翻訳横丁の裏路地

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勉強会はOJT

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昨夜は、日本会議通訳者協会主催の日本通訳翻訳フォーラムで、翻訳フォーラムの方々が「翻訳者のなり方・続け方」というテーマでお話をされました。とても中身の濃い2時間15分でしたね。私のTwitterタイムラインが、久し振りに熱いツイートで埋め尽くされ、興奮しました。

お話しの中で印象に残った言葉はたくさんあるのですが、その中でもハッとさせられたのが、高橋さきのさんがおっしゃった「勉強会はOJT」という言葉です。

OJTとは、On-The-Job Trainingの略ですが、勤め人をされたことのある方なら、1度は耳にされたことがあるでしょう。企業内教育の手法のひとつですね。まぁ、業務内容が文書化されていないことへの裏返しの意味で使われることもあるものの、概ね、仕事の習得にはOJTが使われています。

上司、先輩、同僚の監督の下、実業務を通じて、知識や技術、仕事の哲学などを学んでいくわけです。業務でさまざまな情報に触れ、失敗をして上司や先輩に指導を受け、それを経験に独り立ちできるように自らを奮い立たせて訓練し、そして、あれこれ悩み、同僚と議論を繰り返して、その仕事のプロになっていく。

こういうプロセスがフリーランス翻訳者にあるだろうかと考えると、ちょっと思い当たりません。会社の上司や先輩のように、部下を育てようというスタンスで、手取り足取り接してくれる取引先があれば、あり得るかもしれませんが、そんなリソースを投資してくれるような奇特な取引先は、まず、ないでしょう。

昨夜のさきのさんのお話は、翻訳者同士で行う勉強会が、この役目を果たしてくれるというもので、聞いていて、ハッとしました。

勉強会に参加する全員で「訳文批判≠人格批判」という認識を合わせた上で、お互いの訳文を研究するのだと仰ってましたね。この文はどう解釈すべきか、こうではないか、こうしたらどうだろうかなどなど、お互いが指導する上司であり先輩であり、相談できる同僚になるわけです。

そう考えると、翻訳勉強会へ参加することの意味がハッキリしてきますよね。また、どういうスタンスで参加すべきかもわかってきます。

「勉強会はOJT」という話を聞いて、改めて、参加させて貰っている英訳勉強会のメンバー全員に感謝する気持ちがとても強くなりました。時間を割いて、私の拙い英訳に意見してくれる。なんと尊いことでしょうか。これからは、翻訳のOJTだと認識して関わっていきたいという思いを強くしました。

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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