翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

効率化の何が悪い!

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先日、ネットを渡り歩いていたら、とある記事に目が留まりました。「世の中、効率化が持て囃され、右も左も効率化、効率化。人生にまでも効率化を持ちだす人がいる。果たして効率化は人を幸せにするのだろうか?」というような事が書かれていたと思います。

この記事を読んで咄嗟に頭に浮かんだのは、「この記事は、効率化で生まれたリソースの余裕を、どう使うかを理解していないから、こんな頓珍漢な問いに繋がってるんだ。」ということです。

生み出した余裕リソースを必要としない(使う充てがない)のなら、効率化なんてする必要はないですものね。

「効率」ってなんでしょう。新明解国語辞典には、こう書かれています。

【効率】
その事をするのに消費した労力や時間から見た、成果の程度。

つまり、効率化とは、効率を高くすることですから、投資する「労力」や「時間」に対する「成果」を高くすることです。簡単に言えば、一石二鳥、もしくは 半石一鳥にしてしまうということです。「手間」「お金」と「時間」を主たる効率化の対象として改善するのですから、当然、他の事に充当できる「時間」と「お金」をたくさん得ることができるわけです。

さて、この時間とお金、何に使います?

収入を得るために仕事をするというのも良いですし、日頃できない改善活動への投資に使うというのもいいでしょう。人生を豊かなものにするために、余暇に投資するのもいいでしょうし、何もしない日を一日作って、旅館で読書でもしながらボンヤリ一日過ごすのもいいですよね。効率化することと投資する事はセットで考えることが大切だと思います。仕事ばかりに投資しようと考えるから「効率化は人を幸せにするのか?」というような発想が生まれるのだと思います。それとも、一日ボンヤリする事は非効率だからと考えているから?でしょうか。積極的にボンヤリする時間を持つために、他を効率化するのです。幸せな人生のために。自分の時間の価値が高まります。

経験上、効率化って忙しいときの方が効率的に効率化できます(笑)。効率化のアプローチは「(1)同じ事を速くやる」「(2)方法を変えて速くする」「(3)やめてしまう」などいろいろありますが、私の場合は(3)を考え、(1)を行い(2)へ移行するという流れが多いように思います。
翻訳という仕事は、時期によって(?)仕事の量に山谷があり、忙しくなるとなかなか時間の融通が利かなくなります。効率化の検討を行うにはリソースが必要で、忙しいときはそのリソースを作り出せず、なかなか効率化を進められないものです。ただ、そういう多忙時期は業務上の問題点が具体的に認識できるようになり、効率化のネタをいくつも出せるようになります(問題意識がなければダメですが)。

私が今の仕事を始めた時は、まさにそのような状態でした。仕事に追われる状態ですから、効率化を検討する時間が全くありません。まずはきっちりしたタイムマネージメントを行い、そして(2)(3)を検討する時間を作り出すために (1) を必死で行いました。そして、1日に15分程度の時間を捻出し、その時間を使ってあれこれと効率化の検討をし、不要と思われた仕事を止めてしまったり、方法変更を検討して、そのための仕掛け作りをやっていきました。すると当然、効率化が進み、時間にさらに余裕が生まれてきます。これの繰り返しを続ければいいのです。結果的に、ひとりで取り扱える仕事量を1.5倍までアップする事ができました。もし、これがフリーランス翻訳者だとしたら、同じ時間で売り上げが1.5倍になるって事です。余暇は同じで収入が増える。人生楽しめそうではないですか(笑)

「効率化」を何か、人の心を貧しくするようなもの…という印象を持っている人もいるようだけど、私は全くそう思っていませんというお話でした。

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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