翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

ミニマムチャージを知っていますか?

先日、Twitterでミニマムチャージが話題になりました。そして驚いたことに、ミニマムチャージという言葉を聞いたことがないという翻訳者さんがいるという事実を知り、私自身、衝撃を受けました。

ミニマムチャージとは、いろいろなやり方がありますが、例えば文字数やワード数、金額で決めた最低受注単位のことです。

私は、翻訳者にもミニマムチャージが設定されていることを当たり前と思っていたし、市場でもそういう対応がされているのだろうと思い込んでいました。しかし、実態はそうではなさそうです。いったい、どうなっているんだろう?と思い、Google Formを使い、Twitterでアンケートを採ってみました。その結果は以下の通りです。母数は少ないですが、いただいた意見は参考になるものばかりです。

e2j_minimum

j2e_minimum

「ミニマムチャージの設定がない」が全体の2/3を占めていることに驚きです。

その他、コメントに寄せられた意見:

  • 請求額が3000円以下のときは時給計算にしてくれるエージェントあります(実質上のミニマムジャージが2時間分の5000円)
  • 打診を断る自由があるような関係なら、ミニマムチャージはなくても実害はない。強引にお願いされて引き受けざるを得ないような関係なら、絶対設けるべき。ただ、翻訳会社側の姿勢としては、翻訳者を尊重する観点から設けておくのがビジネスマナーだと思います。
  • 少量案件はお断りしているので、特にミニマムチャージの設定の必要性を感じたことはありません。
  • ほんの1行や数単語で頼まれることが少なくなく、結局前後を読まないと適切な翻訳ができないのでなんだかなーと思います(英語の論文に含まれる1行だけを頼まれ、論文の要旨とその段落すべて読んだ)。前後の文脈なしで1行や数単語を渡されるのも困ります。
  • 設定するのが当然だということを初めて知りました。みなさんどれぐらいの設定なのか興味あります。
  • 数日前にどなたかのブログでミニマムチャージの話が書いてあり驚きました。そんなものがあるのですね。
  • 翻訳会社側の設定はありませんが、通常のビジネス文書中心の翻訳会社から料金を尋ねられ、こちらで設定したことはあります。
  • ミニマムチャージの設定がないままに、例えば英日60ワードとか、日英10文字なんていう仕事もあります。しかし、常に仕事が来ていて1カ月トータルすると(ある程度の金額になるので)ミニマムチャージ設定はいらないと思っていました。しかし、今月はすごく少ないので、この話を聞いてちょっと真剣に考えるほうが良いと思い始めました。

翻訳というお仕事の対価計算は、概ね原稿か訳文の文字数やワード数に単価を乗じて行われることが多いですが、翻訳の作業に費やす工数に完全に比例している訳ではありません。

翻訳に絡む作業はいろいろありますが、例えば(1)事務処理工数は案件毎に一定して発生するものですし、(2)調べものや検証に掛かる工数も初期に大幅に工数が掛かり、そして分量に緩く比例して上昇するのではないかと思います。仮に20文字程度の案件だったとすると、(1)(2)の工数が全体工数のほとんどを占め、時間当たりの売り上げが非常に低いものになってしまうでしょう。

分量少:[事務][調べ物][翻訳]
売上額:--------

分量多:[事務][-調べ物-][—翻訳—]
売上額:----------------

こんなイメージではないかと思います。分量が少ない案件ばかりを受けていると、投資する時間の割に売上が上がらないということになります。また逆に見れば、ミニマムチャージ無しに少量案件ばかりを発注する翻訳会社は、実質的には「単価下げ」を行っているのと同じ意味になります。(そして翻訳会社はクライアントに対してミニマムチャージで販売してれば、かなりの粗利を稼いでいることになります。)

本来は翻訳会社側が考慮して、翻訳者に対するミニマムチャージを設定すべきと考えますが、そういった相手の判断に依存するのではなく、翻訳者が自己防衛策として考えておくことも大切ですね。

対応方法はいろいろあるでしょう。ミニマムチャージを設定して仕事を請ける方法もあれば、ある基準以下の案件は請けないという方法もあるでしょう。上述のアンケートにある意見も参考になります。

  • 翻訳分量で決める。例えば原稿200文字をミニマムチャージとする。(それ以下の分量は全て200文字として支払いされる)
  • もしくは、その基準を満たさない物は受注しない。
  • 最低受注金額を決める。例えば、2,000円(税別)などに設定して、それ未満の案件は請けない。

当然、四角四面に適用するというわけではなく、例えば定期案件をいつも安定した分量で依頼いただいていて、その関連件で小さな物が依頼されるようなケースなら、普通に請けてあげるなどフレキシブルな対応が必要ですね。

作成者: Terry Saito

某社翻訳部門の中の人です。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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