翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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生成AIで「もうひとりの翻訳チェッカー」を育てる

個人翻訳者が自分の翻訳をチェックするとき、避けて通れない問題があります。
それは、チェックする目がひとりしかないということです。

翻訳を終えたあと、何度も読み直して誤りを探す。時間を置いてチェックしたり、チェックする場所を変えたり、いろいろ工夫している方も多いでしょう。しかし、自分が翻訳した文章には、どうしても思い込みが入り込みます。正しく翻訳したつもりになっているため、誤りがあっても気づかずに読み飛ばしてしまう。ケアレスミスの厄介なところです。品質保証の観点からいえば、こうしたミスの流出を防ぐ簡単で有効な対策のひとつがダブルチェックです。自分とは別の人間がチェックするダブルチェックのことで、本人が見落とした誤りを検出できる可能性が高くなります。

ところが、個人翻訳者の場合、別のチェック担当者は基本的にいません。外部委託するという方法もありますが、契約上の制限や、コスト的問題で必ずしも確保できるわけではありません。
そこで、生成AIをもうひとりのチェック担当者として使おうという発想です。

もちろん、生成AIは人間のチェッカーと同じではありません。間違った指摘をすることもあれば、誤りを見落とすこともあります。それでも、自分とは異なる方法で文章をチェックする目が加われば、ひとりでチェックする場合よりも、誤りを検出する機会を増やせるはずです。つまり、生成AIを使って疑似ダブルチェックを可能にするのです。

多くの方が誤解されていると思うのですが、生成AIに「この翻訳をチェックしてください」と指示するだけでは、期待するチェック結果は得られません。人間の翻訳者やチェッカーに指示を与えるときと同様に、自分の翻訳に対する考え方や判断基準を指示として与えることで、自分の翻訳を理解したチェック担当者に生成AIを育てていきます。
今回は、そのための方法をご紹介します。

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オンデマンド配信が始まりました > #JTF翻訳祭

本日(10月1日)より、第35回JTF翻訳祭のオンデマンド配信が始まりました。

今年は、「『気をつける』から脱却するケアレスミス対策と品質保証の考え方」というタイトルで、私も登壇していますので、ご興味のある方はご覧ください。

なお、この講演では以下の資料を配付しています。

  • 配布用_2026年JTF翻訳祭講演資料
  • 翻訳・翻訳チェックのための生成AIプロンプト実践設計
  • ChatGPTによるローカルLLM評価
  • LM_Studio導入ガイドブック
  • LM_Studio_Bionic_導入マニュアル
  • LM_Studio_Bionic_翻訳・翻訳チェック実践活用ガイド
  • Dify導入ガイドブック
  • JTF日本語標準スタイルガイド第4.0版.md
  • JTF日本語標準スタイルガイド第4.0版_直接利用プロンプト.txt

私の講演内容には興味ないという方も、配信が始まりましたら、どうぞ配布資料を持っていってくださいませ。

どれもこれも生成AIに関する資料ばかりですが、これらの資料を見て、自分の生成AIの使い方と比較してみて欲しいのです。そして、果たして自分は生成AIを正しく評価できているかを考えるきっかけにしていただけると嬉しいです。


【翻訳の日】この10年を振り返る

9月30日は「翻訳の日」です。
日常ではあまり深く考える機会がない「翻訳」について、この機会に、少し長い時間軸で翻訳という仕事を振り返ってみたいと思います。

10年前の2016年と、2026年の現在。わずか10年ですが、翻訳を取り巻く環境は大きく変わったと感じています。
翻訳界隈では、最近、生成AIに関する情報を頻繁に目にし耳にする機会が増えてきました。この流れは、実は、10年前から始まっていたことです。そこで、これまでの10年間を私の知る範囲で振り返ってみます。

ニューラル機械翻訳の登場

2016年当時、CATツールや翻訳メモリはすでに存在していました。2016年9月にGoogleが、Google Neural Machine Translationを発表し、11月にGoogle翻訳にNMTが導入され、それ以前の統計的MTの翻訳出力に比較して、飛躍的に質の高い出力がされるようになりました。翌2017年には、現在の生成AIにつながるTransformerが発表され、そして同年8月にDeepLが登場しました。

NMTの登場は、翻訳業界でも大きな話題になりました。(一社)日本翻訳連盟が発行している翻訳通訳白書(当時、翻訳白書)の2017年版には、「機械翻訳の普及という昨今のトレンドを考慮し、機械翻訳も調査対象に加えました」とあり、法人向け質問に「機械翻訳の活用状況」が初めて加わりました。この状況から見ても、NMTが翻訳業界に与えたインパクトの大きさがうかがえます。
「自社サービスですでに(機械翻訳を)活用している」が15.6%、「自社サービスで活用していないが(利用を)検討している」が35.5%という回答状況から、機械翻訳利用へシフトしつつある状況であったと想像できます。

生成AIの登場と業界への浸透

ChatGPTの登場は、2022年11月末です。最新(2024年版)の翻訳通訳白書によれば、「時々使用する」まで含めた機械翻訳の使用率は66.4%でした。なお、記載された情報では、機械翻訳と生成AIは明確に区別されておらず、すべて「機械翻訳」にまとめられているようですので、このデータからは生成AIの浸透度は判断できません。最新情報として参考になるかと2026年のEuropean Language Industry Surveyを参照しましたが、やはり「機械翻訳」と「生成AI」の区別は曖昧のようです。2024年版翻訳通訳白書の調査当時(2025年3~4月)は、企業がやっと生成AIを導入し始めていたタイミングだと思いますので、いま調査するとさらに高い数字になるだろうと想像します。

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いきさつ

あまり外に対して書くことではないのだか、個人的な都合(いきさつ)を書いてみようと思います。

JTF理事を2022年に退任した理由は、実は家庭の事情によるものでした。故郷でひとり暮らしをしていた80代半ばの母親が癌を患い、手術をしたもののすべては取りきれず、薬事療法を続けながら共存していくという状況にありました。簡単にいえば、寿命が先か病気が先かという状態でした。症状と状況を見ながら看護・介護などの対応をしていくわけですが、事態によっては私自身が勤めを辞めて故郷に帰り、対応することも視野に入れていました。

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日本翻訳連盟の監事に就任いたしました

本日、6月8日に開催された日本翻訳連盟 社員総会にて選任いただき、監事に就任いたしました。

2022年に理事を退任して以来、4年振りにJTFと関わります。監事は理事とは大きく立場が違い、定款の第22条に記されているとおりで、理事会や会長が適切に法人を運営しているかを、独立した立場で監査する役員になります。

縁の下の力持ち的な立場で、サポートしていけたらと考えています。

今後とも、日本翻訳連盟をよろしくお願いいたします。