翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

トライアルの期限

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翻訳会社と仕事を始める場合、トライアル翻訳は避けて通れないものだと思います。そのトライアル翻訳の内容ややり方は、翻訳会社により考え方がまちまちで、また、募集する翻訳者の特性や依頼予定の翻訳案件の特性によっても変えている場合があります。

トライアル翻訳に設定されている条件は、そういった特性を反映している可能性があると理解しておいた方がいいでしょう。以前、「たかがトライアル、されど…」という記事を書きましたが、トライアル翻訳の期限などは分かりやすい条件かもしれません。

通常であれば「日数」で設定される期限が、「時間」で設定される場合があります。そういう条件の場合、翻訳速度も必要特性として見ている可能性が出てきます。(例え、通常翻訳の速度から判断して余裕がある期限設定であってもです。重要なポイントは、なぜ翻訳会社は日数ではなく時間制限を選択したか?というところです。)

私が翻訳者の立場なら、そういう条件を課せられたトライアル翻訳から感じ取れる翻訳会社の思惑や意図、それに要求特性から、もしトライアルに合格しても、納期に厳しい案件を優先的に依頼される可能性があると感じ取ると思います。翻訳会社側は、そこそこの質でサクサクと短納期の仕事をこなしてくれる翻訳者を探しているのかもしれません。そんな翻訳会社の意図を類推して、自分の志向や意思に合致しているかどうかが、トライアルを受けるか否かの判断に繋がると思います。簡単にいえば、他の条件も鑑み、そういう仕事を自分がやりたいか、やりたくないかで考えれば良いと思うのです。

一方、同業者の立場で「時間」期限を設定してくる翻訳会社を考えてみると、私には、この時間制限は単に速い翻訳者を探しているようにしか思いつきません。求められる翻訳品質をどこにおいているかにもよりますが、少なくとも翻訳会社側の意識は、「質」より「速度」であることに、間違いないと思います。また、十分な期限を設定しない裏には、翻訳者の都合に関係なくトライアル翻訳を捻じ込むような意識が見え隠れしているように感じられて、その会社の翻訳者に対するスタンスが現れているとも解釈できます。

翻訳会社も、条件を設定する以上、その条件の目的と意図したとおりに機能をするかをちゃんと判断する必要があります。本当は優秀な翻訳者が欲しいのに、目的に合わない条件を付けたために避けられてしまうということも実際におきているのを見掛けます。先の「時間制限」も同様に、果たして翻訳会社の本当の意図に合致しているのかはとても怪しい気がします。

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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