日本翻訳連盟(JTF)の日本翻訳ジャーナルをご覧になっている方はご存じだと思いますが、ジャーナルにはJTFの会員数のデータが掲載されています。バックナンバーを読み進んでみると、2011年5月/6月号以降は、毎号に掲載されているようです。
そこで疑問が頭に浮かぶ訳です。
「一体、JTFの会員数って増えてるの?」
そこで、データをまとめてみました。
※青文字部分はデータ掲載がなく、翌年号の前年同期比から逆算した数値です。
合計と、個人会員数をグラフ化したものが下のものです。
う~ん…。こうしてみると、合計会員数は、2010年をピークに減少し、2011年からほぼ横ばい状態という感じに見えます。
個人会員数は2011年5月/6月号以降のデータでは、5%程減少した後、なだらかな減少傾向に見えます。唯一、2010年11月/12月号にあった個人会員数データと比較すると、2010年から10%も個人会員が減少している事になります。
一方、グラフにはしていませんが、法人会員はなだらかに増加傾向を見せていて、2010年から14%増加している事になります。
個人会員比率を計算すると、2010年は72%に対し、2012年は67%と5ポイント減少していて、「JTFは法人向け?」という印象を強いものにしているように思います。
興味本位でこのようなデータをまとめてみたのですが、この数字を眺めていると、とても奇妙だなぁと思わずにはいられません。
- 私が Twitter で作成している通訳・翻訳者のリストを見ると約700名。ネットの一角にこれだけの翻訳関係者がいるのに、その半分にも満たない数の個人翻訳者しか会員になっていない。
- 超大手の翻訳会社1社の登録翻訳者数より遥かに少ないですよねぇ。これで果たして、翻訳者データベースとしての魅力があるのか?と心配になります。
- この事は、日本翻訳ジャーナルの2005年7月/8月号の巻頭記事にも同様の懸念が書かれているのですが、当時の個人会員数 260名という数字と現在の個人翻訳者数を比較しても、23%程度しか増加していないのですから、「とても翻訳者データベースと呼べる代物ではありません」(引用)という状況には変わりないのだと推測します。
時々、会費を半額にすればかなり会員数が増えるのに…という話を耳にします。私もそう考えていました。でも、このデータを眺めつつ考えてみると…収入面から考えれば、単純に現状維持する為には640名程度の個人翻訳者が確保できないと、会費による収入が同じにならない訳ですが、日本翻訳者協会(JAT)の会員数が 540名らしいので、この数字を実現するのはかなり難しい事だろうと推測できます。(個人翻訳者の視点で考えれば、JATよりJTFの方が対コストメリットは低いと考えるので)
このデータをまとめつつ、過去のジャーナル記事などを読み漁っていると、とても勝手な個人的感想ですが、JTFに超大型戦艦のような印象を持ってしまいました。