翻訳横丁の裏路地

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名刺って役に立っているの?

イベントやオフ会で、多くの翻訳者や翻訳関係者とお会いして名刺交換をしていますが、時々、頂いた名刺を眺めながら「う〜ん、どんな方だったっけ?」と思い出すのが難しいことが多いです。

まぁ、私個人の記憶力の無さの成せる技なんですが、一体、名刺を見て、何人の方を思い出せるのか?を調べてみました。

  • 名刺を見て、顔を思い出せる: 30.9%
  • 思い出せないけどSNSで繋がっている: 3.6%
  • 写真付きの名刺: 5.1%
  • ツイッター名刺: 1.4%

以前、「Twitter名刺は必需品」という記事を書きましたが、Twitter利用者が限られた数なのか、もしくは、まだまだTwitter名刺が普及していないのか、思ったより少ないですね。

ざっくりと大まかに見ると、名刺からご本人を思い出せる比率は1/3程度という事になります。先日、業界の大御所(笑)にお会いした時、名刺からどれくらいの方を思い出せるか?という質問をしたところ、1/3より遥かに少ないと仰っていました。もっとも、私のような数百程度の名刺の数と、数千という名刺の数を比較するのが間違いかもしれません。

私のデータではありますが、この数値から考えても、名刺から本人を認識できる確率はとても低いという事です。では、何故、本人を思い出せないのか?なのですが、逆に「何故、覚えているか?」の理由を羅列してみます。

[全く繋がりが無かった方の場合]

  • 初めて名刺交換した時に、かなり深い話をした。もしくは、とても興味深い話をした。
  • その後、イベントやオフ会で何度かお会いした。お話をした。
  • 名刺にSNSアカウント名が書かれていて、その後、SNSで良く絡むようになった。
  • 名刺に写真が入っていた。

[SNSで繋がっていて、初めてお会いした場合]

  • 名刺にSNSのアカウント名やIDが書かれていた。もしくはアイコンが入っていた。
  • ツイッター名刺も貰った。

どちらのケースでも共通していることとして、以下の2つがあります。

  1. 名刺交換前、もしくは以後に、SNSでのコミュニケーションやFace to faceのコミュニケーションがある。
  2. コミュニケーションをしている世界(例えば TwitterやSNS)に存在する本人と、現実のご本人を繋げる情報が名刺に記載されている。

やはり、コミュニケーションがないと全く記憶に残りません。コミュニケーションを通して、本人と名前のリンク付けがされていくことがポイントだと思います。しかし、実際にお会いしてコミュニケーションするという機会を、そんなに簡単に持てるものではありません。ましてや居住地域が違えば、実際に会う機会は皆無かもしれません。そこで、積極的に使いたいのがSNSです。オンラインとはいえ、コミュニケーションする機会が簡単に持てます。ポイントとなるのは、SNSに存在する本人と、実際の本人とのリンク付けだと思います。情報のリンク付けを考えた場合、こんな事に工夫すると良いかもしれません。

名刺の情報リンク

まず、名刺と本人のリンク①は、記憶とともに薄くなり、いずれ、名刺からは本人がイメージできないようになるでしょう。そこで、そのリンクを少しでも保てるように、本人の写真(②)を名刺に入れるなどの対応が考えられると思います。つまり、何か名刺に「細工」をするしかなさそうです。ある講演会で、三つ折りの名刺を渡すことでインパクトを与え、覚えて貰うという方法が紹介されていたようですが、それも1つの手でしょうね。次に、先に挙げたSNSとのリンク③です。相手の頭の中では、SNS上に存在する本人2を認識しているので、その本人2と実際の本人へのリンク(情報の橋渡し)が必要となります。そのリンク付けの1つの手が、前述のツイッター名刺ですが、他の方法として通常使用している名刺にSNSアカウント名を入れたり、アイコンを入れたりすることが考えられるでしょう。

とにもかくにも、思い出せない名刺のトップは、企業系の名刺。どの名刺も同じ顔をしていて、本人と繋がる情報リンクが少な過ぎるので記憶に留まりません。また、そういう企業系名刺のスタイルが一般的であるという印象が強いのか、同様のスタイルで名刺を作成されるフリーランス翻訳者さん達を見掛けますが、同様に記憶に残りません。やはり、名刺も営業ツールの1つと捉えるならば、自分を売り込み、記憶にとどめてもらえる名刺にする方が好ましいですよね。勿論、名刺を渡す相手によってはビジネス慣習を逸脱しない名刺を使用することも大切ですので、TPOに合わせて名刺を使い分けるなどの工夫が必要かもしれません。

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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