、本当に困ったものである。営業妨害も甚だしい。

自分も定年を機会に翻訳者として仕事をしたいと思っているひとりですが、だからこそ、早くから業界の実際をいろいろな手段で情報収集しているわけですし、二足のわらじをしているわけです。

同じ会社で定年まで勤めただけの人間は、意識の部分で大きく欠けているところが多いと感じるし、甘えが多いと感じる。申し訳ないけど、私も同世代なので、甘ったれた意識で翻訳者にしてくれと言ってくる定年間際の人間には厳しく接するから、覚えておいてくれ(笑)

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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