翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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作業時間計測ツールのすすめ

以前、「翻訳者の時給っていくら?」と言う記事を書きました。

フリーランス翻訳者さんの中には、エクセルなどを駆使して自分の作業時間を細かく記録し、管理されている方もおりますが、上述のアンケートに対して、自信を持った数値を出せる方は少ないのではないでしょうか?

私も仕事柄、作業毎にどの程度の時間を費やしているのか?を知る事を求められていました。DBソフトやエクセルを使って管理しようと試みた事もありますが、長続きしません。

最近、作業時間管理をする上で、とても便利なフリーウェアを見つけたのでご紹介します。PCで仕事が完結する翻訳者さんにピッタリのソフトウェアだと思います。

作業時間計測ツール WorkTimer

このソフトウェアは、作業項目を自分で設定でき、その項目がボタンとして画面に現れます。このボタン画面はモニターの左端、上端、右端…など任意な位置に配置でき、自動的に隠すモードも持っています。

私の場合は、モニターの上端に配置して自動的に隠すモードで運用しています。(Windows7上でで動作しています)

例えば、
・事務処理
・翻訳下調べ
・翻訳作業
・翻訳チェック
と言うような作業項目を登録しているとします。マウスカーソルをモニター画面の上端に移動すると、これらの項目名のボタンが並んだソフトウェア画面が現れ、例えば翻訳作業を開始するなら、「翻訳作業」のボタンをON。作業が終わったら、またソフトウェア画面を出してOFF。もしくは次の作業の項目ボタンをON。これだけで管理できるのです。時間はソフトウェアが勝手に計算してくれます。

レポート機能もあり、一日、一週間、一ヶ月などの期間で集計してくれます。
他アプリとの連携機能もあるようですが、そこまでは使い込んでいないので、よく分かりません。

フリーランス翻訳者にとって時間管理はとても大切です。どこに無駄があり短縮可能なのかを知る為のベースデータ採りに役立つと思います。

時間と言うリソースは有限です。無駄を見つけ改善し、その浮いたリソースを、売上アップのための更なる生産活動に投入するのか、品質アップの為の品質保証活動に投入するのか、将来のための自己投資に回すのか、色々考える事ができると思います。

そう言う検討をするためにもデータ採りは大切です。ご紹介したソフトウェアで、少し真面目にデータ採りをしてみませんか?


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翻訳者よ、実名でブログろう!

SNSを題材とした物書きをしながら、色々と考えを巡らしているのですが、翻訳者にとってネット上で実名を晒す事は、果たしてマイナスなのでしょうか?

SNSをパーソナルブランディングのために積極的に使う通訳者・翻訳者さんは、当然実名を使っています。自らの名前をブランドとして前面に打ち出しているのですから当然ですよね。

では、そうではない通訳者・翻訳者さん達はどうでしょうか?

同業者とコミュニケーションできる程度でいい…と考えている人には、ネットで実名を晒すなんて飛んでもないと考える方が多い事でしょう。

遡る事二年前、翻訳者募集をした事があります。その時の事を思い出してみたのですが、募集戴いた翻訳者さんの情報を見て、一番最初に行った事は、Googleの検索窓に応募者のフルネームを入力し、検索する事でした。

目的は、ネット上にその方の情報が存在しているか?を確認し、その情報を読むためです。

最近は企業の人事が、新卒者採用時にネットで人物検索しているというあれと同じです。

私とネットで繋がっている方であれば、その方を多少なりでも知っている訳ですから、人物理解の参考になります。また、ネット上で実名を使っている方だった場合、例えば、ブログを持っていて、実名で記事を書いている方だった場合には、その記事からどのような方かが分かります。もし、翻訳に関するブログであれば、履歴書・経歴書では表現されない「プロ意識」を理解する助けになり、また、翻訳の実力を類推する事が出来ます。少なくとも実名で勝負している点は、信用できる人物かも?と言う評価に繋がるでしょう。

つまり、ありきたりで能面のような履歴書や職務経歴書では汲み取れない「どんな人なのか?」「信頼できそうか?」「どんな意識を持った人なのか?」と言う人物像を、ネットの情報から得ようとしています。

そういった情報がネット上に見られる応募者を他の応募者より優先するのは、考えて頂ければ分かると思います。

インターネットがここまで普及し、携帯電話やスマートフォンで誰でも検索できる今の時代に、昔ながらの履歴書・職務経歴書だけに依存する従来のやり方を踏襲しているのはナンセンスでしょう。

「ネット検索で見つからなければ、存在していないのと同じ」

良く聞く言葉ですね。今の時代、翻訳者も同じ事が言えるのかもしれません。仕事を得る上で、エージェントやソースクライアントとの接触が不可欠な翻訳者や通訳者にとって、ネット上で実名を使って活動する事のメリットは大きいと思います。

こんな実例があります。ある応募者は、自己アピールにご自身のブログのURLを書いておられました。勿論、アクセスして読ませて頂いたのですが、しっかりと実名でブログを書いておられました。ブログ記事から読み取れたのは、ある分野の知識にとても明る事。翻訳品質を確保するための仕掛けを色々と生み出し、実践されている事。勉強に余念が無いと言う事。そして、TRADOSに精通している事でした。

他の応募者は後回しにして、この方に即座に連絡をつけたのは想像できると思います。

逆にマイナス評価になる場合があるのでは??と心配になりますか?
そんな方には逆に質問したくなります。「マイナス評価になるような事をネット上でやっているのですか?」

少なくとも実名を使うとしたならば、自分にマイナスとなるような間違ったことはやらないでしょう?

プライバシーに関する情報を出す時には注意が必要になりますが、通訳者・翻訳者さんは実名でのネット利用が意外なところで有利に働くのだと言うことを知って欲しいと思います。

皆さんも、実名でブログを書きましょう。


レートのお話

翻訳者が得る報酬(レート)は、皆さんの興味が高いトピックであるにも関わらず、その実態はなかなか見えてきません。お金に関する事を公の場で言及する事は憚れるイメージがあるからだと思います。

業界誌が時々、レートに関する特集記事を掲載していたり業界団体が調査した結果を公開していたり、そういった情報を拠り所にしているわけですが、中にはそれらの情報や実態とはかけ離れた情報を公開しているサイトも見かけます。

私の脳内にある基準は、コーディネータとして自分が設定した(翻訳者さんへの)レートにあるわけですが、これも、あれこれ調べたり翻訳者さんに問合せたりして、最終的に経営的制限レンジから翻訳者さんの実力に応じて決定したレートです。幅の広い「世間水準」の何処かに位置している筈ですが、それが果たして翻訳者さんにとっての本当の適正水準であるかは、正直わかりません。

何をもって適正と言うのか?

いろいろと議論がされている話ですが、私はその解を持ち合わせていません。以前行った翻訳者インタビューの中で、翻訳者さんと翻訳会社/クライアントの間で、どういう経緯を経てレートが決定されているかを伺ってきました。

  • 自分から提示(自分から積極的に言う場合と、エージェントから問われて言う場合を含む)
  • エージェントから提示

当り前ですが、具体的額面が提示されるのはこの2通りしかありません。皆さん、どちらのケースも経験されていました。では、翻訳者側から提示する場合のそのレートは、何に基づいて決定されているのでしょうか?

実績値と目標値

そのように感じました。概ね実績値を基準としてレート提示しているようです。(その実績値も遡っていくと、エージェントからの提示レートと、自分が算出して提示したレートに行き着くようです。)

一方、家族を養う立場にある方の考え方は少し違っており、生活を守る上で必要な収入はいくらか算出し、それに基づいて自分の能力・こなせる翻訳分量などを考慮した上で必要なレートを決定し、それを目標として交渉されているという方が複数名いました。

この考え方は「自分の適正レート」を認識するという意味では、正しいと感じました。無闇にエージェントの提示額に翻弄されるより、このような方法で自分の目標値を自分なりに定めて交渉する。こういうアプローチが大切だと思います。

  • 貴方の適正な翻訳レートはお幾らですか?
  • そして、その根拠は何ですか?

丸腰で交渉のテーブルに着くような意識は、フリーランスにあってはならないと思います。ですので、少なくとも自分自身の中で、これらの問い掛けに答えられる自分なりの解を準備しておく必要があるでしょう。

「最初が肝心」

概ね、翻訳者自身もエージェント自身も、実績値を拠り所にする傾向が強いことから、将来的なレートアップを考えると「最初が肝心」と思います。

翻訳者側から提示する場合、実績値、もしくは実績値に幾ばくか上乗せしたレートで提示するのだと思いますが、すんなり受け入れられる場合もあるようですし、その後に交渉が入るケースもあるようです。一方では、エージェント側からレートの提示がされ、期待値通りかそれ以上であれば受け入れ、そうでない場合はやはり交渉になるという流れでしょう。

そこにはいろいろな思惑と交渉があって、決定に至るプロセスは一概にいえないのは勿論ですが、相手との将来的継続性の考慮やレートの2段階提示(最初いくらで品質確認後いくらと言うようなスタイル)による妥協点模索とか工夫が見られます。ただ、概ねいえるのは、条件によって交渉決裂にするレートを翻訳者さん自身が決めていて、それを基準として判断されているということです。

自分自身の中に「最低レート、最低条件」をちゃんと定義付けておくことが大切です。

さて、レートって上がるものでしょうか?

フリーランス翻訳者さんとの会話で分かるのは、上がらないと考えている方が多い。さらに、上げようと交渉されている方が少ないという印象を持っています。

先に言及した家族を養う立場にある翻訳者さんは、その辺りの意識がまったく違います。定期的に、例えば年に一回はレート交渉をされている方もいました。実力、貢献度が上がってくる訳ですから、恥ずることは何もないと思います。

エージェントは、翻訳者を入れ替えつつ、良質で安価な翻訳を仕入れる動きをしています。ビジネスとして当然の流れです。

翻訳者も同じ動きをするべきだと思います。エージェントを変えながら、自分の翻訳の価値を理解し、適正レートで買い取ってくれるエージェントに変えて行く。そう言う意識を持つ事も大切だと思いますし、実際にそういう動きを取って行く事も大切だと思います。

レートは、自らの翻訳という仕事の価値を表現する具体的なもの。もう少し「意識」して、自分なりの考えを持って価値を高める事に力を注いでも良いのではないでしょうか?


名刺って役に立っているの?

イベントやオフ会で、多くの翻訳者や翻訳関係者とお目に掛かり名刺交換をしていますが、時々、いただいた名刺を眺めながら「う〜ん、どんな方だったっけ?」と思い出すのが難しいことが多いです。

まぁ、私個人の記憶力の無さの成せる技なんですが、一体、名刺を見て、何人の方を思い出せるのか?を調べてみました。

  • 名刺を見て、顔を思い出せる: 30.9%
  • 思い出せないけどSNSで繋がっている: 3.6%
  • 写真付きの名刺: 5.1%
  • ツイッター名刺: 1.4%

以前、「Twitter名刺は必需品」という記事を書きましたが、Twitter利用者が限られた数なのか、もしくは、まだまだTwitter名刺が普及していないのか、思ったより少ないですね。

ざっくりと大まかに見ると、名刺からご本人を思い出せる比率は1/3程度という事になります。先日、業界の大御所(笑)にお会いした時、名刺からどれくらいの方を思い出せるか?という質問をしたところ、1/3より遥かに少ないと仰っていました。もっとも、私のような数百程度の名刺の数と、数千という名刺の数を比較するのが間違いかもしれません。

私のデータではありますが、この数値から考えても、名刺から本人を認識できる確率はとても低いという事です。では、何故、本人を思い出せないのか?なのですが、逆に「何故、覚えているか?」の理由を羅列してみます。

[全く繋がりが無かった方の場合]

  • 初めて名刺交換した時に、かなり深い話をした。もしくは、とても興味深い話をした。
  • その後、イベントやオフ会で何度かお目に掛かった。お話をした。
  • 名刺にSNSアカウント名が書かれていて、その後、SNSで良く絡むようになった。
  • 名刺に写真が入っていた。

[SNSで繋がっていて、初めてお会いした場合]

  • 名刺にSNSのアカウント名やIDが書かれていた。もしくはアイコンが入っていた。
  • ツイッター名刺も貰った。

どちらのケースでも共通していることとして、以下の2つがあります。

  1. 名刺交換前、もしくは以後に、SNSでのコミュニケーションやFace to faceのコミュニケーションがある。
  2. コミュニケーションをしている世界(例えば TwitterやSNS)に存在する本人と、現実のご本人を繋げる情報が名刺に記載されている。

やはり、コミュニケーションがないとまったく記憶に残りません。コミュニケーションを通して、本人と名前のリンク付けがされていくことがポイントだと思います。しかし、実際にお目に掛かってコミュニケーションするという機会を、そんなに簡単に持てるものではありません。ましてや居住地域が違えば、実際に会う機会は皆無かもしれません。そこで、積極的に使いたいのがSNSです。オンラインとはいえ、コミュニケーションする機会が簡単に持てます。ポイントとなるのは、SNSに存在する本人と、実際の本人とのリンク付けだと思います。情報のリンク付けを考えた場合、こんなことを工夫すると良いかもしれません。

名刺の情報リンク

まず、名刺と本人のリンク①は、記憶とともに薄くなり、いずれ、名刺から本人がイメージできないようになるでしょう。そこで、そのリンクを少しでも保てるように、本人の写真(②)を名刺に入れるなどの対応が考えられると思います。つまり、何か名刺に「細工」をするしかなさそうです。ある講演会で、三つ折りの名刺を渡すことでインパクトを与え、覚えて貰うという方法が紹介されていたようですが、それも1つの手でしょうね。次に、先に挙げたSNSとのリンク③です。相手の頭の中では、SNS上に存在する本人2を認識しているので、その本人2と実際の本人へのリンク(情報の橋渡し)が必要となります。そのリンク付けの1つの手が、前述のツイッター名刺ですが、他の方法として通常使用している名刺にSNSアカウント名を入れたり、アイコンを入れたりすることが考えられるでしょう。

とにもかくにも、思い出せない名刺のトップは、企業系の名刺。どの名刺も同じ顔をしていて、本人と繋がる情報リンクが少な過ぎるので記憶に留まりません。また、そういう企業系名刺のスタイルが一般的であるという印象が強いのか、同様のスタイルで名刺を作成されるフリーランス翻訳者さん達を見掛けますが、同様に記憶に残りません。やはり、名刺も営業ツールの1つと捉えるならば、自分を売り込み、記憶にとどめてもらえる名刺にする方が好ましいですよね。勿論、名刺を渡す相手によってはビジネス慣習を逸脱しない名刺を使用することも大切ですので、TPOに合わせて名刺を使い分けるなどの工夫が必要かもしれません。


中途半端な職業人意識

たまたま見掛けたある翻訳者さんのブログ記事を読み、腰掛け的職業人意識に違和感を覚えたので、少し記事を書いてみる気になった。

察するに兼業、つまり二足の草鞋で翻訳者をされているようで、いかなる事においても、未だかつてエージェントと交渉と言うものをした事がない様子。特殊な作業の依頼も、その仕事の報酬が不明のまま請け負っているようで、更にはその仕事の報酬が自分の意にそぐわない結果になっても、「生計を立ててる訳ではないので、少なくても良い…」とも取れる記事内容。

要するに依頼される仕事の納期やレートは、エージェントや依頼元の言いなりで請け負っていると言う事でしょう。それに、交渉を嫌がって、理屈の合わない自己完結をしている。

「翻訳」と言う仕事に関わっているだけで満足と言うタイプなのかもしれません。

困ります。こういうのは本当に困ります。

翻訳とその周辺作業を含め、エージェントの言いなりに買い叩かれても文句も言わず、従順にこなしてしまう。

「翻訳」の価値を無闇に下げて貰っては困るのです。ブラックな翻訳エージェントを蔓延らせる原因にもなってるでしょう。

私などから見れば、この方は仕事にプライドを持ってやっているのだろうか?…更には、その先まで思いが及んで、ちゃんとした仕事が出来る人なのだろうか?と勘繰ってしまいます。ある意味、プロ意識の欠如した翻訳者と言う印象を持ちます。

自分が成す仕事の評価は、まずは絶対評価であるべき。そこから相対評価との差を認識して、その穴を埋める為に(一部)交渉すると言う作業が入るのでしょう。加えて、意識と姿勢はビジネスライクであるべきです。

フリーランサーは別にエージェントに雇われてる訳ではありません。個人事業主として、エージェントと相互協力の関係にある訳で、同じ目的に向って協力し合う関係という意識が必要と思います。つまり、ビジネスをする上では(理想的には)対等な立場という意識が必要でしょう。