翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


のらりくらり力

話をしていて、どうも要領を得ない人っていますよね?

色々と質問しても、話が要領を得ず、のらりくらりと話をされ、だらだらと時間ばかり浪費させられる。自分の仕事の相手がそうだと、かなりイライラさせられるものです。

概ね、企業の中で仕事をしていると、目的や意図を明確にした会話を求められ、訓練させられる筈です。話の筋の読めない会話をしていると、無能呼ばわりされるのが落ちです。

私が以前持った職場の部下で、意図的にそういう「のらりくらり」とした話し方、対応の仕方に切り替えられる人間がいて、凄く感心した事があります。それ以来、私も交渉術の一つとして取り入れています。

単純に言えば、意図的に無能を演じる訳です。ただ、単純にボケる訳ではなく、主題を話の枝葉に沿って縦横無尽に逸らしまくる訳です。

交渉を敢えて遅らせるとか、決裂させるとか、腹の内を晒さないとか、色々と目的があっての対応な訳ですが、当たり前の事として、時間的制約のある交渉事に有効なわけです。

「交渉事は馬鹿正直ではダメ」と言う事ですね。

実は伝えたいメッセージは、そんな事じゃなくて…

ちょっと思い返して欲しいのです。

日頃、余りにも正攻法で攻めていないか?と言う事。
誠意を持って事に当たるのは、相手次第ではないか?と言う事。
自分がスマートである事を演出する必要のない相手ではないか?と言う事。
継続的な付き合いを望む相手なのか?と言う事。

意外と「当たり前」の意識は細分化して見ると当たり前でなかったりします。

何事も思考を巡らせている対象(相手)をよく見て、目的を考えた対応をするのは、大切だと思いますね。


フリーランスになった元社内翻訳者の苦悩

これは、フリーランスの経験がなく、または、フリーランスになる事を真剣に考えていなかったのに、社内翻訳者からフリーランス翻訳者になった方のお話。

フィクションとしてお読み下さい。

・エージェントとその担当を、社内の人間と同じ感覚で取り扱う。
・機密保護を理解していない。
・契約書をよく読んでいない(のに契約してる)。
・あれくれこれくれと「度を過ぎたクレクレ星人」。
・「訳せません」と部分的に申し送りだけして翻訳せずに納品。(仕事しろよ)
・自分の要求する資料がないと訳せない。
・指摘箇所しか直さない。
・指摘に対して建設的な議論に発展しない。
・自分の考えが全て。
・赤入れに対して「xxx会社では、そうでした。」と言う回答。
・「もといた職場に電話して聞いた」とか契約違反な回答。
・翻訳力が伸びてこない。
・ググれば分かる訳を導き出せない。
・ググる事さえしない。
・辞書さえ読まない。
・辞書は提供してくれないか?との問い合わせ。(自分で買いなさい)
・訳文と用語の殆どが英辞郎
・自分で調べるべき内容を質問してくる。
・AとB、どちらの単語が良いですか?と聞いてくる。(自分で判断しなさい)
・問い合わせると「ちょっと、翻訳した人に聞いてみます」と回答。(再委託は契約違反)
・突然来社の問合せ。会ってみると見知らぬ某会社経営者が同席。一方的に「一緒にやります」宣言(個人と契約してるのです。即契約解除)
・おまけにそのパンフの取引先に勝手にうちの名前が…

何事も、社内翻訳者時代の意識を引きずったまま、仕事をしてしまう傾向が見られます。端的にはプロ意識や個人事業主としての意識が欠如した行動と発言が目立ちます。

知らない世界に飛び込んだのですから、多少は仕方がないと目を瞑りますが、自身で情報収集して学ぼうという姿勢は絶対必要ですね。

こんな話、何処かで聞いた事、ありませんか?(笑)


翻訳業務に携わるすべての人が適正に評価される社会…

先日、「語学力ゼロで8カ国語翻訳できるナゾ」の著者で知られる水野麻子さんにお会いする機会があったのですが、交換させて頂いた名刺の裏に記載されていた一文がとても気に入ったので、ここで紹介させて頂きます。

「翻訳業務に携わるすべての人が適正に評価される社会の創出と、業界全体の底上げを目指します。」

想いは同じ。私も同じ。きっと皆も同じ筈。

それぞれがそれぞれの立場で、業界の底上げに貢献出来ると良いですよね。私も私なりの立場で貢献して行きたいと想いを新たにしました。


翻訳に役立つツール群(十人十色勉強会を経て)

昨日(10月26日)、翻訳勉強会「十人十色」の第二回勉強会に出席してきました。

その中で紹介された各種ツール群を、ここに記録しておきます。自分用の備忘録です。

1) VxGrep

ファイル入手先:DR-X Web Page

PDFやMS Officeのファイル群を束ねて検索を掛ける事が出来るツールです。例えば、用語集や参考資料が複数ファイルで提供された場合、この VxGrep を使って一括検索すると、該当箇所の抽出がスピーディに行えます。VxGrep は VxEditor に同梱されているツールですので、VxEditor をダウンロードして利用する事になります。

2) AutoHotKey

ファイル入手先:AutoHotKey

キー操作やマウス操作の組み合わせをマクロ化したり、それをキーやマウスボタンにアサインしたり、色々な省力化や自動化に利用できるようです。

3) ApSIC

ファイル入手先: ApSIC

これは私もかなり以前にダウンロードしていたものの、全く使っていなかったもの。

4) DYNA

ファイル入手先: だいなファイラー DYNA

キーボード操作のみで作業が出来るファイラーソフト。マウスを触らないので作業効率を上げられます。

5) のどか

ファイル入手先:applet

キー操作の組み合わせを、別キーにアサイメントしたり、アサイメント自身を変更・登録できるソフトのようです。

私が実際に業務に使用しようと考えているのは、VxGrep, AutoHotKey, DYNA です。特に AutoHotKey は色々な作業の自動化・単純化に大きく役立ちそうですし、AutoHotKeyを持たないユーザーへも EXE 方式で供給できるというのは、とても使えます。DYNA は、エクスプローラーでマウス操作をごちゃごちゃしながら作業しているよりスピーディに作業ができそうですので、少し検討をしてみるつもりです。使いこんできたら、使い勝手や使い方の情報、スクリプト情報を公開していこうと思います。


最初から100%を目指すと言う意識

一ヶ月ほど前、私はこんなツイートをしたことがあります。

「製造の現場では当たり前のことですが、チェックを入れても不良品はすり抜けます。極論、チェックに100人掛けてもすり抜けます。大切なのはミスが出ない仕組みづくりを考えることです。これは翻訳も同じ事がいえます。「後で直せばいい」という考えは間違っています。最初から一発OKを目指すべきです。」

これは理想論だよ…と仰る人もいます。そう言った途端に、この話はおしまいです。本当の品質改善なんてできるはずもありません。事実、製造業で「最初から全て一発OK」を成し遂げているところはないと思います。但し、極限まで近付ける事は出来ています。

何につけても「研ぎ澄まされる」には、高い次元の目標と意識、意欲があってなされるのですから、そこに自己妥協を持ち込む隙を与えないように努めた方がいいですよね。

以前、スペルは(正確に)覚えよう…という主旨のブログ記事を書きました。私は社内翻訳者時代に発音とスペルを関連付け(完全一致ではないが)、タイピングして手続き記憶としても身に付けるというやり方をしていました。それは一発で正しいスペルを素早くタイプすることが目的です。

間違ったまま、後で修正するという考え方は以ての外ですし、スペル確認の為だけに辞書を引く手間も省きたい。正確に覚えちゃうのが早いです。

一文書内に登場するユニークな英単語の数ってどれくらいだと思いますか?その文書の分野と長さにより差が出ますが、以前、データを採った時の記憶では、少ないものは数百から多いものでもニ~四千語くらいだったと思います。専門用語や固有名詞を除くと、使っている単語数は意外と少ない筈です。

これは一例ですが、何事も「最初から全部一発OK」を目指すと、いろいろと対応手段を考える事ができるので、先入観に捉われず、果敢にチャレンジする事が大切だと思います。それがいつぞやは「自分流」に繋がって行くのだと思います。

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【おまけ】手続き記憶に関して
手続き記憶は短期記憶ですが、繰り返し行うことによって長期記憶として定着します。

生産ラインで製品組立を行った経験のある方は分かると思いますが、作業はすべて決まった手順で覚えます。それにより一連の作業が手続き記憶として定着します。
この記憶の良いところは、同じ作業を効率的かつ正確に繰り返すことができるようになる点です。加えて重要なのは、異質なもの、異常な動作や感覚を感じ易くなり、問題を検出し易くなります。
先のタイピングの例ですと、ミスタイプしたことが自分で認識できるのです。これは、スペルチェッカーで認識されない単語のミスタイプにはとても有効でした。