翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


【告知】翻訳勉強会「十人十色」USTREAM放送

翻訳勉強会「十人十色」の勉強会模様をUSTREAM放送致します。

日時:10月26日(金) 13:30頃〜

USTREAMチャンネル:翻訳勉強会「十人十色」


Streaming live video by Ustream

@hinischani さんからの告知:

今回はITを中心とするベテラン翻訳者とワードマクロの達人のコラボとなります。自分の翻訳方法を公開してお互いに学び合う会です。当日はツイッターやfbからご質問等よろしくおねがいします。今回は「IT海千山千編」で@karamora @SusiePiyoko @nittajunya @terrysaito @transcreative @baldhatter @Yoshi09002 @sagtran が参加します。

PC上での操作がメインとなると思われますが、USTREAM放送の性質上、あまり詳細な画面は識別出来ないと思います。それを予めご了承下さい。雰囲気と音声で想像しながら(笑)ご覧下さると嬉しいです。


翻訳者の時給っていくら? [アンケート結果]

Twitter にて Baldhatter さんに依頼され「翻訳者の時給」を調べるべく、例の如くアンケートを実施しました。

[アンケート] 貴方の平均的な「単価×時間当りの処理量」を教えて下さい

総投票数は62。時給換算で3,000円〜3,500円を中心にして分布しているようです。

時給を知りたいとする背景のひとつには、実のところ、勤め人のような労働時間で働いたら、どれくらいの年収になるのか?と言う、一つの指標として、翻訳と言う仕事の現状を知る事が出来る点にあります。(税金は含まれてるのか含まれていないのか分かりませんが…)

厚生労働省の資料を見ると、平均年間労働時間は、平成20年度で1,813時間。但し、これにはパートタイマーが含まれています。それを除外した一般労働者は、1,996時間。これは、一日8時間労働したとして年間250日働く事になります。週休二日に一週間の休暇程度の余裕度でしょうか?

この1,996時間を使って逆算すると…

時給3,000円 = 5,988,000円
時給3,500円 = 6,986,000円

このレンジが、翻訳者の年収として中心にくると思われます。

ご自身の時給から、仮に一般と同程度の労働時間で働いたら年収は幾らになるのか?を知る上で、単純化して「時給×2,000(時間)」で計算するといいでしょう。

翻訳と言っても、色々な分野があり、それによって単価も違ってきます。分野別に見るとどうなのか?が気になりますが、今回のアンケートでは分かりません。

「翻訳で食べていく」には、どの程度の時給にしなくてはならないのか?

そこで、一般的な年代別の年収を知りたい訳ですが、国税庁が出している平成22年度「民間給与実態統計調査結果」を見ると、どうも年収額がしっくりきません。これは全てをひっくるめた数字だからと思われます。企業規模で分類された数字がないかを探してみたら、「大卒男、民間平均給与」を示しているホームページを見つけました。データが少々古いものの、1000人を超える企業の年収が分かります。

40代以上を見ると年収900万〜1000万円。これを逆算すると、時給5000円程度という事になります。

以前行った「フリーランス翻訳者の年収アンケート」の分布と比率が違うのが何故か?が気になりますが、これは年間の労働時間が上記の2000時間に満たない方、つまり兼業の方も含まれたデータである事が1つの原因だと思われます。

このデータは、今後もたまに見直し、加筆をしようかと思います。


【2020年8月19日加筆】

Buckeyeさんが、8年前のこの記事を題材にブログで考察を記事にされたのをきっかけに、久し振りに読み返してみました。

Buckeye the Translator : 翻訳者の時給アンケートと年収アンケートの関係について

時給を求める上で行ったアンケートの質問が「単価×時間当たりの処理量」であったことから、回答者は単位時間当たりの翻訳量を単純に回答したはずで、そこには翻訳周辺作業(事前準備、調べもの、翻訳チェック、事務処理など)の時間はまったく含まれていません。

つまり、このアンケート結果をもって「時給」とするのは間違いです。私の本記事は、この時給値をそのまま使って年収を計算していますので、不適切です。

では、どれくらいが実態なのかですが、これは個人差があることですので、アンケートを採るなどしてデータを集めないとわからないでしょう。

ちなみに、私個人の翻訳者経験からくる感覚でいえば、翻訳に費やす時間は全作業時間の5割程度、もしくはそれより下回る印象です。

強引にこの(個人的感覚による)時間比率(50%)で計算すると、時給の中心値は、1,500〜1,750円ということになります。また、仮定として利用した労働時間 2,000時間で乗ずると、年収は 300万〜350万円となり、別記事「フリーランス翻訳者の年収アンケート結果」とほぼ符合することになります。ちなみに、日本翻訳連盟が発行している2017年度の翻訳白書とも合います。

なお、年間労働時間2,000時間は厚労省の資料に基づいていますが、さまざまな業種が含まれた平均値で、1日8時間労働で250日働くイメージになります。ただ、私個人のイメージからは懸け離れて大きい数字です。現在、大手企業の規定内労働時間は年間1,800時間くらいではないでしょうか。これに有給休暇が加わるので、実質的には1,650時間〜1,800時間のレンジ。

仮に年間売上高1,000万円を目指すとして「単価×時間当たりの処理量」を乱暴に計算すれば、12,000円程度必要です。単位時間当たりの処理量から必要単価が、現在の単価から必要な処理速度が逆算できますね。

以上、本記事がミスリードする危険性がありましたので、加筆しておきます。


翻訳者は返信が早い方がいい

翻訳会社・エージェントからの問合せ(特に案件打診)に対して、すぐに返信をする翻訳者が好ましい…とするツイートや、セミナーでの発言があったらしい事を最近耳にした。

これを翻訳者さんが仰っているのなら、私も反応しなかったのですが、仕事を依頼する側の翻訳会社・エージェント側の発言らしいことを知って、少々危険な発言ではないのか?と感じたのです。以下に私の考えをまとめてみます。

少なくとも私は、翻訳会社の立場として考えた時に「すぐに返信をする翻訳者が好ましい」とは微塵も考えていません(そうしてくれるとありがたいとは思うが)。業務上のやりとりは電話やメールを使用する訳ですが、その際に翻訳者さんたちに期待していることは、以下のようなものです。(基本的な前提条件として、社会人として相応しくない言動/行動だとか、返信に数日を要するような方は、最初から仕事の依頼先として入っていない。)

  • 連絡当日中に返信をいただく。(極端には翌朝の朝一番に返事が読めれば良い)
    勿論、それぞれの翻訳者さんのレスポンスタイムは頭に入っているので、その範囲なら問題は感じない。
  • 回答期限を設定しているものは、当然、それまでに返信をいただく。
    但し、回答期限を切る以上、電話や携帯メール等の手段を使ってこちらから別途、先行して連絡を必ずする。

連絡や返信、一連のコミュニケーションは電話や電子メールでやりとりされる訳ですが、フリーランス翻訳者さんにもいろいろな事情を抱えた上で、翻訳の仕事をやって下さっている方がいる訳で、その連絡できる時間帯や状況も人さまざまです。従って、「すぐに返信」ができない翻訳者さんも(うちには)います。例えば、二足の草鞋を穿いた翻訳者さんや、育児の合間に仕事をしている翻訳者さん、介護の合間に翻訳をされている翻訳者さんなどなど、何かしらの事情で時間の制約を受けながらも、翻訳者さんとして活躍されている方ですね。こういう方達に「すぐ」の返信を求めるのは酷なことです。じゃ、彼ら彼女達が翻訳者としてのプロ意識に欠けているのか?というと、全くそんなことはありません。

コンタクト出来る手段と時間帯は、あくまでも翻訳者が抱える1つの特性です。翻訳の取扱分野や翻訳の質、訳の傾向、スピード等々と同様に、翻訳者の特性として捉え、翻訳コーディネーションの中で管理して運用すべき要素の1つでしかないと考えています。

私が言いたいのは、エージェント、翻訳会社の類の立場で、「すぐに返信する翻訳者が好ましい」というスポット的な発言は、暗に「すぐに返信することが当たり前」とか、「そういう人は意識が高い」といった間違った認識を一般に植え付けはしまいか?ということです。業界の優秀な翻訳者さん達のすそ野を広げたい我々エージェントがそのような発言をすれば、直ぐに返信できる環境にない翻訳者さん達はどう考えるのか?そういう方達が業界に入ってこなくならないのか?翻訳会社は自分で自分の首を絞める発言になっていないのか?…と色んな懸念とリスクを感じてしまいます。

少々いやらしい言い方をすれば、上述した通り、レスポンスタイムも翻訳者さんの特性のひとつ。ならば、エージェント自ら、マネージメントが出来ていないことを認めた発言のように捉えられる危険性も秘めていると思うのです。「すぐの返信」が欲しければ、そういう対応が可能な翻訳者をアサインし、即返信していただけるような問合せの仕方と内容で連絡すべきです。私たちのようなエージェント側がこんな発言すると、あたかも自らの怠慢を翻訳者さんに責任転嫁して押しつけているような感じがして、とても気持ちが悪いのです。

さて………実際のところ、この発言の意図は違うところにあるのだと想像します。前提条件をもう少し具体的にハッキリさせた方がよいでしょう。

至急案件への対応で、それを上手く乗り切る為には「すぐに返信をする翻訳者が」ありがたいのだ…と。そういう翻訳者さん[も]欲しいのだ…と。

ここからは翻訳者としての考え方です。

このことから分かると思いますが、翻訳者の立場からものを考えた場合、より多くの仕事をとる上で「すぐに返信をする翻訳者さん」が重宝がられるということを情報として理解し、営業の戦略にすると良いだろう…ということですね。

それから、レスポンスタイムは翻訳者の特性のひとつと捉えていると申し上げました。実際に案件を依頼しようとしたときに、依頼先選定にどう影響してくるのかは、良く想像して考えてみてほしいのです。以前、過去記事の「95%より85%の速い翻訳!?」でも述べましたが、昨今の翻訳案件は日程的に厳しいものが多いのです。そうです。つまり、翻訳者としてレスポンスタイムも1つの付加価値となり得るということです。

オリジナルの発言は、多分、これを意識して発せられたものだと思います。「レスポンスタイムを短くされると、仕事が増える可能性がありますよ~」という意図を持った発言だと解釈します。(決して「短くしろ」といっている訳ではない)


翻訳者に甘えるな!

翻訳コーディネーターたるもの、翻訳者さん達に気持ちよく仕事をして頂く段取りを打つのが、ひとつの使命だと日頃から考えている。

なので、翻訳者さん達に仕事をお願いする仕方も、日々、注意しなくてはと思っているのだが、忙しさにかまけて、曖昧な指示を出したり、余計な作業をお願いしてしまう事がたまにあり、反省しきりである。

「作業費を払えば問題はないだろう?」…と言う人もいるのだが、そう、単純には考えていない。

そういう周辺作業に長けている方達へは、あまり影響がないだろうが、煩雑な作業は、多少なりとも翻訳品質へ影響しているように感じるからだ。

勿論、夫々の翻訳者さんの周辺業務のスキルと、互いの関係によって、そういう依頼内容は変えているつもりなので、実害は生まれていないのだが、私が気に入らないのは、翻訳者さんに甘える意識が何処かにあり、そこに最終的に逃げ込むような仕事の依頼をしている事があるという事。

よく聞く「丸投げ」なんて、甘えの構造の最たるもの。そんなものは、コーディネーションでも何でもない。

共に良い品質の翻訳物を作る…という意識に立って、翻訳者さん達と Win-Win の関係で仕事をして行きたいと強く思う。もっとスムーズで簡潔明瞭な依頼が出来るよう、日々精進していきたいと思う。

自戒の念を込めて。


敵を知る(翻訳と下請法)

フリーランスの通訳者さんや翻訳者さん達は、仕事を請ける相手が翻訳会社やエージェントであったり、クライアントからの直請であったり、さまざまな事でしょう。

仕事の受発注に絡んで、色々と問題ある話しを伝え聞いています。

ひとつ、気にしておいて欲しい事は、「下請法」というものの存在です。下請けとして働く者を守る法律ですから、自分の身を守るためにも少し勉強しておく方がいいと思います。

公正取引委員会 下請法ホームページ

この公正取引委員会のホームページには、下請法を理解する上で役に立つパンフレットが複数準備されているので、ダウンロードして読まれる事をお勧めします。

これらのパンフレットを読み、理解する上で必要と思われる情報を、以下に書いておきます。

発注する側である翻訳会社/エージェント/クライアントは「親事業者」、仕事を請けるフリーランス(個人事業主)の方々は「下請事業者」に該当します。また、フリーランスの方々は、資本金1,000万円以下の下請事業者に該当します。
翻訳は「情報成果物作成委託」に該当します。従って、下請法の適用を受ける親事業者は、資本金1,000万1円以上の事業者と言う事になります。

上記のホームページにあるパンフレットの中で「知るほどなるほど下請法」が分かりやすいかもしれません。

親事業者の義務と親事業者の禁止行為等が書かれています。例えば、義務の1つには、発注書面の交付があります。つまり、口頭発注はダメって事です。禁止行為には、代金の減額とか受領拒否などがあります。下請事業者側に責任がないのに、下請代金を発注後に下げるとか、発注の取り消しや納期の延期で受領を拒否するなどは禁止されています。

でも、どこかで聞いたような話ですよねぇ。

取引する相手が、資本金1千万1円以上かどうかという事を意識しておく事も大切なのでしょう。その上で、正しい運用をしているかどうかを見る事で、取引先の意識と質が判断できるかもしれません。