翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』著者来日イベントに参加して

7月7日に日経BP社主催による『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』刊行記念 著者来日イベント 「ジョブズ流を自分の力に!」へ参加したので、簡単にレポートしておきたい。

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スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則

今回のイベントは、「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」の原著の著者である Mr. Carmine Gallo (カーマイン・ガロ氏)が来日され、ご本人の口からお話を聞けるという事で非常に期待感高く参加させて頂きました。

イベントは以下の3部構成で進められた。

  • 【1部】:「日本の読者のみなさんへのメッセージ」 著者 カーマイン・ガロ氏
    逐次通訳は、滑川海彦(『フェイスブック 若き天才の野望』『ビジネス・ツイッター』の共訳者)さんがご担当されました。
  • 【2部】:トークセッション カーマイン・ガロ氏 × 外村 仁氏 トークセッション(質疑応答を含む)
    「ジョブズ流を自分の力に!」
  • 【3部】:懇親会

このイベントに参加するにあたり、少しでもイベント参加の価値を高めるべく、本を完読しておこうとしたのですが、残念ながら半分程度を読んだところでの参加となりました。しかし、カーマイン・ガロ氏の話は、7つの法則のうち、Principle 1と2の部分に関して説明され、それをベースに二部のトークセッションで、来場者との質疑応答を通じて更に深耕するというスタイルで進められたお陰で、丁度、内容的に全て掌握でき、理解を深める事ができたと思います。

中身については私が下手な説明をするよりも、 USTREAM にてソーシャルメディア大学が配信されているビデオをご覧になる方が良いと思います。

私は職業的に通訳・翻訳という視点でも物を見てしまいますので、その視点から少しだけコメントします。

カーマイン・ガロ氏の話される英語は、とてもゆったりとクリアな発音で話され、聴衆の顔色を確認しながら、理解できなかったと思われる英語は別の表現で再度話をされるという、とても聞き手に立った説明手法をとっておられました。ですので、とても聞き取り易く、私はガロ氏の説明だけに集中して話を聞く事ができました。

滑川さんの通訳は、ガロ氏の話された内容に情報を付与しながら話されていて、全貌を掌握されているが故の通訳だったと思います。

全体的な私個人の感想として、セミナー及び質疑応答を含め、カーマイン・ガロ氏の話の内容はほぼ本の内容に沿ったものでしたので、余り新しい情報は得られなかったですが、その合間に解説に入られた外村 仁さん(現エバーノート日本法人会長)の話の内容は、経験をベースとした話や、少し視点を変えた話などがされて、得るものが多かったと感じました。

「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」については完読した後に感想を記事にしようと考えていましたが、既にかなり読み進めましたので、その内容の価値については理解できています。当初、(失礼ながら)話の展開が予測出来て、ビジネス書然とした在り来たりな話の展開を見せるようなそこら辺に良くあるビジネス書の類だろう?という先入観で読み始めたものの、ある程度読み進めたところで、その先入観が大間違いだった事に気付かされました。多くの知識と刺激を得る事ができました。

ありきたりなビジネス書に飽きた方には、ぜひ、一度お読み頂きたい本です。

今回のイベント冒頭、「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」が20万部突破したという話がされました。私もこの本は存じていますが、読んではいません。ジョブズ氏のプレゼンの巧さはビデオなどを観て理解していますが、この本はそのプレゼン手法に関して書かれた本なのだろうという先入観から、いずれ機会があれば購入しよう程度にしか考えていませんでした。

ところが外村さん曰く「この本はあちらではビジネス書として読まれているようです」と仰る。その発言を聞いて、素直に失敗したと思いました。翌日、仕事帰りに書店に立ち寄り、即購入したのは言うまでもありません。
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則

最後に、三部の懇談会・プレゼント大会では、翻訳者の井口耕二さんとのジャンケン大会で勝ち、カーマイン・ガロ氏のサインが入った原著「The Innovation Secrets of STEVE JOBS」を頂きました。購入しようと思っていただけに感動と感激で大喜びです。
The Innovation Secrets of Steve Jobs: Insanely Different Principles for Breakthrough Success

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また、持参した本「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」にカーマイン・ガロ氏にコメントと共にサインを頂き、井口さんにもサインを頂きました。これにも大喜びでした。我が家の永久保存版書籍として保存し、価値が上がったところで売りさばきたいと思います(冗談)。

そして最後の大喜び。それは事前にご本人のツイートで知っていたのですが、古川享さん(@SamFURUKAWA)が参加されていて、間近でお顔を拝見できた事。私のようなマイコン世代からすると古川さんは”神”ですから、もう、その感動と言ったら言葉に表せません(笑)。

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初めての通訳の思い出

私が初めて業務として通訳をしたのは、今から十数年前の事。

メキシコの取引先との電話会議という、初めての通訳にしては誠に過酷な条件だった。

当然、横には上司が控えてサポートしてくれたものの、徹底的に自信をなくす会議通訳になった。何しろ、メキシコなまりの聞き取りづらい英語に加え、電話と言う会議形態、それに初めての通訳と言う事で緊張は頂点に達していた。兎に角、聞けない。何を言っているかが、さっぱり分からない。もう、途方に暮れたような状態で1時間程度の会議は終わったように記憶している。

ただ、1つ安心した事は、上司も「(相手が)何を言っているか、さっぱり分からん」と言ってくれた事。聞き取れなかったのは私だけではなかった…と思うだけでも救われた。

それから数日後、今度は米国の取引先とのTV会議デビュー。

今度は同僚の女性通訳者が会議導入だけ担当してくれ、途中から私が通訳しながら会議進行するという流れだった。この会議でかなりホッとした。相手の言ってる事が分かるからだ。慣れた米国人の英語なのだから当然である。話す方はどうだったのか、さっぱり覚えていない。初めて聞く言葉との格闘と、会議進行で必死だったからだ。

2時間ほどのTV会議の後、女性通訳者は上司に向かって、「Saitoさん、大丈夫です。バッチシです。」と私自身が感じている出来とは掛け離れた評価を言ってくれ、非常に恐縮したのを覚えている。また、その後、相手側の会議室で出席していた日本人駐在員から上司の元へ電話があったらしい。

「一体、あの Terry Saito って誰だ?」

という問い合わせだったと後から聞かされた。相手側に、それなりのインパクトがあったようだった。

とにかく、徹底的に自信を失い、叩きのめされた通訳デビューだったが、この後は、週に多い時は4~5回、少なくとも1回というペースで電話会議、TV会議、face to face 会議での通訳をこなしていく事になり、聞けるようになると、話せなくなり、話せるようになると、聞けなくなる…そんなサイクルを何度も繰り返しながら、段々と通訳業務に慣れていった。

でもね、英語力は向上したとは全然思えない。通訳業務をするようになって数年経って受けた TOEIC は飛躍的にスコアが伸びたけども、全然自分の自信につながらない。通訳技術は多少は向上したと思う。どちらにしたって、自己評価では超下手くそ。どこまで行っても、恥ずかしいレベル。その場にいたたまれないような思いを何度もした。だから、何か英語に触れてないと不安になる。

ある意味、通訳という仕事にはずうずうしさも必要だと思った。はったりかます事もある。それに通訳はある部分、芸術にもつながる部分があるとも思う。言葉を紡ぐ仕事だもの。ジャズやってて、インプロビゼーションが上手くいかないって時は当然ある、人間だもの。通訳もそんな「ノリ」ってものが同じようにある気がする。でも、そんな「ムラ」を口にしたら、「お前はプロじゃない」と言われる事だろう。

通訳って面白いけど、恐ろしい。毎回、怖くて怖くて、でも、どこか心躍る。自分でも良く分からないが、そんな仕事だな、私の中では。


2件のコメント

通訳者の実力判断は如何に?

一昨日の通訳ネタの記事に頂いたコメントを拝読して、色々と考えさせられました。自戒の念を込め、恥を忍んで記事にしてみます。

通訳者さんの実力はどのように判断しているのか?

翻訳の場合はトライアルをし、また、実際に業務として翻訳して頂いた成果物をチェックする事である程度リアルタイムに実力を把握することが可能です。では、通訳はどうなの?…と考えてみると、はて?困った…と思うのです。

仕事の成果物を見る機会は全くなく、頼みはクライアントの評価のみ。
契約前の判断は、英語力は英検だのTOEIC等の情報や過去の職歴など。

じゃ、通訳力は??

通訳学校に行ったとか、通訳業務経験で判断するのみしかないように思う。

一体、通訳も扱う翻訳会社さんは、どのように実力判断をされているのだろうか?


4件のコメント

昨日の会議通訳を経て

昨日、突然依頼された米国企業との電話会議に通訳のサポートと言う立場で立ち会ってきた。

担当された通訳者さんは、他のある特定依頼元の通訳のみを担当されていて、技術分野も違うのだが、技術的な話には及ばないと言う前提でお願いした。

私としても、通訳者さんの通訳業務を初めから最後まで見るのは初めてだったので、とても興味深かった。

その通訳を通し、私の経験則と照らし合わせて感じた、こうすべきだな、こうした方がいいな?と思った事をまとめておく。

通訳は、人の語る言葉を、単に別言語に変換すると言う単純なものではない。

スピーチなり、プレゼンなり、会議なり、何がしかのイベントのコミュニケーションの一部として、そのイベントの機能を失わず、むしろそれを高めるべく通訳は機能する必要があると思う。

昨日感じた失敗例も上げ、羅列してみたい。

・会議前に会議に関する打合せがあるが(なければ要求する)、その場で会議に関する情報入手は勿論だが、どういうタイミングで通訳に入るかを確認しておく。
・またそれを会議出席者に事前通知して貰う。
・会議進行は誰がするのかを確認する。

概ね電話会議での通訳は逐次通訳となるが、どういうタイミングで通訳するかが、会議の進行に大きく影響する。

通訳慣れしているクライアントなら、彼らから通訳の入るタイミングを指定してくる事があるが、概ね、そう言う事を余りご存知ないクライアントが多いので、通訳側から積極的に確認した方がいいと思う。

昨日のケースでは、同通の勢いで、語り手が話している途中から通訳をされていたので、語り手の思考を遮断してしまっている事と、話の途中で相手側が話に食いつき、不要な質疑応答が発生し、会議の進行が行ったり来たりして、クライアントの思惑に沿わない進行に陥ってしまっていた。

会議における語り手の話す長さは、スピーチのような特別なコメント出しを行っている場合を除き、さほど長いものはないので、全てを話して貰い、意図確認して通訳しても遅くはない。
また、その語り手が話している途中で、他の会議出席者と議論になり、相手方に伝える内容が変わる事があるので、この通訳する間合いが会議進行にとって大切になる。

ただ、会議相手によってこの辺のアプローチは変わってくるので、やはり事前確認が欠かせない。

交渉戦略を気にしなくてはならない相手なのか、ざっくばらんに話せる相手なのかで遣り方は変わる。

・ミュートはされますか?どなたがされますか?

これは会議の開催元が気にすべき事で通訳者の責任範疇ではないと思うが、敢えて確認をしてあげる事は、プラスαの付加価値となるだろう。

昨日は全くミュートなし。こちらの話は相手に筒抜け。おまけに相手にはカタコトながら日本語を話してる方もいると言うのに、なんて自由なんだ!と感じた。

通訳は完璧なる言語変換機に徹すればいいと言う考え方もあるのかもしれない。ただ、人の介在するコミュニケーションの場に立つ通訳であるがこそ、担える役割もある筈。

言語変換を超えたコミュニケーションの通訳者、各種イベントの引き立て役と言う一歩踏み込んだ意識で、通訳と言う仕事を捉え、精進する事が大切なのではないか?と昨日の経験から思いました。それがまた、自身の差別化にも繋がるでしょう。