翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


コメントする

これじゃ翻訳できません

景気の動向に比例して「部分翻訳」が増減する傾向がありますが(本当か?(笑))、部分翻訳を依頼するクライアントには、まことに困った原稿を送付してくるところがあります。

あなたが翻訳する側の立場に立って、以下の一文を読んでみてください。この文の意味をどう理解されるでしょうか?

注文が多くなっています。

どうでしょう? え?前後の文を読まないと分からない? 残念ながら、前後の文はありません。すべて消されていて、この文しかない原稿なのです。

これでは判断に困りませんか?複数の意味に取れるというのは、分かっていただけると思います。何かの発注が増えているのか、受注が増えているのか、誰かが文句を良く言うようになってきたのか、言ってるのは誰なのか?前後関係が分からないので判断できませんよね。つまり、これでは正しい翻訳はできないということです。

本当にこんな原稿をときどき目にします。その度に全文の提供を依頼するわけですが、ときどき頑なに提供を拒まれることがあります。概ね翻訳を理解しないお客様ですね。

翻訳を依頼する側は(可能な限り)原稿のすべてを翻訳者に渡すようにしていただきたいものです。また、エージェントも同様の対応をお願いしたいですね。(そもそも、ろくにクライアントへ確認もせずに翻訳者に流すな!と言うことです。)