翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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エクセルを文書作成に使うな

翻訳依頼されてくる文書に、時々、エクセルで作成されたものを見掛ける。1シートが1ページになっていて、文書のページ数分のシートが存在している。そして、1つのセルにダラダラと日本語が書き連れられ、右マージンを超えそうなところで文章がポッキリと折られ、ひとつ下のセルに続きが入力されている。テキストボックス内も、文がポキポキと折られている。もはや、節とか段落とか考慮されているわけもなく、日本語の文字の羅列があちこちのセルに散在しているようなエクセル文書を見るたびに溜息を吐いてしまう。

最近、エクセルをワープロのように使おうという趣旨の記事が、SNSを流れてきた。そして、一斉に複数の翻訳者さん達が悲鳴をあげていた。もっともな話である。そんなものを普及されて、エクセル文書がどんどん翻訳依頼されてきたらと考えると背筋が凍る。

エクセルを文書作成に使うなら、以下の場合に限定せよ

エクセルを文書作成に使用して良い条件は、以下のような場合だと思う。

  • 単発の文書で、今後、改訂されることがない。
  • 翻訳されない。

つまり、自分一人で完結し門外不出ならば、どうぞどうぞ、勝手にお使いくださいということになる。しかし、作成された文書(ファイル)を、後に誰かが改訂しなくてはならないとか、翻訳する可能性があるのなら、絶対にやめた方がいい。

エクセルで作成された文書は、改訂や翻訳に向かない

ワード文書などと比較すると、改訂に伴う作業時間が増大すると思われる。数文字の追加のために、ポキポキ折れた文をさらに別の箇所でポッキリ折って、溢れた文字を次のセルの文にくっつけて、またポッキリ折って…なんて非生産的な作業を何度も繰り返さなくてはならない。極め付けは、ページを跨ぐような事態になった場合、帳尻合わせが大変になる。

エクセル文書を翻訳する場合も、これまた大変な作業になる。全ての翻訳対象文はテキストボックスやセルに入っているので、それぞれのオブジェクトをクリックしては作業をするという繰り返しとなる。つまり、通常より余計な工数が掛かることになる。また、英訳であれば日本語より当然、文が長くなるわけで、そうすると行の長さを合わせるためのポキポキ折りや、オブジェクトに収まるようにフォントサイズを変えたりオブジェクトのサイズを変えたりと、これまた余計な工数が必要となる。加えて、文節とかパラグラフとかといった概念が吹っ飛んでいるので、翻訳ツールとの相性も悪く、翻訳するにも品質保証するにも余計な時間や手間が必要となる。(もちろん、そう言ったことを考慮してシートにいろいろな設定を盛り込んで回避することも可能だが、エクセルで文書作成する人の多くが、そういった技術を知らずに単純に入力している傾向が強い)

翻訳をする立場からすれば、そういう追加作業や付随作業はしっかりとお金を頂戴すれば良いことなのだが、文書作成する側から見れば、余計な費用や時間が改訂や翻訳で掛かることになってしまう。

つまり、改訂や翻訳が必要だと分かっている文書をエクセルで作成するのは、結果的に割高になる

エクセルで文書作成している人は、多分、昔の日本語ワープロ意識が抜けないからだろうと思う。方眼紙エクセルなど、まさしくその最たるもの。ワードの使い方技術を全く伸ばそうとしない人に多いのだろう。エクセルを使った文書作成は、かなり独り善がりなやり方だと言っていいと思う。改訂や翻訳の必要な文書作成は、ワードでおこなうように、自己のPC技術を高めて欲しいと切に願う。


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JTF翻訳ジャーナル No.277 2015年 5月/6月号公開

JTF翻訳ジャーナルWeb  

日本翻訳連盟の「JTF翻訳ジャーナル」5/6月号が公開されました。

私のコーナー「翻訳横丁の表通り」

今号は年度初号。AutoHotKeyに関する記事を、松本明彦さんに執筆いただきました。

今号のお勧め記事

特集記事「翻訳の未来を語ろう」です。各編集委員が翻訳への思いを書いています。

無料でお読み頂けますので、皆さん、是非、お気軽にアクセスしてお読み下さい。


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使ってないキーの積極利用

ワードマクロで有名な新田順也さんが、彼のブログに「【Windows】アプリケーションを素早く起動するショートカットキー」という記事を一昨日アップされました。Twitterでこの話題に関してやりとりした情報が、皆さんに役立ちそうなので記事にしておきたいと思います。

まず、新田さんの記事にあるWindowsキーとのキー組合せによるショートカットキーですが、これはマイクロソフトのホームページに、役立つ情報をいろいろ見る事ができます。

Windowsキーとの組合せショートカットキー

参考サイト;Windows 7 のショートカット キー (https://www.microsoft.com/ja-jp/enable/products/keyboard/windows7.aspx)

Windows + L (コンピュータのロック)は、社内で仕事をしている方には便利なショートカットで、私は常用しています。Windows + 左右方向キーや Windows + Shift + 上方向キー は、画面上に原文と訳文を左右均等に並べる際に使用しています。というように、良く読んでみると作業効率改善に役立つショートカットキーが隠れています。

ちなみに、新田さんがブログで紹介されている Windows + 数字 は、”数字に対応する位置にある、通知領域に固定されたプログラムを起動する (プログラムが既に起動している場合は、そのプログラムに切り替わります)“(上記サイトより引用)とあるとおり、そのプログラムが起動状態にある場合は、そのプログラムを前面へ出してくれます。複数ファイルを開いている場合は、キーを押すたびにそれらを巡回してくれます。これをマスターすると ALT + TAB を使うよりも、かなりストレスなくプログラム画面を切り替えられて便利です。

使用頻度の低いキーを別のキーとして設定する

さて、ここからがTwitterで話題となった内容です。

キーボードの操作感やキータッチの良さから、例えばRealforce 106のようなWindowsキーを持たないキーボードを継続して使いたい方には、この Windowsキーとの組合せによるショートカットキーの恩恵を受ける事ができません。そこで、他のキーを Windowsキーにアサインできないのだろうか?と調べてみたところ、以下のサイトを見つけました。

キーボード配列をWindows上で変更する (http://sgry.jp/articles/scancodemap.html)

このサイトで紹介されている方法は、レジストリを操作して、キーの意味付けを変えてしまうというものです。例えば、あまり使用していないキーが Insert キーとしましょう。レジストリを修正して Insertキーを Windowsキーとして使用するのです。(これはレジストリを操作するので、くれぐれも自己責任でやりましょう(笑))

キーのアサインを変更する方法として、AutoHotKey を使う方法もあります(こちらの方が安全)。AutoHotKey を使って、 Insert キーが押された時に Windowsキーが押されたように解釈させれば、対応できます。AutoHotKeyについては、以前「AutoHotKey というツール」記事を書いていますので、参照してください。

Ins::RWin

この1文をAutoHotKeyのスクリプトに追加すれば、 InsertキーをWindowsキーにRemappingできます。

キーボードの全キーを見渡して、使ってないキーって結構ありそう

さて、この話題の中で、こんな話しが出されました。「Insertキー周りのキーって、余り使っていない。」

凄く新鮮な発言ですね。キーボードの全キーを見渡してみると、確かに使用頻度の低いキーが存在します。そういったキーに別の意味付けをしてやる事により、作業効率の改善に繋げられる可能性が生まれるわけです。例えば、マクロのショートカットキーとして使用するなどです。

私は AutoHotKey を使ってユーティリティソフトを開発しているので、この考え方に基づいたキーアサイメントをするように心掛ければいいのだなと思いました。(上記マイクロソフトのサイトは、拙作のユーティリティソフトのキーアサイメントにWindowsキーを積極的に使う方針に変更し、コンフリクトを回避するために調査していて見つけたサイトです。)

皆さんも、キーボードを眺めてみて、使っていないキーの再利用を検討してみては如何でしょうか?


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あなたの頼んでる翻訳会社は大丈夫か?

昨日、とんでもないニュースがネットニュースやSNSを流れてきた。

規制委の内部資料、ネット流出…翻訳会社が公開 (引用元:読売オンライン)

一部を引用すると以下のような内容だった。

規制委によると、資料の英訳を委託した東京都内の翻訳会社が、ネットの掲示板で第三者に英訳を依頼し、資料をネット上に公開してしまったという。

つまり、翻訳原稿だった資料が、インターネット上に誰でも閲覧できる形で公開されてしまった。

ここでいうネットの掲示板とは、最近テレビCMでも目にすることのあるクラウド系のお仕事マッチングサイト。記事から読み取れるのは、翻訳の委託を受けた翻訳会社が、このマッチングサイトを利用して翻訳者に再委託したようで、その際に翻訳原稿をそのサイト上に公開してしまったようだ。

問題となる情報はなかったらしいが、それでも機密扱いの情報だったらしい。また、規制委からは再委託の許可を貰っていなかったようだ。(ソース:朝日新聞デジタル

この事件からいろいろなものが見えてくる。

ずさんな情報セキュリティ管理の翻訳会社 

通常、翻訳会社は自社内の翻訳者、もしくはちゃんとした守秘義務契約や業務委託契約を交わした個人翻訳者や外部翻訳会社に依頼して翻訳を行う。しかし、このケースだと再委託が認められていなかったようだから、社内翻訳者で翻訳しなければならなかった筈。

でも、この翻訳会社は直接的契約関係にないクラウド系サイトの翻訳者に仕事を委託しているということになる。このクラウド系マッチングサイトの利用規約を読むと、このサイトは、会員の機密保持意思の確認を行うだけで、責任能力や機密保持能力、それに機密保持契約の履行可能性を一切保証しないと書かれている。つまり、当事者間で機密保持などの確認を取らない限りは安心して依頼できないってことだろう。

そんな確認をしたのかしなかったのか、あろうことか、翻訳会社自ら、顧客から預かった原稿をネット上に公開してしまった。これは、ほんと、ありえないこと。それが例え機密性が低い情報だとしてもだ。翻訳を生業にする会社や人間が絶対にしてはいけないことだ。

何を見て依頼する翻訳会社を決めてるの?

翻訳を依頼する側は、一体、どのようにして、こういった情報セキュリティのダメな翻訳会社を判断しているのだろう。

こういうクラウド系の翻訳サービスは安価であることが売りであるが、そういうサービスを使う翻訳会社(が存在すること自体が驚きなのだが)は、当然、売価も相場より安いことが予測できる。つまり、依頼する側は「コスト」だけを見て、発注しただろうことは簡単に想像できる。

翻訳を依頼する側も、少し意識改革をして貰いたい。翻訳とは言葉の変換作業ではない。単にファイルを右から左に流しているわけでもない。その翻訳エージェントの管理体制が信頼に足るものかどうか、そこを判断し、それに相応しいコストであるかどうかで判断して欲しい。

また、このケースはクラウド系翻訳サービスの使い方も間違っていると思う。道具もサービスも、その特性を理解して正しく利用してこそ、価値がある。この翻訳会社の対応を見て分かる通り、この会社は翻訳会社ではない。翻訳を理解していないと思われるので、単なる仲介業者だと思う。

発注側が翻訳に関する知識を多少なりとも持っていれば、こういった業者は、会話ややりとりの中である程度は判断できると思う。(お役所の丸投げ体質が見え隠れするが)

コストには翻訳作業のみならず、そういった情報管理費なども含まれているのだから、コストばかりを確認せず、いろいろな視点で確認をして総合的に翻訳業者の選定をして貰いたいものだ。


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構え過ぎずに付加価値

毎朝立ち寄るセブンイレブンで、熱い缶コーヒーに冷えたヨーグルトドリンク、そして菓子パンをひとつ買うのが習慣になっている。

概ね店員から「お袋をおわけしますか?」と聞かれるのだが、もったいないので最初から「袋は一緒でいいです」と聞かれる前に申し伝えている。

さて、あなたならこれらの三品をどう袋詰めしますか?

そのセブンイレブンには、その時間帯、三名の店員がいて、二人はアラサーと思わしき男性二人、そして四〜五十代の女性がひとり。この三人の対応の違いが接客業における「気遣い」の大切さを感じさせられる。

ひょっとすると店長?なのかもしれないその女性の詰め方は、温かい飲み物と冷たい飲み物をくっつけて並べて入れ、その横に菓子パンを入れる。いつもそうで、今朝もそうだった。

一方、茶髪でいちばん若そうな男性は、日頃から見ていても動きに無駄がなく、計算された動作をしているのが伝わってくる。何しろ動作が美しい。その男性の詰め方は「ふたつのドリンクの間に菓子パンを挟み込む」形だった。お分かりの通り、温かい飲み物と冷たい飲み物がお互い影響して冷めたり温まったりしないように菓子パンを断熱材のように使ったのだ。

このふたりの違いは、個人の意識の差から生まれたものだが、サービスという意味で大きな違いを生み出している。掛かる工数に全く差はなく、サービスとして大きな差を生み出している。

こういう些細な気遣いで付加価値を高められることは、意外と多いかもしれないと感じた。自分の身の周りを少し気を配って見直してみたい。