以前から「効率化」というキーワードは、レートに並んで良く話題に上がるものの、そこから来るイメージがツールであったりマクロであったりと、妙にハードルの高さを印象させられることが手伝って、具体的な行動へ結び付けるのに二の足を踏んでいる人が多いように感じています。また、概ね翻訳関連の作業ばかりが注目され、それ以外の話になると途端に興味を示さない方が多いように思います。
効率化と言うと、直感的に「時間」を印象すると思いますが、それは最終的には「お金」に繋がります。
翻訳単価を元に計算された報酬は、納めた翻訳物に対して支払われるわけですが、翻訳物は翻訳作業だけでつくられたわけではありません。多分、この辺りに意識の違いがあって、翻訳行為に対する対価と思い込んでいる人も多いのではないかと思います。
実際は、翻訳物を完成させる上で色々な作業が関係しています。
- 交渉/折衝
- 見積作業
- 事務処理
- 原稿確認、加工、事前準備
- 翻訳作業
- 調べもの
- 品質確認
- 体裁/編集作業
- 納品作業
- 請求行為
- クレーム対処
ざっくり書いても、これだけの作業が一案件完了するまで関係してきそうです。
このグラフはイメージです。支払われている単価のコスト構造は、このように翻訳以外の作業が多く含まれていると言えます。
例えば単価10円で、ある分量の仕事を請け、結果的に以下のテーブルのような時間をかけて完成されたとすると、実際の翻訳作業に対する単価は、こんな感じになるということです。翻訳、調べもの、品質確認を翻訳作業と定義付けるなら、この例であれば、実質的な翻訳単価は 7.5円と同じことになりますね。
(このエクセルシートは公開しますから、青背景セルの数字を各人の実際に合わせて変更してみてください。自分の翻訳単価の構造をイメージ図にできると思います。→ RateChart.xlsx )
翻訳やそれに伴う調べものに対する効率化の話は多く聞かれ、ツールをはじめとしたいろいろな策を目にします。しかし、それ以外に掛かる作業時間を削減することも単価を高める事に繋がり、同様に重要なのです。例えば事務処理にみられる見積書や請求書の作成と発行といった作業も、少なからず時間リソースを消費しているわけですから、甘く見ずに効率化を行っていく必要があるわけです。
いま一度、自分のレート構造はどうなっているのかを眺めてみると面白いと思います。