翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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テリラジ拡大版放送決定「翻訳者の真実」

JTF日本翻訳ジャーナル279号特集記事「翻訳者の真実」のフォローアップ企画です。

誌面の関係で紹介できなかった翻訳者の声、私が伝えきれなかったことをテリラジ拡大版として放送いたします。

視聴される前に、ジャーナル誌面の特別記事を一読しておいていただけると、放送内容が理解しやすいと思います。

かつてはこういうコンテンツは USTREAM を使って放送をしておりましたが、今回は TwitCasting を使用してテリラジ枠で放送します。当番組は、なるべく多くの翻訳関係者の皆さんにライブで聴いていただき、その場のタイムラインで議論や意見交換をしていただけることを期待していますので、スマホさえあればお聴きいただけるラジオ放送にする予定です。(電車の中でも聴けます。)
それから、いつものことですが、番組中における私の発言は、あくまでもひとつの考え方、切り口ですので、多くの方の突っ込みやご意見をタイムラインに流していただけると嬉しいです。

では、皆さんのご視聴とタイムラインへの参加を楽しみにしております。


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JTF翻訳ジャーナル No.279 2015年 9月/10月号公開

  JTF翻訳ジャーナルWeb  

日本翻訳連盟の「JTF翻訳ジャーナル」9/10月号が公開されました。今号の私のコーナー「翻訳横丁の表通り」はお休みです。

今号の読みどころ:

特集記事「翻訳者の真実」

7月にTwitter/Facebook を通してフリーランス翻訳者さんにお願いしたアンケート結果のまとめ記事です。

無料でお読み頂けますので、皆さん、是非、お気軽にアクセスしてお読み下さい。


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これじゃ翻訳できません

景気の動向に比例して「部分翻訳」が増減する傾向がありますが(本当か?(笑))、部分翻訳を依頼するクライアントには、まことに困った原稿を送付してくるところがあります。

あなたが翻訳する側の立場に立って、以下の一文を読んでみてください。この文の意味をどう理解されるでしょうか?

注文が多くなっています。

どうでしょう? え?前後の文を読まないと分からない? 残念ながら、前後の文はありません。すべて消されていて、この文しかない原稿なのです。

これでは判断に困りませんか?複数の意味に取れるというのは、分かっていただけると思います。何かの発注が増えているのか、受注が増えているのか、誰かが文句を良く言うようになってきたのか、言ってるのは誰なのか?前後関係が分からないので判断できませんよね。つまり、これでは正しい翻訳はできないということです。

本当にこんな原稿をときどき目にします。その度に全文の提供を依頼するわけですが、ときどき頑なに提供を拒まれることがあります。概ね翻訳を理解しないお客様ですね。

翻訳を依頼する側は(可能な限り)原稿のすべてを翻訳者に渡すようにしていただきたいものです。また、エージェントも同様の対応をお願いしたいですね。(そもそも、ろくにクライアントへ確認もせずに翻訳者に流すな!と言うことです。)


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単価という数字の意味

翻訳者が仕事を請ける際、翻訳会社やクライアントから提示される単価の意味を考えているのだろうか?

先日行ったフリーランス翻訳者アンケートの回答を眺めながら、そんな疑問が頭に浮かびました。(アンケートのまとめは、来週公開されるJTF翻訳ジャーナル第279号に掲載予定)

報酬として支払われる金額は、何に対する対価なのか?を明確にしないで仕事を請けているように感じる回答が散見されました。「翻訳作業の対価」と捉えている方が(そう考える根拠は別として)ほとんどですが、その確認がされておらず、後になって翻訳会社/クライアントとの認識にズレが生じ、不満を感じる結果となっているようです。

単価の話はSNS上でも良く話題になりますが、その数字の意味する基準が違えば、単純な比較はできません。単価10円と言っても、例えば「翻訳作業のみ」なのか「翻訳作業と用語集作成と編集作業」なのかで、意味が全く違ってきます。

報酬額が何の作業に対するものなのかを、受注時に合意しておくことが大切だと思います(もっと言えば、責任の範囲をハッキリさせる)。長年の取引があり信頼関係ができている取引先なら、そういった確認プロセスも不要ですが、取引を始めたばかりの新しい取引先や担当者が変わったばかりの取引先は、受注時の条件をはっきりさせて合意形成してから仕事に着手するという姿勢が大切だと思います。

そのためには躊躇せず、数字(報酬額)の意味をハッキリさせること。不明な点は取引先に確認すること。単価に含まれない作業があるなら、その作業の取り扱いや単価を確認すること。納品仕様を確認すること。受注時にしっかりと仕様と条件を合意しておけば、納品後に仕様を逸脱する要求を取引先がしても、追加作業として費用請求したり、断るなどの対処ができるでしょう。


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翻訳物はイイワケをしない

昨日、どんな条件でも品質を妥協点としてはならないという記事を書きましたが、もし仮に、顧客が「品質を担保しなくて良いから、やってくれ」という条件を提示してきたら、どうしますか? 自分の見積りが「我武者羅に頑張って翻訳して、チェックしないで納めれば間に合いそう」だったら、この仕事を受けますか?あなたなら、どうするでしょう?

私ならキッパリと断ります。

納品後にこの顧客とトラブルになったとしても、合意した条件を説明すれば、一応責任は回避できそうです。さて、この「顧客」って誰なのか?です。誰が納得してるのかです。多分、自分と交信している担当者(発注者)、もしくはその先にいる担当者でしょう。納品した翻訳物に対する「品質無担保」の「いいわけ」を知ってるのは、それらの担当者だけということになります。

私はよく「翻訳物は独り歩きする」と言ってるのですが、納品した翻訳物がどこに渡り、誰の目に触れるかはまったく予測がつきません。翻訳会社なら他の担当者が目にするかもしれませんし、ソースクライアントなら他の部署の人間が目にするかもしれません。目に触れた翻訳物が、よほど素晴らしい翻訳だったり、あまりに酷い翻訳だったりすると、「これは誰が翻訳したものか?」という話に必ずなります。概ね、酷い場合の方が「誰?」という話になり易いですね。

その評価や判断は、その担当者ではなく、翻訳物の利用者(だったり最終読者)がするわけです。そこで「翻訳者はAさんです。」という話が出れば、先述の「いいわけ」を知らない人は「Aって翻訳者は酷いな」という印象を持ち続け、「この翻訳者には仕事を頼むな」という判断を出し続ける可能性が生まれるわけです。

翻訳物に前提条件なんて紐付けされていません。

翻訳物に「いいわけ」は書いてありませんし、その「いいわけ」を利用者が認識することはありません。つまり、例えどんなに前提条件を付けて合意して、翻訳の仕事を請けても、その先では翻訳物の品質が全てと判断されるのです。品質を担保しなくていいなんて案件の打診があったら、そのリスクを十分に認識した上で判断しましょう。私は「断る」ことをお勧めします。