翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


応募書類はあなたの鏡

翻訳者募集をした。ひと通り、カタが付いたので、そろそろいろいろと気づいた点を記事にしたいと思う。

募集に応募してもらうことからコミュニケーションが始まり、履歴書や職務経歴書などのやりとりを経て選考作業が進んで行くのだが、最初に自分を売り込む武器となるのは、何といっても履歴書や職務経歴書だろう。

今回はそこにスポットを当て、私が疑問を感じたり、素晴らしいと感じた事例を紹介したい。

翻訳に限らず、仕事への応募の際にほぼ必ず提出する履歴書と職務履歴書。

インターネットが普及した現代では、電子ファイル化したそれらの書面を電子メールで送信するケースが多いだろう。

応募した先ではそれらをどう見ているのか?…ひとつの例として捉えて頂きたい。

  • いきなり履歴書と職務履歴書を送り付ける。

積極性と捉えるべきか?。世間では意外と普通に行われているのかもしれない。でも、私はハッキリ言って面食らった。個人情報の取り扱いに神経質になっている企業も多いので、意見が分かれるところかもしれない。

  • 履歴書等のファイルにパスワードを掛けている。

情報セキュリティに配慮されているな…と好印象を持った。ただ、そういう対応をされている方は全体の5%くらいだった。

しかし、中には…

  • そのパスワードの連絡を忘れている。

という方もおられた。勿論、こちらからワザワザ問合せたりしない。中身を閲覧できず書類選考さえ出来ないので削除。

  • 履歴書や職務履歴書に漢字の間違い、スペルの間違いがある

見つけた時点で選考対象外。自分を売り込む資料の中身さえチェックできないようでは、仕事を依頼することに不安を感じる。

  • 職務履歴書が40頁にも及び、全ての職歴と担当した翻訳案件名が羅列されている。

これは論文か何かか?と見紛うほどの分量。細かく見る人は多分いない。全て知らせたい…という気持ちは分かるが、何を売込みたいのかが即座に把握出来ない。サマリー部とファイルを分けておくと、かなり印象が違う。

  • ダラダラと長い文章で説明書きされている

「私は~~年から~~で~~を担当し、この間に~~……」

ハッキリ言って読む気にならない。斜め読み程度で判断。

簡潔にまとめるという能力がないとか、読み手を意識した文章作成能力かないとも判断されるので、翻訳の質に反映されるのでは?とも思う。

  • 最新情報にアップデートされないまま送付されている(年齢など)

同じものを使いまわすのは理解できるが、送付前に見直す等の処理をしていないと思われる。

応募行為に慣れ切っている応募者と思われるが、指先にまで神経の行き届いた仕事が出来る人とは思えない。

  • メールアドレスに付与されている名前が、何かのハンドルネーム?

せめて、ビジネスとプライベートでメールアドレスに付する名前表記は分ける方がいい。

  • メールアドレスに付与されている名前と履歴書等の名前が違っている

旧姓と実名?、もしくはペンネームか何か?本人が応募しているのかどうか怪しく感じる。

  • 1メールに複数名の応募

ご夫婦で応募?

郵便でもあるまいし、なぜ同一電子メールで一緒に応募されてるのか不明。まさか、メールアドレスを家族でひとつしか持っていないとか?…なんて考えるとIT技術に不安を感じる。

  • メールアドレスに実名表記がないのに、メール本文には名字だけ

個人情報を晒さない為なのでしょうか? 同苗字の方もいる訳で、内部での情報管理上、少々面倒。有名人なのかな?とも思いましたが、いずれ履歴書などを提示いただくので、その意味もあまりなさそう。フルネームをメール内に書いていただいた方が相手を認識し易い。

ざっと記憶に残っているのは、こんな内容。少々物事を斜めに見ている感じに取られるかもしれないが、シビアに見てるところはこんな感じかもしれない。機会があればご自身の資料も見直してみると良いですね。

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初心者は翻訳支援ソフトに手を出すな

道具は使い方を間違えれば凶器になる…これは翻訳支援ソフトにも当てはまると最近つくづく思う。

翻訳支援ソフトを使った翻訳は、各文章にブツ切りにされ、表の中で翻訳を進めて行くようなイメージになる。

この時の人間の脳内のイメージは、文書ではなく文章が強く意識される。

文節単位と言う見通しの悪さが、そういう意識に落とし込む。まさに、「木を見て森を見ず」の状態。

百戦錬磨の翻訳者であれば、既に翻訳品質に対する考え方もしっかりとしており、色々な策を講じて、文書としての翻訳品質を確保する工程を追加するだろうが、初心者の方だと、いとも簡単にこの「一行翻訳屋」スパイラルに落ち込んでしまう傾向があるようだ。

前後関係を考えていない。文書全体の流れを把握していない。

そんな状態で翻訳された完成品が、誤訳の山を築くのは目に見えている。翻訳者としての信頼性を大きく傷付け、次の仕事を失うかもしれない。

翻訳支援ソフトを使う意図と目的と方法を明確にし、自分の翻訳作業の一部分に使用するのだと言う明確な意識と、それを自分自身で制御出来る強い意志がない限り、翻訳支援ソフトには手を出さない方がいいと、最近した経験から考えている。

よって、翻訳の

「初心者は翻訳支援ソフトに手を出すな!」

と言っておきたい。