翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


2016年を振り返る

仕事納めも済み、昨日から冬休み。お正月を迎える準備を始めたところですが、来年に向けて今年を振り返ってみたいと思います。

今年は、あれこれといろいろなことがありました。絞り込むのが難しいのですが、ざっくりとトップ3にまとめてみました。

  1. 日本翻訳連盟の理事に就任
  2. 福岡翻訳勉強会へ遠征
  3. JTF翻訳祭の企画運営に委員として参加、そして、自分の講演

1. 日本翻訳連盟の理事に就任

こればかりは、自分でも驚きの出来事でした。JTFの理事になるなど、自分の中では予定されていなかったこと。これも人の縁というものでしょう。突拍子もない話をいただいて、自分の中でいろいろな葛藤がありました。分不相応、過去の苦しみの再燃と、あれこれ悩むのが私の悪い癖。高が私。失う物もなかろう。私のポリシーである「悩みが深くなり身動きが取れなくなる前に、まずは行動!」を実践した結果です。多くの方々からサポートをいただいたことを忘れてはなりません。その思いに応えなくてはなりませんね。巡り来るものは、機が熟していると考えてもいいのでしょう、次の機会はないのですから。翻訳者視点を軸に、微力ながら頑張っていくのみです。

2. 福岡翻訳勉強会へ遠征

Twitterの会話から、あれよあれよという間に話が決まった福岡翻訳勉強会でのセミナー開催。

関わった全員が時間を捻出してSNSを介して企画運営していく課程は素晴らしいもので、感動的でした。とにかく初動の速さは凄かった。企業の中でも、これだけのチームワークとフットワークで動けるチームは滅多にありません。勉強会も大成功でしたし、私も初めて福岡に行くことができました。今年の一番印象に残るイベントだったと思います。

3. JTF翻訳祭の企画運営に委員として参加、そして、自分の講演

昨年、法人色の強まった翻訳祭を、今年は個人翻訳者に取り戻すという思いで、企画・運営に関わらせていただきました。その想いは少なからず達成できたと思います。来年も、この流れを失うことのないよう、関わっていけたらと考えています。

全セッション中、参加者数が一番多かった私のセッション。壇上から見た会場の凄さは多分一生忘れられないと思います。そして、いまさらで申し訳ないのですが、人前で話をすることの怖さを改めて感じました。学生集会か?と思わせるほどの会場の入りに怖じ気づいたという意味ではなく、これだけの方々へちゃんと伝えられるものになっているのか、伝えられているのかという点においてです。もっともっと精進が必要です。身を正す良い機会をいただいたと考えています。来年は内容充実にもっと時間を割いて、よりよいものにしていきたいと考えています。

 


ということで、2016年、本業に時間を取られる中、そこそこ精力的に活動ができた一年だったかなと感じています。今年も多くの方々にお世話になり、本当にありがとうございました。

来年は本業の仕事環境も変わり、より翻訳に関われることになるので、ツール開発の再開を含め、業界活動にもっと時間リソースを投入できそうです。また、今年積み残した計画は、来年、実現させるつもりです。

2017年もどうぞ、よろしくお願いします。良い年をお迎えください。

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ミニマムチャージを知っていますか?

先日、Twitterでミニマムチャージが話題になりました。そして驚いたことに、ミニマムチャージという言葉を聞いたことがないという翻訳者さんがいるという事実を知り、私自身、衝撃を受けました。

ミニマムチャージとは、いろいろなやり方がありますが、例えば文字数やワード数、金額で決めた最低受注単位のことです。

私は、翻訳者にもミニマムチャージが設定されていることを当たり前と思っていたし、市場でもそういう対応がされているのだろうと思い込んでいました。しかし、実態はそうではなさそうです。いったい、どうなっているんだろう?と思い、Google Formを使い、Twitterでアンケートを採ってみました。その結果は以下の通りです。母数は少ないですが、いただいた意見は参考になるものばかりです。

e2j_minimum

j2e_minimum

「ミニマムチャージの設定がない」が全体の2/3を占めていることに驚きです。

その他、コメントに寄せられた意見:

  • 請求額が3000円以下のときは時給計算にしてくれるエージェントあります(実質上のミニマムジャージが2時間分の5000円)
  • 打診を断る自由があるような関係なら、ミニマムチャージはなくても実害はない。強引にお願いされて引き受けざるを得ないような関係なら、絶対設けるべき。ただ、翻訳会社側の姿勢としては、翻訳者を尊重する観点から設けておくのがビジネスマナーだと思います。
  • 少量案件はお断りしているので、特にミニマムチャージの設定の必要性を感じたことはありません。
  • ほんの1行や数単語で頼まれることが少なくなく、結局前後を読まないと適切な翻訳ができないのでなんだかなーと思います(英語の論文に含まれる1行だけを頼まれ、論文の要旨とその段落すべて読んだ)。前後の文脈なしで1行や数単語を渡されるのも困ります。
  • 設定するのが当然だということを初めて知りました。みなさんどれぐらいの設定なのか興味あります。
  • 数日前にどなたかのブログでミニマムチャージの話が書いてあり驚きました。そんなものがあるのですね。
  • 翻訳会社側の設定はありませんが、通常のビジネス文書中心の翻訳会社から料金を尋ねられ、こちらで設定したことはあります。
  • ミニマムチャージの設定がないままに、例えば英日60ワードとか、日英10文字なんていう仕事もあります。しかし、常に仕事が来ていて1カ月トータルすると(ある程度の金額になるので)ミニマムチャージ設定はいらないと思っていました。しかし、今月はすごく少ないので、この話を聞いてちょっと真剣に考えるほうが良いと思い始めました。

翻訳というお仕事の対価計算は、概ね原稿か訳文の文字数やワード数に単価を乗じて行われることが多いですが、翻訳の作業に費やす工数に完全に比例している訳ではありません。

翻訳に絡む作業はいろいろありますが、例えば(1)事務処理工数は案件毎に一定して発生するものですし、(2)調べものや検証に掛かる工数も初期に大幅に工数が掛かり、そして分量に緩く比例して上昇するのではないかと思います。仮に20文字程度の案件だったとすると、(1)(2)の工数が全体工数のほとんどを占め、時間当たりの売り上げが非常に低いものになってしまうでしょう。

分量少:[事務][調べ物][翻訳]
売上額:--------

分量多:[事務][-調べ物-][—翻訳—]
売上額:----------------

こんなイメージではないかと思います。分量が少ない案件ばかりを受けていると、投資する時間の割に売上が上がらないということになります。また逆に見れば、ミニマムチャージ無しに少量案件ばかりを発注する翻訳会社は、実質的には「単価下げ」を行っているのと同じ意味になります。(そして翻訳会社はクライアントに対してミニマムチャージで販売してれば、かなりの粗利を稼いでいることになります。)

本来は翻訳会社側が考慮して、翻訳者に対するミニマムチャージを設定すべきと考えますが、そういった相手の判断に依存するのではなく、翻訳者が自己防衛策として考えておくことも大切ですね。

対応方法はいろいろあるでしょう。ミニマムチャージを設定して仕事を請ける方法もあれば、ある基準以下の案件は請けないという方法もあるでしょう。上述のアンケートにある意見も参考になります。

  • 翻訳分量で決める。例えば原稿200文字をミニマムチャージとする。(それ以下の分量は全て200文字として支払いされる)
  • もしくは、その基準を満たさない物は受注しない。
  • 最低受注金額を決める。例えば、2,000円(税別)などに設定して、それ未満の案件は請けない。

当然、四角四面に適用するというわけではなく、例えば定期案件をいつも安定した分量で依頼いただいていて、その関連件で小さな物が依頼されるようなケースなら、普通に請けてあげるなどフレキシブルな対応が必要ですね。


翻訳祭終了報告 #2016JTF

今さらの報告になりますが、JTF翻訳祭が終了しました。

今年は、企画実行委員として翻訳祭に関わり、気心の知れた仲間達と作り上げてきました。また、SNSをはじめ多くの翻訳者の仲間が盛り上げてくれました。

昨年、私が感じた「もはやJTF翻訳祭は法人のもの」という危機感を、多くの個人翻訳者の仲間の協力によって、元に、いや、それ以上に戻せたと思います。個人翻訳者の参加数倍増、初参加の方が多くいたと聞いています。本当にありがたいことだと思います。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

一方で、頑張り過ぎて欲張り過ぎてやり過ぎ!という印象もあり(笑)、予測を超える参加者の数と見たいセッションの重複。参加いただいた皆様には、とても窮屈な思いと、不便をお掛けいたしました。ここにお詫びいたします。

このモメンタムを来年へ引き継いでいきたいと思います。運営的にマズかったことも、皆さんからいただいたご指摘も、次回の翻訳祭に生かしていきたいと思います。今年の翻訳祭に懲りず、来年も是非ご参加いただけたら嬉しいです。

さて…私が登壇したセッション「誰も教えてくれない翻訳チェック ~翻訳者にとっての翻訳チェックを考える~」ですが、内容は別として、前代未聞のセッションとなってしまいました。

座席定員の二倍以上の方々に入室いただき、会場は、壁側はもちろん、通路も登壇席の前のスペースもすべて人で埋め尽くされ、立ち見や体育座りで聴講いただいた方が多数。300部用意していただいた資料も不足する事態で、聴講いただいた皆様には、本当にご不便をお掛けしました。申し訳ありませんでした。(私のセッションの配布資料は、参加者の皆様にはダウンロードサービスで入手可能になる予定です。)

登壇席から眺める会場は、今までに経験の無い凄い状況で、流石の私も緊張しました。まだ翻訳祭のアンケート結果を受け取っていないので、私のセッションをどう受け取っていただいたのか分からないのですが、参加いただいた方の中には、すでにブログ記事にまとめて公開していただいている方もいて、それらの記事を読む限り、お伝えしたかったことが伝わっていると感じました。

ですので、私があれこれ書かず、これらのブログ記事へリンクを張らせていただきます。

今年は、本当に異例尽くしの翻訳祭となりました。来年も良い翻訳祭にするぞ!