翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


JATセミナー「マクロでWordをチューニング」聴講報告

昨日(2月9日)、日本翻訳者協会(JAT)主催の月例セミナー「マクロでWordをチューニング」を聴講してきました。

講師は Microsoft MVP for Word で、ブログ「みんなのワードマクロ」で有名な新田順也さんです。セミナー内容は以下のような内容でした。

  • Wordのおせっかい機能と賢くつきあう方法
  • ツールバーを自分好みにカスタマイズする
  • WordマクロでWordをチューニングする
  • フリーウェア(無料マクロ)でここまでできる!
  • キーボードからWordマクロを実行
  • Wordマクロの今後の展望

(新田さんのブログ「みんなのワードマクロ」から引用)

セミナーの中で紹介があったマクロ、書籍は以下の通りです。

このセミナーで私が一番印象に残ったのは、「オートコレクト機能を全部オフにする」という点です。セミナーで新田さんは、口頭で明確には言及されませんでしたが、過去の彼のセミナーを聴いた経験から判断して、新田さんが良く仰っている「ワードを自分のコントロール下に置く」という考えに基づくものであると思います。

この考え方は、ワードをツールとして使用する(使用せざるを得ない?)翻訳者にとって、とても重要な考え方だと思います。少なくとも、AutoFormat や AutoCorrect なる「おせっかい機能」が、自分の意志とは全く関係ないところで、自分が行った作業を書き換えている事に、危機感を感じない意識は即刻、正すべきだと思います。

道具(ツール)は、自分が意図した通りの結果を生み出してくれるものが良いツールであり、意図した通りの結果が生まれるようにツールを整備する事が、プロフェッショナルでしょう。Auto機能は機械が「良きに計らって」くれるから〜と鵜呑みにして、その機能の意味も理解しないまま初期設定で使用する事は、あってはならないと思います。「私は正しく入力した筈なのに…」という翻訳事故が発生するかもしれません。決して自動化してくれる機能を否定している訳ではなく、その機能を理解した上で、自分の意志でその機能をオンにしているという意識が大切だと思うのです。

これを機会にワードの AutoFormat, AutoCorrect の機能を見直してみてはどうでしょうか?


翻訳勉強会「十人十色」のビデオが公開されています

2012年10月26日に開催された翻訳勉強会「十人十色」のビデオが公開されています。


20121026勉強会(新田さん発表の一部)


20121026勉強会(第一部)


20121026勉強会(第二部)


20121026勉強会(第三部)


IJET-23 に出席してきました。

以前の記事「IJET23「翻訳の品質管理」セッションに出ます」でお知らせした通り、6月2日〜3日に広島にて開催された第23回日英・英日翻訳国際会議(IJET-23)に、パネリストとして参加してきましたので、簡単にご報告致します。

私が聴講したセッションは以下の通りです。

【6月2日】

  • 基調講演「感性のマツダロードスター」
  • パネルセッション「SNSで翻訳者はどう変わるか?」
  • パネルセッション「翻訳の品質管理」★パネリストとして登壇
  • パネルセッション「Pecha Kucha 法人化」
  • 音声入力ソフトにおける2つの盲点

【6月3日】

  • 司法通訳の現状を考える
  • 医療通訳 − 課題と展望
  • Evernoteのローカライズに関わったら IJET-23 広島にたどり着いた
  • 翻訳会社本音トーク − グローバル市場における翻訳の品質管理

これらセッションは JAT ホームページでビデオが公開されるそうですので、そちらをご覧下さい。

当記事では私が出席した「翻訳の品質管理」のセッションについて、簡単に感想を述べたいと思います。

「翻訳の品質管理」パネルセッション

出席者:牧野 一成さん(モデレータ)、東 尚子さん(フリーランス翻訳者)、新矢 隆さん(株式会社クロスランゲージ)、そして私。

何しろ、誤訳問題で話題となった東北博ホームページの株式会社クロスランゲージからパネリストが出席されている事から、その話題が必ず出され、かなりの時間を占有するのではないか?という私の予測は、見事に的中しました。

パネルディスカッションスタート直後、議論の糸口を「品質」という大きなところに求めたため、どう切り込んで良いか少々悩みました。私もパネルディスカッションに臨む上で、どのような話をしようかと事前準備していましたが、それは「翻訳品質」に対する立場による基準の違いです。取り敢えず、私が言いたかった一部「翻訳する側と発注する側の翻訳品質に関する認識のずれ」の話はできたと思います。この辺りの話は、今後、ブログか Ustream 放送で話をする機会を作りたいと考えています。

早い段階で会場から質問を受けたのですが、最初に出された質問が、あの東北博ホームページの誤訳問題でした。株式会社クロスランゲージ社の新矢氏が回答されました。彼の説明はマスコミ報道の内容と大差はなく、機械翻訳の性格の説明、用語集が提供されなかった事、あのサービスは無償で提供している事などの説明がされました。聞いていた私は、報道通りかと少々がっかりしました。その説明に加え、他自治体で成功している例や機械翻訳を適用するエリア等の説明がされ、最終的には自社製品の良さを宣伝されたような内容になったと感じました。私が話を聞いた感じでは、例のホームページの件に関しては、あくまでも「システム」を販売したのであり、「用語集」を含めてソフトが出力する結果は使用するユーザーの責任であると言う見解なのだろうと解釈致しました。

この話が元で、「機械翻訳は翻訳者にとって脅威か?」という話題が出され、会場にアンケートをとったところ、殆ど挙手がありませんでした。設問を「機械翻訳により翻訳者の単価が低単価へシフトし、結果的に収入減に繋がるという意味で脅威を感じているか?」に変えて質問すると、パラパラと挙手がありました。実際、受注する案件を単価ベースで、高、中、低、に区分した場合、売上げを底支えしてくれる「低」の案件が減少しており、全体の売上水準を下げているとお話をされた翻訳者さんがおられました。

概ね、話された話題は以上のようなものだったと思います。

セッション日の夜にあった懇談会で、新矢氏と話す機会がありましたが、その内容はここには書かない事に致します。彼も一担当者(しかも別の担当)として今回のセッションに臨んだのであり、彼の発言が会社を代表した発言と捉えられるのは不本意であろうと判断するからです。

さて、セッションの話は以上として、このような大きなイベントで大切なのは「ネットワーキング」です。

IJET23の参加者は200名を超えたと聞いています。日本のみならず、海外からも出席されており、ネットワーキングには絶好の場となります。今回、つくづく感じたのは、Twitter/Facebook で自分の写真をアイコンに使っている事による効果です。先方から声を掛けて頂いたケースは数知れず。まるで旧知の仲のように親交を深められる事も、素晴らしい事の1つだと思いました。

今後、こういうイベントへ参加される方へ提案したいのは、以下の事。

  • 先の記事でも書いた通り、Twitter/Facebook 等によりネットワーク上で既に交流がある人は、その名刺を別途準備する。(Twitter名刺、Facebook名刺など)
  • それらの名刺には、業務で使用しているビジネス名刺に入れている本名も入れる、もしくはビジネス名刺側にネットワークのアカウント名を入れる(ネットワーク名刺とビジネス名刺の情報リンクを確保する)。
  • また、それらの媒体では自分の顔写真をアイコンに使用する。ずっと顔写真を使う事に抵抗があるなら、イベント前1週間だけ、顔写真にするなどの対応でも十分に効果があります。

来年の IJET はハワイで開催されるとの事。海外開催では流石に個人として行くには少々難しいのと、会社の業務として行くにも承認がおりそうにないので、多分、出席は無理。でも、再来年の日本開催では参加を検討したいと思っています。

最後に、IJET23実行委員会の皆様に、改めてお礼申し上げます。ボランティア活動でありながら、あれだけ見事な国際会議を開催されたその努力は想像を超えるものがあります。また、細やかな気遣いが感じられ、とても快適に二日間を過ごす事ができました。実行委員会の皆様、本当にありがとうございました&お疲れ様でした。


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【予告】UST放送第三回:続・社内翻訳者対談

USTREAMセミナー第三回目を以下の日時に放送致します。

日時:11月19日(土) 20:00~21:30 (1時間半を予定)
テーマ:
1)フリーランス翻訳者周辺のお話
2)翻訳品質管理って?

社内翻訳者でもあるポール牧野氏と私で翻訳対談をしたいと思います。

第二回放送時に積み残したトピックスから、上記2点に焦点を当てて話を進めます。勿論、ツイートでの質問やコメントで話の展開は未知数。皆様との共有する時間を大切にして、お互いの情報交換の場にしたいと思います。

奮ってご参加ください。

今回の放送も「録画なし」ですので、お見逃しのないように!

当日は Twitter を使って色々な質問をして頂ければ、可能な限り私と牧野氏でお答えしたいと思います。

ハッシュタグ: #usterry

URL: http://j.mp/vEu3jh