翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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翻訳発注は年度末を避けるべし

年度末が近づくと、あちらこちらで道路工事の光景を見かけるようになります。予算を使い切るための追い込み工事なのかどうかは不明ですが、翻訳業界も同様に年度末になると繁忙期に入ります。

私の感覚では、通常は翻訳会社に登録される翻訳者のうち、トップ5~10%くらいで翻訳案件は回っているのではないかと思うのですが、この繁忙期になると、日頃依頼を掛けないような翻訳者に仕事を依頼するようになるようです。

そうすると何が起きるのか?

それでなくても品質のばらつきが大きい翻訳会社の翻訳品質が、さらに大幅に振れるようになります。呆れるような品質の翻訳物が平気で納品されてくるようです。つまり、翻訳依頼することが分かっているのであれば、2~3月の年度末や長期連休前の翻訳繁忙期を避けて計画した方がいいということになります。

そもそも繁忙期には、いろいろなことにしわ寄せがいきます。翻訳会社は稼ぎ時だから無理をして受注を取り付けようとしますし、翻訳者へは無理な納期で仕事を依頼しようとします。そして社内へも無理を強いて短納期対応していくわけです。遅くとも3月末日の納品・検収が必須で納期延長できない案件ばかりなのに、(残った予算額を使い切ろうと)意外と大きな案件が多い状況になりますから、その負荷は相当なものでしょう。

納期短縮で一番影響を受けるものは何か?
それは間違いなく「品質」です。

納期短縮へ対応するためには稼働時間を延ばすか、「翻訳をする時間」「チェックをする時間」を短くするくらいしか対応方法はないでしょう。多くは稼働時間を延ばして対応されるのでしょうが、例えば自分の体力と精神力を超えた無理な仕事の受け方をすると、それは疲労につながり、集中力へ影響を与え、そして翻訳の品質へ影響を与えます。翻訳会社の中では無理な時間外労働で同様の状況になるでしょうし、時にチェックの間引きをするなどの対応をしているケースもあるでしょう。少なくとも、この時期に納品される翻訳物の質を見ていると、通常時とは違い「何かを手抜きしている、どこかに無理している」と判断せざるを得ない翻訳物を多く目にしますから、この推測は間違っていないでしょう。

翻訳を依頼するクライアント企業は、質の良い翻訳物が欲しいなら、計画性を持って依頼をすることを心掛けた方がいいです。さもないと、同じお金を払うのに、質の低い翻訳物を手にすることになるでしょう。


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SFAオープンスクール終了

  2月27日にサン・フレアアカデミーで開催されたオープンスクールで「WildLight初級セミナー」を行いました。昨年より参加者が減ることなく、21名もの方に出席いただきました。ありがとうございました。

今回は昨年の反省を踏まえ、WildLightの説明に集中する形を取りましたので、何に使えるか?をイメージし易かったのではないかと思います。

WildLightは、基本的に「検索」「置換」「コメント付け」「ワイルドカード」「特殊コマンド」の五つを上手く構成して、ワードに自動で仕事をさせるツールです。それらをどう組み合わせて「自分のしたい処理をさせるか」「どういう考えに基づいて、その処理結果のスタイルを決めるか?」は、中上級コースになります。(東京ほんま会が主に取り扱います。)

セミナーでは、WildLightの開発動機を「汎用性の高い翻訳チェックツールが欲しかった」からだとお話ししました。しかし、何故、検索・置換機能で実現しようと考えたかは説明していません。ツール開発の前に、翻訳者の能力伸長を殺さず「翻訳者がひとり完結で行える翻訳チェック」の「精度」と「質」を向上させるには、どのような方法が良いか?を検討し、その結果から「Easy to Notice」という方法に決定しました。WildLightは、その考えを具現化する方法として開発に着手し、その結果、検索・置換機能を選択したのです。

ツールにはそれぞれ、特性があります。得手不得手があります。また、そのツールがそういうスタイルになった理由が必ずあります。そういったものをちゃんと理解して、自分の目的に合ったツールを使いたいものです。