翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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参考資料という厄介なもの

昨年の翻訳祭セッションでも少し触れた「参考資料」の取り扱いについて。

クライアントや翻訳会社から、ポンと渡されて、その量も紙一枚のものから、本か?と思うほどの大量のものまで、内容も分量もさまざま。時には翻訳原稿にまったく関係のないものが混ざっていたりすることもあります。

挙げ句には、納品した翻訳物に対して「参考資料に合ってない」と怒られたり、「参考資料なんだから、そのまま写すなよ」とクレームを貰ったり、一体、どうして欲しいの?と憤慨した方も多いのではないでしょうか。

参考資料を受け取った翻訳会社(や翻訳者)が、まずすべきことは、受け取った資料が「翻訳指示」なのか単純なる「参考情報」なのかを明確にすることです。そもそも「参考資料」という言葉、特に「参考」という言葉にみんなが惑わされ、資料の位置付けを定義して合意しないまま翻訳作業に入っているところが問題です。

参考資料には概ね以下の3つの目的を持って提供されていると思います。

  1. 用語集
  2. 表現、スタイルガイド
  3. 単純に情報としての資料(原稿の補完)

1と2であれば「参考」ではなく「作業指示」です。資料から拾い上げて(必ず)訳文へ反映させなくてはなりません。もし3の目的であれば、読み込んで原稿の取り扱う分野に関して知識を深めたり、原稿内容に不明点が出れば、参照して原稿解釈をより正確に行うなどして、誤訳しないように努めることになります。

ポイントは、参考資料の内容が翻訳物の評価の基準に使われるのかどうかです。

  • 参考資料を受け取ったら、その目的を提供元に確認する。

一部のクライアントや翻訳会社には、参考資料の位置付けが曖昧なことを逆手にとって、無闇矢鱈に参考資料を送りつけるところもあります。参考資料を渡しておけば、業務指示の手間は省けるし、自分達の責任をある程度回避できると考えているようです。「参考資料に合ってない」「参考資料は参考だから合わせる必要は無い」といった玉虫色の交渉材料に使えてしまうわけです。

 

少なくとも翻訳会社は、クライアントから参考資料を受け取った際、その位置付けを明確にする必要があるでしょう。顧客に対する最終的な品質責任は翻訳会社にあるのですし、翻訳者へ明確な指示をして正しく使用してもらうためには避けては通れないプロセスだと思います。


2016年を振り返る

仕事納めも済み、昨日から冬休み。お正月を迎える準備を始めたところですが、来年に向けて今年を振り返ってみたいと思います。

今年は、あれこれといろいろなことがありました。絞り込むのが難しいのですが、ざっくりとトップ3にまとめてみました。

  1. 日本翻訳連盟の理事に就任
  2. 福岡翻訳勉強会へ遠征
  3. JTF翻訳祭の企画運営に委員として参加、そして、自分の講演

1. 日本翻訳連盟の理事に就任

こればかりは、自分でも驚きの出来事でした。JTFの理事になるなど、自分の中では予定されていなかったこと。これも人の縁というものでしょう。突拍子もない話をいただいて、自分の中でいろいろな葛藤がありました。分不相応、過去の苦しみの再燃と、あれこれ悩むのが私の悪い癖。高が私。失う物もなかろう。私のポリシーである「悩みが深くなり身動きが取れなくなる前に、まずは行動!」を実践した結果です。多くの方々からサポートをいただいたことを忘れてはなりません。その思いに応えなくてはなりませんね。巡り来るものは、機が熟していると考えてもいいのでしょう、次の機会はないのですから。翻訳者視点を軸に、微力ながら頑張っていくのみです。

2. 福岡翻訳勉強会へ遠征

Twitterの会話から、あれよあれよという間に話が決まった福岡翻訳勉強会でのセミナー開催。

関わった全員が時間を捻出してSNSを介して企画運営していく課程は素晴らしいもので、感動的でした。とにかく初動の速さは凄かった。企業の中でも、これだけのチームワークとフットワークで動けるチームは滅多にありません。勉強会も大成功でしたし、私も初めて福岡に行くことができました。今年の一番印象に残るイベントだったと思います。

3. JTF翻訳祭の企画運営に委員として参加、そして、自分の講演

昨年、法人色の強まった翻訳祭を、今年は個人翻訳者に取り戻すという思いで、企画・運営に関わらせていただきました。その想いは少なからず達成できたと思います。来年も、この流れを失うことのないよう、関わっていけたらと考えています。

全セッション中、参加者数が一番多かった私のセッション。壇上から見た会場の凄さは多分一生忘れられないと思います。そして、いまさらで申し訳ないのですが、人前で話をすることの怖さを改めて感じました。学生集会か?と思わせるほどの会場の入りに怖じ気づいたという意味ではなく、これだけの方々へちゃんと伝えられるものになっているのか、伝えられているのかという点においてです。もっともっと精進が必要です。身を正す良い機会をいただいたと考えています。来年は内容充実にもっと時間を割いて、よりよいものにしていきたいと考えています。

 


ということで、2016年、本業に時間を取られる中、そこそこ精力的に活動ができた一年だったかなと感じています。今年も多くの方々にお世話になり、本当にありがとうございました。

来年は本業の仕事環境も変わり、より翻訳に関われることになるので、ツール開発の再開を含め、業界活動にもっと時間リソースを投入できそうです。また、今年積み残した計画は、来年、実現させるつもりです。

2017年もどうぞ、よろしくお願いします。良い年をお迎えください。


逃げるから追いかけられる

今日は、ちょっと翻訳とは関係ない話を書きます。

仕事に限らない話ですが、「やらねばならないこと」「やるべきだと分かっていること」と理解しているのに、あれこれと頭の中でやらない理由を付けて、物事をずるずると先延ばしにしたり、やらなかったりすることがありますよね。やれば、きっと大した手間でもないのに、先延ばしにする。

もちろん「やらない理由」が、リスクマネジメントに基づいた論理的な理由であれば問題ないですが、感情的な理由であったり、好き嫌いの問題であったりと、どこか自分で避けて通ろうという意識が働いて「やらない」場合は、後になっていろいろと問題が起こってしまうものです。以前も書いたかもしれませんが、私は元来チキンな性格で、若い頃はとにかく逃げたり避けたりが多かった。それが理由で、自分が損をしたり、多くの人を巻き込んだ大問題に発展したりと決して良い結果に結びつかなかった経験に照らし合わせても、それは正しいと思っています。

経験的に見ても、逃げると必ず追いかけられます。何から逃げているのかを突き詰めると、それは「自分自身」なんですよね。怠慢やらズルをすると、物理的だったり感情的だったり、何かしらの跳ね返りがあり、それにずっと追いかけられる。事が表面化すると、その帳尻合せに頭を悩ませる。相手のある話なら、他人を巻き込んだ大問題になって、体裁を整えようとさらにズルをする。そして、もっと状況が悪化するという負のスパイラルに堕ちていく。仮に表面化しなくとも、そのことが自分の心を追いかける。明るい気持ちになれるわけもなく、毎日どんよりとした暗い気持ちで過ごすようになる。運悪く、それに慣れてしまって何も感じなくなったら、その時は自分の心を破壊してしまったことになるんでしょう。

自分を欺いて、いったい何を守っているんでしょうね。保身のために取った行動で、最終的には自分を傷つけてしまう。「こうすべき」と判断した自分を「避ける」という「自分への甘え」が元凶なんでしょう。「自分への嘘」ですよね。

仕事においていえば、(追いかけられることなく)元気に明るく毎日を過ごすためには、自分の役務に期待される行動を、個人的な感情に左右されずに取ることでしょう。やるべきと判断されたことは躊躇することなくやり、主張すべき事は隠すことなく主張する。プロであるということを意識すれば、当然とられるべき行動でしょう。

今日は、当たり前のことを書いてみました。


来るものは拒まず

ここ数年の私のモットーは「来るものは拒まず

もちろん、もともとのことわざは「去る者は追わず来る者は拒まず」(さるものは おわず きたるものは こばまず)で、「もの」は人のことを指していますが、冗談話の中では、自分に訪れるすべての事象を「くるもの」と捉えて「くるものは拒まず」と言ったりしますよね。私のモットーは、そちらの「すべての事象」を指しています。

同じ言葉を「何でもかんでも受け入れてしまえ!」と解釈して実行されている方もいるようですが、私は自分なりにルールを決めています。そのルールとは「自分が今までに経験したことがない全てのこと」を「くるもの」として捉え、拒まず受け入れることにしています。

私は元来、かなりチキンな性格で慎重派。自分に自信が無いことも手伝って、石橋を叩きすぎて壊してしまうタイプなので、何か新しいことが訪れると途端に怖じ気づいてしまい、諦めて手を出さないのです。そんな自分を奮い立たせるためのモットーです。

「機会」というものは、自分の状況に関係なく、それも突然訪れるもの。その機会を生かせるように日頃から精進しておけと良く聞きますよね。例え精進していても、人は概ね自己評価の高い人は少なく、ましてや経験の無いことには自信が持てず慎重になるのは当然だと思うのです。

私の場合、自分の性格も手伝って、その辺りが顕著に現れるので、それを打破するためにある時から考え方を変えました。

  • 訪れた機会に次回はないぞ!
  • 私のような者に機会をいただけること自体が幸せなこと、奇跡的なこと。
  • やる前から何も分かるまい?
  • やってみて得られることの方が遥かに重要。(新しい人との繋がりや自分自身の発見がある。)
  • やってみて初めてその先が見える。(山は登ってみないと、その先の景色は分からない)
  • 自身が抱く不安が膨らむ前に受け入れてしまえ。(自分が気付く前に飛び込んでしまえ)

機会が訪れたら、まず自己評価はやめよう。まずは飛び込んでやってみる。それでダメなら、それでいいぢゃんと考えるようになりました。成功しようが失敗しようが「やった」という経験が大切であって、その経験の先に新しいことが待っているからです。そもそも、もともと持ってなかったのだから、失うものもないですよね。

そう考えて実践してからは、いろいろな変化が私の周りで起こるようになりました。身の丈に合わないこともたくさんありましたが、それはそう認識できたことが貴重だと思っています。

怖じ気づかずに、やっちゃいましょう!
(自分に向かって言っている)


品格

電話の応対やメールの文面、そういったものから相手の品格、ひいてはその個人が所属する組織の品格が判断されてしまう。

自分が電話したり、メールした相手の反応から、そんなことを感じたことはありませんか?

お客様にしろ取引先にしろ、全てが大切なビジネスパートナー。初めての問い合わせ相手だって、将来の潜在的顧客かもしれないのですから、相手の身になった丁寧な対応をするのは大切でしょう。

組織で考えると、対外的な窓口となる人材の選択には特に注意が必要でしょうし、然るべき教育を継続的に行う必要がありますね。

みなさんは大丈夫ですか?(自責の念に駆られつつ・・・)


1件のコメント

お願いします。(何を?)


これを読んで、何をいったい、宜しくお願いされているのだろう?と思ったのは私だけ?(笑)
トイレットペーパーを一杯流してあげようか?なんて思ってしまった。
「一度に多量のトイレットペーパーを流すと故障の原因となります。」で良いのではないかと思った。もしくは「故障の原因となりますので、一度に大量のトイレットペーパーを流すのはお止めください。」のほうが良いかな?

この例は別として、「よろしくお願いします」は、いろいろな文書で登場し、例えばコレポンレターの原稿などに良く登場するのだが、「依頼」「要求」の対象を明確に言及することを避けたくて「お願いします」という言葉でごまかしているケースが結構多い。また、書き手が自分の書いたことに対して責任回避したくて乱用しているケースもあったりする。(ハッキリ言って、その思考がずるい)
翻訳するときに困るのだが、前後関係を汲み取って明確に書くと「そんなにハッキリ書かないでください」という顧客からのトンチンカンなクレームが付くことさえある。だからといって、字面で翻訳しては相手に全く伝わらない。インハウスで翻訳をやっていた頃は、この「お願いします」の取り扱いが本当に悩ましかった。

どちらにしても、インハウス時代は、原文の意図を汲み取り、訳文に明確に表すようにしていたと記憶している。


仕事改善の12の視点

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翻訳にともなう周辺作業を改善して、本来の付加価値である翻訳へもっと時間を投入しましょう…という話は以前よりしていることですが、仕事や作業の改善を具体的なイメージに繋げられない方が多いようです。そこで、私が仕事を行っている中で意識している12のポイント(視点)を以下に示します。翻訳という仕事に関わらず、会社勤めの人にも適用できる考え方だと思いますので、少し裾野を広げた書き方にいたします。

1.その仕事をなくせないか?(目的の棚卸)

自分が行っているすべての業務(仕事、作業)について、「なぜ行っているか?」の理由や目的を自分に説明してみてください。もし、目的を考えるのが難しいようならば、「その仕事をなくせないか?」と自分自身に質問してみてください。そうすると言い訳のごとく理由が頭に浮かぶはずです。ただし注意しなくてはならないのは、「エージェントに指示されたから」とか「上司に言われたから」などの「指示」を理由としてはいけません。純粋に、その仕事や作業を何の目的で行っているかを説明してみてください。

明確に説明できましたか?もし、説明できない仕事があれば、それは「改善の余地がある仕事」となります。あなたが「やらなくてもいい仕事」かもしれません。そういった「目的不明な仕事」をリストアップして、それぞれ目的をはっきりとさせるところから改善に繋げます。

2.目的に合った方法か?

目的がはっきりしている仕事に対しても、その目的を実現するために行っている仕事や作業に要するリソース(時間・お金・人など)が見合っているか?という視点で検討します。考え方としては投資リソース対効果を高めることを意識します。具体的な着目点は、この後に示す項目です。

3.情報の転記作業になっていないか?

転記作業ほど馬鹿げた仕事はありません。人間が介在することで付加価値とならず、むしろ仕事の品質を下げてしまいます。(投資する価値なし)

  • なぜ、その情報がそこに必要なのか?
  • どうして、その情報を転記しているのか?
  • どこの情報をどこへ転記しているのか?
  • やめられないか?
  • 機械的に行う方法はないのか?
  • 少なくとも人間の情報認識に頼らない転記方法に移行できないか?

最終目標は、常に「転記作業なし」です。可能な限り、機械的に情報転記が行われることを視点として、仕事やシステムを見直します。

4.タイミングは最適か?

仕事の流れの中で、その仕事や作業をそのタイミングで行うのがベストであるかを考えます。順序を変えることで作業時間を短縮出来たり、間違いを少なくできたりしないかを意識して、仕事を見渡します。

5.誰がやったら最適か?

ひとり完結の翻訳者の場合、関係なさそうに感じると思いますが、これはエージェントやソースクライアントまでを意識して考えるという意味です。「本来、誰がやるべきか」を意識する良い機会になります。(べき論の確立は交渉で必要な理論武装に繋がる)
翻訳会社の中の人は、部署や担当者を意識します。その仕事や作業をより正確に速く行えるのは誰か?どの部署か?という視点で仕事を分析します。

6.もっと速くできないか?

同じ仕事を常に同じ質で「速く」完結させることを考えたとき、何が障害になっているのか?を考えます。速くできない理由を考え、それらに対して改善を図ります。

7.何かと一緒に行えないか?

他の仕事や作業を行うときに、同時に行うと仕事自体をなくせてしまったり、時間を短縮できたりしないかを考えます。例えば、同じ書面を参照しているのに、わざわざ作業ごとにその書類を取り出していたのを、同時作業にすることで取り出しを1回にするといったアプローチが挙げられます。

8.いつも探し回っていませんか?

情報を探すのに「え~っと?」と、毎回、1から探し回っていませんか?仕事に必要な材料を探すのに、脳内で「考える」ようではダメです。すべてをブックマークしたり、インデックス付けしたりして、即情報へ行きつけるように情報管理を改善しましょう。

9.他の人はどうやってる?

井の中の蛙大海を知らずではないですが、ひとりで考えることには限界があります。私が良く使う言葉に「自分の当たり前は他人の宝」というものがあるのですが、これは逆もまた真なりで、他人が行っている当たり前のことが、自分に新たな気付きを生んだり、大きな仕事の改善に繋がったりする。他の翻訳者さんはどうしているんだろう?と興味を持って聞いてみるのは、とても良い結果を生み出します。翻訳会社の中の人であれば、他の職場でのやり方、他社でのやり方なども参考とすべき情報になります。

10.人間の注意力に頼っていませんか?

「注意してやろう」「気をつけるから大丈夫」なんていう根性論的仕事のやり方はダメです。絶対にミスをしますし、そのミスを取り戻すために多大なリソースを無駄に投入する結果になったり、信頼を失う結果になります。「注意力に依存する仕事」を洗い出してみてください。そしてそれらの仕事に対して、1)注意しなくてもできる仕事にできないか?、2)機械的にチェックできないか?、3)機械を使って人間の注意力を高めたり、負担を低減できないか?(WildLightの発想)を考えて、改善しましょう。

会社の中の人に良く見られるのは、システムのまずさを「運用で逃げる」という対処方法です。「運用」とは人間の意識や能力に依存する対処方法で、絶対にミスが出ます。「運用」という言葉に騙されず、誰がやってもミスが出ない方法になるよう改善しましょう。

11.「確認」をなくせませんか?

「確認」を無くすという意識を持つことが大切です。特に、機械やソフトウェアが出力する情報を人間が確認するという作業を定常的にやっていませんか?もし、そうでしたら、その理由を自分へ説明してみてください。例えば、前工程で人間によるデータ入力(転記作業)が行われており、不確実性を含んでいるために(後工程で)確認作業をしているのであれば、その前工程の作業で「完璧」に完了するように作業改善を行えばいいのです。機械がミスするかもしれないからという理由ならば、機械を完璧に仕上げればいいのです。

「確認」という作業は、一度追加すると問題の本質を見えなくしてしまう性質の悪い作業なので、注意が必要です。上流に汚染源があるのに、大きく広がった下流で浄化するには大きなリソース投入が必要になる。「確認」という作業を耳にしたり目にしたら、すぐに「何を確認しているのか?」「確認していることは、どこで作業されているのか?」「なぜ、そこで確実に完了できないのか?」と考える癖をつけましょう。

12.我慢してやってないか?やりづらくないか?

大切なのは「面倒くさい」と感じる気持ちを大切にすることです。やりづらくて煩雑な作業を繰り返して行っているのに痛みを感じないことに危機感を感じてほしい。人間の適応能力のお陰で不感症に陥っていないか、自分の意識の再点検も必要です。「やりづらい」とか「我慢してやってる」と感じられること自体、とても素晴らしい事です。そう感じたら、どう簡素化するかを考えればいいだけです。

みなさんの仕事を見直す一助になれば幸いです。


2016年を迎えて

みなさま、あけましておめでとうございます。
本年も懲りずにお付き合いください。

さて、今年も年頭に目標を書き留めておきたいと思います。昨年は本業の変化に伴い、思うような業界活動ができず、かなりフラストレーションを溜め込んだ一年になりました。その反省(反動?)を踏まえ、今年は、やりたいことを極力優先して活動していきたいと思います。また、今年はいろいろな意味で自分にとって「勝負の年」と位置付けていて、昨年に手を付けられなかった陰のミッションも含め、あれこれと動きを速めていきます。

と言うことで、今年は三本柱ではなく、五本柱で目標を立てます。まず、昨年の三本柱は今年も継続とします。そして新たに二本を加えます。

  1. WildLight
    昨年上期にあちこちで紹介する機会を多く持たせていただきましたが、今年も年初に、東京ほんま会サン・フレアアカデミーのオープンスクールでWildLightを紹介する機会を持たせていただきます。今年は、もう少し分かり易く、使い易いツールになるよう、開発とアップグレードへリソース配分を多くして挑もうと考えています。いろいろと盛り込みたい機能ややりたいことが脳内にたまってきているので、今年はメジャーバージョンアップがあるかもしれません。
  2. ツール開発
    VBAとAutoHotKeyを中心としたツール開発が主体になると思います(一説には息子と話が合うようにC#やらC++を使うかもしれないという話もある(笑))。どちらにせよ、ちょっとした作業改善に役立つ小物ツールは、実業務上でも多数作成しているので、一般向けに使用できるものがあれば、公開していくつもりです。
    また、冗談でツイートした身内対象?の「AHK活用検討会」みたいなものを合わせ技でやるかもしれません。
  3. 東京ほんま会
    勉強会のグループとして他に翻訳勉強会「十人十色」も絡んでいますが、「個人翻訳者のための勉強会」というグループの性格から、翻訳会社側にいる私は、今後、主体的に関わらず、頼まれたら協力する程度のスタンスで関わっていくことに方針変更しました。
    したがって、今後はさらに東京ほんま会へ主軸をおいて活動していきます。昨年はいろいろなテーマでセミナーや勉強会が開催され、とても充実したものになったと感じています。今年もメンバーと相談しながら、楽しく役立つセミナーを開催していきたいですね。
  4. 語学学習・翻訳学習
    あえて目標としてあげなくてはならないほど、危機感を感じています。昨年一年を含め、実務に関与することが少なくなったことで、あらゆる能力と知識が低下してきている状況。これではいけないと、勉強に励みます。ここにリソースを一番多く投入しなくてはならないかもしれません。
  5. 陰のミッション
    何をするのか?(笑)・・・公表できないものの、ちょっと遊びも含めた真面目なミッションです。いずれバレちゃうかもしれませんが。

今年は以前のように、翻訳関連イベントへの出現率を上げようと考えていますので、もし見掛けましたら、お気軽に声を掛けてください。また、WildLightを含め、協力できることがありましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
今年も一年、よろしくお願いいたします。


2015年を振り返って

今年も余すところ、あと一日となりました。

仕事の変化に伴い、セミナーやオフ会などへの参加が激減し、業界活動も思ったように出来ない状況で、本人の中ではかなりストレスを感じた一年でした。

年初に立てた活動の三本柱は、1)WildLight、2)ツール開発、3)東京ほんま会でした。

メインとなるWildLightの開発は、あまり進んだ感じがありません。対訳表をバッチ処理で作成できる機能追加をして、過去の翻訳資産を一括して対訳表化できるようにした程度で、他に目立つ機能追加はできていません。ただ、来年早々にセミナーとオープンスクールがあるので、この年末年始の休みを利用して機能アップを図ろうとしています。

ツール開発はAutoHotKeyを使ったいろいろなツールを公開しましたが、一番大きなものはMildLiteでしょうか。まぁ、これはお遊びツールで、AutoHotKey を勉強するために作ったものなんです。とは言え、テキストファイル群の一括検索(WildLight辞書を検索する)や、閲覧している文書にある用語や単語をWildLight用の辞書として登録する機能は自分でも使っているので、それなりに使えるツールにはなっています(使っている法人さんもあるらしいと噂で聞きました)。

最後の東京ほんま会は、裏方として手伝わせていただきました。取り扱っている題材や会の規模が丁度良く、とても気持ちよくボランティア活動させていただいています。来年も継続して関与していきたいと考えています。

そして「裏ミッション」。結局、何も出来ないまま終わってしまいました。ただし、来年早々に実現させるべく、裏ミッションとして継続します。

今年の問題は、有限であるリソースの多くを本業に取られてしまった点です。この状況は今後も継続しますが、要領が分かってきたところもあり、来年はもう少し上手く(リソースも精神力も)コントロールをして、あれこれと活動に力を注いでいきたいと考えています。

今年一年、いろいろなところでお目にかかった皆様、お世話になった皆様、ありがとうございました。来年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

良い新年をお迎えください。


駅前駐車場から学ぶ、パート2

日本翻訳者協会(JAT)が発行している2015年の「翻訳者の目線」へ寄稿した「駅前駐車場から学ぶ」は、このブログ用に下書きした記事が元になっています。

その記事で紹介した駅前駐車場で、また金額を一日200円に変更するという告知が貼られていました。

そこから50mも行かないところに一日200円パーキングができて以来、朝見る車の量が激減したものの、平日なら日中はある程度、車の量が回復するようす。しかし、問題は多分休日なのでしょう。以前はほぼ満車になる休日が、最近、私が利用した範囲では「満」表示を見たことがなく、空きがかなり目立つ状態です。きっと、売上額に大きな違いが生まれ、値下げを決定されたのでしょう。

さてさて、今日のお話は、ここからです。

面白いのは、フェンスを隔てた隣に、同じく一日300円の時間貸し駐車場があり、そちらは利用する車の量にあまり変化が見られないのです。

隣の駐車場との違いは、その立地条件と規模。隣は駐車スペースが二倍越えの広さで、駅から通じる道の突き当たりにあって直ぐに分かる。それに、出入口が広い。一方、問題の駐車場は、隣の駐車場のフェンス沿いに細長い一本道が8mほどあり、その先にゲートがある。出の車がいると入れない袋小路な作り。初めてだと何処から入れば良いか見つけるのが容易ではない。大きな看板を立ててはいるがゲートの傍で、通りからは遠くて気が付かない。それに、通り沿いに隣の駐車場の大きな看板があって、そちらに目が留まる。

隣の駐車場が1日300円の価格ながら、駐車する車の数に大きな変化が見られない理由は、なるほどと理解できるものだと思います。

JATの「翻訳者の目線」では、「差が評価されるセグメントへ移る」というキーワードで記事を書きました。でも、上記の状況を見ると、顧客はコスト以外の何かに差を見出して利用しているのが分かります。立地条件の良さを積極的に利用する、もしくは悪さを克服する。顧客にすぐに見つけてもらう。分かってもらう。

立地条件を翻訳で考えれば、多分、取り扱える分野や得意分野、そんなところに話は繋がるのではないかと思います。そこを継続的に伸ばし深耕していくことが大切でしょう。そして、それらを効果的にアピールする。ブログでの発信やSNSでの発信なども大切ですよと、以前、「翻訳者よ、実名でブログろう」という記事を書きましたが、これは業界という大枠で捉えた場合の話で、そんな大きな枠でなくても、例えば、ある翻訳会社内という限られた範囲で考えてみても良いと思います。単価と品質が拮抗する翻訳者ゾーンにいるなら、何かしら差別化をする努力は必要です。自分の得意分野とその実力を上手く認識してもらうために、何か行動に移した方がいいでしょう。それは問合せの内容であったり、翻訳物に対するコメント付けだったりするかもしれません。会社訪問して説明をするという手もありかもしれません。

以前、遠方に住む翻訳者さんが上京されて挨拶に来られたことがありました。お顔を見ながら膝を交えて話をする。そこで過去案件の話や分野の話、得手不得手などいろいろと情報交換したことで、その翻訳者さんが担当できる分野イメージが明確になったことと、どの程度の実力をお持ちかを間接的に判断でき、仕事の依頼へつながりました。あがってきた翻訳物は期待を裏切らない素晴らしいもので、その後、継続的に仕事をお願いし、今ではなくてはならない翻訳者のひとりになっています。

どこまで行っても、「翻訳の品質」は優先順位第一位ですし、それが最高の営業ツールです。でも、それを顧客やエージェントに認識して貰うための手段は、あれこれ考えて実行する必要があるのです。袋小路に良い翻訳者がいたって、誰にも気づかれなければ普通の人と同じってことです。今の時代、SNSやブログという手段もありますし、ネット上の翻訳コミュニティもあります。そういう業界的発信と同時に、エージェントやクライアントとのコミュニケーションの中で実行できる営業手法も真面目に取り組むことが、とても大切だと思います。