翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


JTF:日本翻訳ジャーナル #usterry

本年度初号の日本翻訳ジャーナル5月6月号が公開されています。

今年度から、JTF会員でなくても、誰でも無償でダウンロードして閲覧できるようになっています。
下のリンクからJTFのホームページに行き、ダウンロードして下さい。

日本翻訳ジャーナル

今年度、私は編集委員としてコーナーの1つを企画させて戴いています。このブログを「裏通り」とした背景から、業界紙という表舞台の活動になりますので、「翻訳横丁の表通り」というコーナー名に致しました。

私のコーナーでは、「Twitter/SNS 等のネットワークと翻訳者」「翻訳者と翻訳会社の関係」 という 2 つのテーマを取り扱っていきます。

今回号は、13日(日)に一緒にUstream放送をする @transcreative こと清水さんに寄稿頂いています。Ustream放送の内容にも被るところがあると思いますので、是非、アクセスしてご覧頂ければと思います。また、お知り合いに、日本翻訳ジャーナルをお知らせ頂けるとありがたく思います。


【お知らせ】第23回日英・英日翻訳国際会議(IJET-23)

2012年6月2日(土)~3日(日)に広島国際会議場(広島県広島市)にて、「第23回日英・英日翻訳国際会議IJET-23)」が開催されます。

このイベントプログラムにある「翻訳の品質管理」にて、パネリストとして出席させて頂く事になりました。

IJET-23のホームページにあるプレゼンテーション一覧を見て頂きたいのですが、かなり興味深いプログラムが多く予定されています。私も聴講したい内容が多く、今から楽しみにしています。

皆さんも出席を検討されてみては如何でしょうか?

現地でお会いできる事を楽しみにしております。


翻訳者は返信が早い方がいい

翻訳会社・エージェントからの問合せ(特に案件打診)に対して、すぐに返信をする翻訳者が好ましい…とするツイートや、セミナーでの発言があったらしい事を最近耳にした。

これを翻訳者さんが仰っているのなら、私も反応しなかったのですが、仕事を依頼する側の翻訳会社・エージェント側の発言らしいことを知って、少々危険な発言ではないのか?と感じたのです。以下に私の考えをまとめてみます。

少なくとも私は、翻訳会社の立場として考えた時に「すぐに返信をする翻訳者が好ましい」とは微塵も考えていません(そうしてくれるとありがたいとは思うが)。業務上のやりとりは電話やメールを使用する訳ですが、その際に翻訳者さんたちに期待していることは、以下のようなものです。(基本的な前提条件として、社会人として相応しくない言動/行動だとか、返信に数日を要するような方は、最初から仕事の依頼先として入っていない。)

  • 連絡当日中に返信をいただく。(極端には翌朝の朝一番に返事が読めれば良い)
    勿論、それぞれの翻訳者さんのレスポンスタイムは頭に入っているので、その範囲なら問題は感じない。
  • 回答期限を設定しているものは、当然、それまでに返信をいただく。
    但し、回答期限を切る以上、電話や携帯メール等の手段を使ってこちらから別途、先行して連絡を必ずする。

連絡や返信、一連のコミュニケーションは電話や電子メールでやりとりされる訳ですが、フリーランス翻訳者さんにもいろいろな事情を抱えた上で、翻訳の仕事をやって下さっている方がいる訳で、その連絡できる時間帯や状況も人さまざまです。従って、「すぐに返信」ができない翻訳者さんも(うちには)います。例えば、二足の草鞋を穿いた翻訳者さんや、育児の合間に仕事をしている翻訳者さん、介護の合間に翻訳をされている翻訳者さんなどなど、何かしらの事情で時間の制約を受けながらも、翻訳者さんとして活躍されている方ですね。こういう方達に「すぐ」の返信を求めるのは酷なことです。じゃ、彼ら彼女達が翻訳者としてのプロ意識に欠けているのか?というと、全くそんなことはありません。

コンタクト出来る手段と時間帯は、あくまでも翻訳者が抱える1つの特性です。翻訳の取扱分野や翻訳の質、訳の傾向、スピード等々と同様に、翻訳者の特性として捉え、翻訳コーディネーションの中で管理して運用すべき要素の1つでしかないと考えています。

私が言いたいのは、エージェント、翻訳会社の類の立場で、「すぐに返信する翻訳者が好ましい」というスポット的な発言は、暗に「すぐに返信することが当たり前」とか、「そういう人は意識が高い」といった間違った認識を一般に植え付けはしまいか?ということです。業界の優秀な翻訳者さん達のすそ野を広げたい我々エージェントがそのような発言をすれば、直ぐに返信できる環境にない翻訳者さん達はどう考えるのか?そういう方達が業界に入ってこなくならないのか?翻訳会社は自分で自分の首を絞める発言になっていないのか?…と色んな懸念とリスクを感じてしまいます。

少々いやらしい言い方をすれば、上述した通り、レスポンスタイムも翻訳者さんの特性のひとつ。ならば、エージェント自ら、マネージメントが出来ていないことを認めた発言のように捉えられる危険性も秘めていると思うのです。「すぐの返信」が欲しければ、そういう対応が可能な翻訳者をアサインし、即返信していただけるような問合せの仕方と内容で連絡すべきです。私たちのようなエージェント側がこんな発言すると、あたかも自らの怠慢を翻訳者さんに責任転嫁して押しつけているような感じがして、とても気持ちが悪いのです。

さて………実際のところ、この発言の意図は違うところにあるのだと想像します。前提条件をもう少し具体的にハッキリさせた方がよいでしょう。

至急案件への対応で、それを上手く乗り切る為には「すぐに返信をする翻訳者が」ありがたいのだ…と。そういう翻訳者さん[も]欲しいのだ…と。

ここからは翻訳者としての考え方です。

このことから分かると思いますが、翻訳者の立場からものを考えた場合、より多くの仕事をとる上で「すぐに返信をする翻訳者さん」が重宝がられるということを情報として理解し、営業の戦略にすると良いだろう…ということですね。

それから、レスポンスタイムは翻訳者の特性のひとつと捉えていると申し上げました。実際に案件を依頼しようとしたときに、依頼先選定にどう影響してくるのかは、良く想像して考えてみてほしいのです。以前、過去記事の「95%より85%の速い翻訳!?」でも述べましたが、昨今の翻訳案件は日程的に厳しいものが多いのです。そうです。つまり、翻訳者としてレスポンスタイムも1つの付加価値となり得るということです。

オリジナルの発言は、多分、これを意識して発せられたものだと思います。「レスポンスタイムを短くされると、仕事が増える可能性がありますよ~」という意図を持った発言だと解釈します。(決して「短くしろ」といっている訳ではない)


敵を知る(翻訳と下請法)

フリーランスの通訳者さんや翻訳者さん達は、仕事を請ける相手が翻訳会社やエージェントであったり、クライアントからの直請であったり、さまざまな事でしょう。

仕事の受発注に絡んで、色々と問題ある話しを伝え聞いています。

ひとつ、気にしておいて欲しい事は、「下請法」というものの存在です。下請けとして働く者を守る法律ですから、自分の身を守るためにも少し勉強しておく方がいいと思います。

公正取引委員会 下請法ホームページ

この公正取引委員会のホームページには、下請法を理解する上で役に立つパンフレットが複数準備されているので、ダウンロードして読まれる事をお勧めします。

これらのパンフレットを読み、理解する上で必要と思われる情報を、以下に書いておきます。

発注する側である翻訳会社/エージェント/クライアントは「親事業者」、仕事を請けるフリーランス(個人事業主)の方々は「下請事業者」に該当します。また、フリーランスの方々は、資本金1,000万円以下の下請事業者に該当します。
翻訳は「情報成果物作成委託」に該当します。従って、下請法の適用を受ける親事業者は、資本金1,000万1円以上の事業者と言う事になります。

上記のホームページにあるパンフレットの中で「知るほどなるほど下請法」が分かりやすいかもしれません。

親事業者の義務と親事業者の禁止行為等が書かれています。例えば、義務の1つには、発注書面の交付があります。つまり、口頭発注はダメって事です。禁止行為には、代金の減額とか受領拒否などがあります。下請事業者側に責任がないのに、下請代金を発注後に下げるとか、発注の取り消しや納期の延期で受領を拒否するなどは禁止されています。

でも、どこかで聞いたような話ですよねぇ。

取引する相手が、資本金1千万1円以上かどうかという事を意識しておく事も大切なのでしょう。その上で、正しい運用をしているかどうかを見る事で、取引先の意識と質が判断できるかもしれません。


通翻への震災の影響

ここのところ、複数の翻訳会社の営業さんとお話する機会があり、その度に伺っているのが、震災の影響。

今のところ、異口同音に仰るのは、通訳への影響は大きかったが、翻訳への影響は感じられず、むしろ増えている感があると言う事だ。

分野によるのかもしれないが、翻訳者さん達の話を聞いていても、同じ感じを受けているので、概ね合っているのだと思う。

貴方の感触とあっていますか?