翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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PDF原稿と紙原稿

翻訳依頼を請ける際、原稿がPDFファイルの場合がありますよね。Office系アプリケーションから出力されたPDFだったり、印刷された文書をスキャンしたPDFだったり、最近は減りましたが手書き文書のスキャンPDFなんてこともあります。

さて、こういう原稿を受け取ったとき、皆さんはどう対処しているのでしょう?

まずは、翻訳を行える電子データへ変換する作業が必要になりますよね。ところがPDF次第で、変換したデータの出来が大きく違ってきて、原稿ファイル作成まで多くの作業工数を必要とします。私は Acrobat を利用してワードファイルへ変換していますが、なかなかうまくいきません。段組された文書は概ねぐちゃぐちゃになります。不要な改行があちこちに入り、文字間にも意味不明なスペースが入るなど多くの修正を必要とします。私は、拙作のWildLightを使ったり、ワードの置換機能を使ったり、あとはコピペを駆使しながらこれらを修正しています。

さて、これは本来、誰の仕事でしょうか?

そう、翻訳会社の仕事です。そもそも翻訳単価には、そのような付帯作業費用は(契約にもよるが)含まれていないからです。翻訳者にPDFファイルをそのまま原稿として送付してきた場合、「PDFを翻訳可能な原稿へ変換する」作業費もちゃんと交渉/請求しましょう

現代の翻訳は、翻訳原稿が翻訳可能な電子データであることを前提として、翻訳会社や翻訳者の仕事が組み立てられています。翻訳を行う中でいろいろなツールを使ったり、品質保証のためにツールを使っていますが、それらを可能にしているのは原稿が電子データだからです。つまり、PDF原稿や紙原稿は、通常の工程では処理できない原稿形態ですから、通常の翻訳案件より費用が掛かるのです。ちなみに私のところでは、クライアントに対し、上記の説明とともに「PDF原稿費」という原稿変換作業費を請求するようにしています。これはカスタマーエデュケーションする上で取り入れた方法のひとつです。

クライアントは、OfficeファイルだろうがPDFファイルだろうが、翻訳に掛かる工数は変わらないと考えているケースがほとんどで、原版のOfficeファイルがあるのに、何も考えずにPDFファイルを送ってくる。「作業がやりやすいのでOfficeファイルを」と要求しても、彼らには切迫感がないので(調べる手間を渋って)素直に対応してくれないのです。そこで、必要な作業費を明確に請求するようにしたのです。それ以来、クライアントはPDFの元となったOfficeファイルを社内で調べ、Officeファイルを提供してくれるように変わってきました。

正統な作業費を請求することは、顧客(クライアント・翻訳会社)に正しい知識を持って貰う上でも大切なこと(値引きをするとしても、その項目は明確に請求書上に残しておくことが大切)。仕事を依頼されたら、翻訳とその付帯作業に分け、委託費が不明なものは問い合わせるようにしましょう。

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