翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.

昔、英語学習で心掛けたこと

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東京ほんま会メンバーと雑談をしていたら、自分が渡米した頃に英語学習で心掛けていたことをボンヤリと思い出した。当たり前のことばかりなのだが、参考にブログ記事にしてみようと思う。

渡米前はまったく英語のE文字(笑)もできなかった人間なので、どうすれば早く英語を習得できるかをいろいろと考えたわけです。

子供はどうやって言葉を学ぶ?

英語漬けの環境という英語学習には最高の環境を手に入れるのだから、有効に活用しようと考えるのは当然ですよね。

目に触れるものや耳から入るものすべてが英語なのですから、きっと赤ん坊が言葉を学ぶ時のようなアプローチが取れるはずと考えました。そもそも我々が赤ちゃんの頃に日本語を学んだのも、見て聞いて会話して相手の反応をみて、イメージとして言葉を理解していったわけです。英語を頭でなく身体で覚えるには、それが必要だろうと考えたのですね。

言葉という厄介なもの

ただ、イメージで理解するには相当量の情報インプットとコミュニケーション、そしてそれらを高速に処理して蓄積できる高性能なプロセッサ(つまり頭の能力(笑))がないと成立しないので、どうしても辞書に頼るしかありません。当時は、研究社新リトル英和辞書の裏表紙と和英辞書の表表紙を両面テープでくっつけて、背をガムテープでガッチリ止めたものを今のスマホ並みに常に持ち歩いていました。

生活のあらゆる場面で辞書が必要になるのですから、これくらいコンパクトでいつでも持ち歩ける辞書の方が都合が良いのです。もちろん、自宅で勉強するときはちゃんとした辞書を使いますし、英英辞書も使います。

分からない単語は片っ端から英和辞書で調べるわけですが、この時、時間の許す限り全部読む。ひとつの適切な解釈に辿り着いても、とにかく全部読む。そうしないと、その言葉のイメージが正しく把握できないからです。日本語で言葉の意味を知っているが故に、辞書にあるひとつの訳語(日本語)に頼ると言葉のイメージを間違えて覚えてしまう。言葉が1対1で対応する事なんてあり得ないですから注意が必要です。規模は違えど今も同じやり方で辞書は全部「読んで」います。翻訳者の方なら多分当たり前にやっていることでしょう。

全部読む目的は他にもあって、「新しい言葉との出会いを大切にする」ことを念頭に置いていたからです。その言葉にまたいつ出会うか分からない。出会いを大切にして可能な限り全部読んで身に付けようと思ったのです。また何度も調べるのは非効率だと思い、一度に全部読んで把握しようと考えていました(実際は何度も調べるんですよ、頭に入らないので。大切なのはそういう意識を持つこと)
(参考:過去記事「辞書を引いたら機会を有効に」)

テレビや本という強い味方

強烈に興味のあるものでなければ「もっと知りたい!」という欲求が生まれませんよね?時にマンネリになったり、やる気を失いがちな言語学習ですから、楽しんで英語が入ってくる方法が理想的。当然、いきなり難しい言葉の連続では頭に入ってこないので、初めの頃はテレビでコメディドラマばかり見ていました。この手のファミリードラマは日常的に交わされる会話が多いので、即役に立つ英語が覚えられて良かったと思います。ジョークも最初は何がおかしいのか分からなかったけど、その言葉の語感が理解できるようになってきたら、とても面白くなりました。もちろん、テレビを見ているときの左手には辞書を常に持っていました。

生きた英語を学ぶとは、決して言葉の意味を計算式のように記憶することはなく、言葉の示すすべてのことをイメージとして捉えられるようになることだと感じています。そういう意味で、テレビってとても良いお友達でした(笑)

マイコン時代からコンピュータは好きで良く触っていたので、在米時代にもコンピュータ雑誌をよく読みました。また、当時のパソコン通信「CompuServe」にもアカウントを持ち、コンピュータ関連のグループも良く読んでいましたね。内容を把握したい、読みたい、知りたいという欲求が英語学習の背中を押してくれました。

これは翻訳者の専門分野を広げる話に繋がるところがあります。自分はこの分野が好き。そういう分野が自分の勝負できる分野になるんですよね。苦労を苦労と感じることなくリソースを注ぎ込んで勉強できるわけですから。

いきなり調べたりしない

仕事や出先ですぐに理解しなくてはならないという状況でない限り、以下の手順で調べていたように思います。

  1. 文章の前後関係から、その言葉の意味を想像する。
  2. その推測が正しいかを英和辞典で確認する。
  3. その言葉の枠組みを把握するために、辞書を全部読む。

テレビを見ているときはどうしたの?という疑問が生まれると思います。テレビの時は以下のようなやり方でした。

  1. 発音で言葉を覚える。
  2. 話しの前後関係から、どういう意味かを想像する。
  3. 発音からスペルを想像して、辞書で片っ端から調べ、推測が正しいかを確認する。
  4. 言葉の枠組みを把握するために、辞書を全部読む。

在米時代はまだまだ若かったのもあり、リテンション力も良かったので、一連の会話を頭の中で再現できました。だから、こんなやり方ができたんでしょう。今の私では無理です(笑)

この「発音からスペル」という流れの学習は、その後、タイプミス防止トレーニングに非常に役立ちました(以前の記事「タッチタイピング」をご参照のこと)。

イメージ把握、そして日本語から言葉の輪郭を追い込む

さてはて、これが正しいアプローチなのかどうかは分かりませんが、私はこんなやり方をして当初は英語を学習していました。翻訳に携わるようになっても、基本的に同じアプローチをとっています。言葉が使われている情景を記憶して、その情景における意味を把握して、そしてその言葉の広がりを知る。

辞書はとことん「読む」。今や電子辞書やスマホに辞書が入る時代。より詳しい記述のある辞書をすぐに読める環境に羨ましささえ感じます。

英語学習をされてる方、あくまで上記は我流なので参考程度に(笑)

作成者: Terry Saito

二足の草鞋を履く実務翻訳者です。某社で翻訳コーディネーター、社内翻訳者をやっていました。 詳細は、以下のURLよりどうぞ。 https://terrysaito.com/about/

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