翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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【再演】5/22日:誰も教えてくれない翻訳チェック

日本翻訳連盟の「標準スタイルガイド検討委員会」が2017年より「翻訳品質委員会」と名称を変更されました。それにともない、この委員会が企画するセミナーも「JTF翻訳品質セミナー」という名称になりました。

来る5月22日(月)に、この「JTF翻訳品質セミナー」の栄えある第一回ということで私が登壇させていただくことになりました。セミナー内容は、昨年の翻訳祭でご好評いただきました「誰も教えてくれない翻訳チェック~翻訳者にとっての翻訳チェックを考える~」を同じ内容で再演いたします。

2017年JTF翻訳品質セミナー

第1回セミナー  5月22日(月)10:00~12:00

誰も教えてくれない翻訳チェック~翻訳者にとっての翻訳チェックを考える~

昨年の翻訳祭で聴講できなかったという皆さんは、是非、この機会に参加をご検討いただけますようお願いいたします。

なお、定員がありますので、興味のある方はお急ぎ申込みをされた方が宜しいです。


日本翻訳連盟の理事に就任しました

2016年6月8日に開催されました(一社)日本翻訳連盟(JTF)の定時総会において選任いただき、理事に就任いたしました。

新任理事は三名おりますが、そのうちの一人は帽子屋さんでおなじみ、高橋聡さんです。
(この記事は高橋さんの記事に促され、書いています(笑))

今まで日本翻訳連盟とは、JTFジャーナル委員を4年、翻訳祭への登壇3回、JTFセミナーへの登壇1回と、過去5年でいろいろと関わってまいりましたが、いよいよ中の人になります。私は個人翻訳者という立場での理事就任ですが、翻訳会社の中の人間でもあり、双方の立場で物事を見ていきたいと考えています。「叩き上げ」のテリーだからこそ、できることがきっとあるはず。そう考えながら、少しでも「変化」を生み出せたらいいなと思っています。

今年度は、広報委員および翻訳祭委員もいたします。「何かJTFが変わってきた。今年の翻訳祭は違う。」そんな風に感じていただけるように微力ながら頑張っていきます。


JTF会員になりました。

なんだかんだと言い訳をして会員にならないまま、既に4年も日本翻訳連盟(JTF)のジャーナル委員をやっているという事実を先日再認識し、加えて、2010年に入会した日本翻訳者協会(JAT)には、IJET23絡みで協力して以来、特に何をしているわけでもないのに会員であり続けている事のギャップに、何だかとても違和感を持ったので、金銭的リソースの配分を見直して日本翻訳連盟の会員になりました。

今年度も継続して、時間的・経済的リソースをJTFジャーナル委員として投入するつもりなのですから、あらゆる意味で軸足をJTFに置くべきだと判断するに至りました。

以前は会員になるメリットが云々とあれこれ言っていたけれども、JTFサイトの会員ページを眺めながら思ったのは、少し認識不足だったかもしれないということ。比較すべき土俵が間違っていたかもしれないということ。今後、そういうことを意識しながら中身を見ていこうと思います。

会員になって、2013年度の翻訳白書を頂けたのは、少し嬉しい。既に1冊持っているけれど、職場に置いておきたいと思っていたので、助かります。あとは、バッカイさんとさきのさんのDVDが発売になったら、クーポン券を使って買うつもり。(DVD版購入ページ)


コラム「翻訳横丁の表通り」終了

日本翻訳連盟の機関誌「日本翻訳ジャーナル」に持っていた私のコーナー「翻訳横丁の表通り」が、今年度をもって終了します。

連載コラム「翻訳横丁の表通り」

2012年度から当コラムを担当させていただき、はや、4年の月日が流れたことに私自身もとっても驚いています。この間、16名もの方にご寄稿いただきました。この場を借りまして御礼申し上げます。

2012年度から私を含めた4〜5名がそれぞれにコラムを持つスタイルになり、日本翻訳ジャーナルの誌面も翻訳者の皆さんに馴染みやすく身近な記事が増えたと思います。そもそも、委員長が打ち出したこのコンセプトに共感し、ジャーナル委員をさせていただくことにしたのですが、とても良い経験をさせていただきました。今後は裏方として関わっていきたいと思います。

今まで私のコーナーをご愛読いただきましてありがとうございました。

新年度からは、さらに進化した日本翻訳ジャーナルになると思います。これからも、皆様のご支援をお願いいたします。


JTF翻訳ジャーナル No.282 / 2016年 3月/4月号公開


JTFジャーナルWeb

日本翻訳連盟の「JTFジャーナル」 3/4月号が公開されました。

今号の特集記事「機械翻訳の国家戦略」は、なかなか読み応えがあります。また、ミニアンケートの結果も現状を知るのに役立つでしょう。

高橋聡さんのコーナー「フリースタイル、翻訳ライフ」では、我ら翻訳勉強会「十人十色」の井口富美子さんが寄稿されています。

無料でお読みいただけますので、どうぞ、お気軽にダウンロードしてお読みください。


JTF翻訳祭に登壇してきました(フォロー記事)

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2015年11月26日に開催されました日本翻訳連盟主催「翻訳祭」で、翻訳勉強会「十人十色」メンバーによるパネルディスカッション(トラック1セッション2)にパネリストとして登壇してまいりました。思い返せば、1年おきに登壇していることになります(2011年、2013年)。今年は、25周年ということで、あの有名な字幕翻訳者 戸田奈津子さんが登壇されました。これまた何の因果か、我々の裏で(どっちが裏かは不明(笑))講演されるということで、我々のセッションへの参加者数が危惧されましたが、ありがたいことに150名入る部屋がほぼ満席だったと思います。

第25回翻訳祭T1S2-当日

今年のパネルディスカッションは、昨年のパネルディスカッション「新米の上り坂、中堅の曲がり角」の続編という位置付けで、「曲がり角を抜けて、ベテランへ」というテーマで行いました。

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昨年と今年の大きな違いは、今回はエージェントの立場の人間(私)を交えたパネルディスカッションであるという点です。モデレータは昨年同様、帽子屋さんこと高橋 聡さん、パネリストには「プロが教える技術翻訳のスキル (KS語学専門書)」の著書で知られる技術翻訳者の大光明宜孝さん、そして「HOMELAND」の字幕翻訳者として有名な仙野陽子さんの計4名です。

90分という時間的制約の中で、会場から質問や発言も多くいただけて、とても有意義なセッションになったと思います。概略は、次号の日本翻訳ジャーナルに掲載されると思いますので、そちらをご参照いただくとして、このブログでは、パネルディスカッションのフォロー記事として、私が伝えきれなかった(伝えようと思っていた)メッセージを記したいと思います。

仕事が途切れるということ ~「クレームについて」

会場では1例しかお話できませんでしたが、「依頼がゼロになる」ケースはいろいろと想像できます。そもそも「クレームは特になかったのに仕事がゼロになった」という言葉は、依頼が止まる前にはクレームがあるという意識の裏返しだと思いますが、そこは認識が間違っていて、依頼が無くなることとクレームとの相関関係は薄いと思います。翻訳を依頼する翻訳者さんを翻訳会社の中でどう位置付けているかにより、依頼が止まる状況は変わってくると思われます。会場で言及したケースですと、その翻訳者の分野案件の受注がパタリと無くなったことが、依頼の止まった原因です。分野がニッチであれば良く発生することだと思います。翻訳会社によって、抱える顧客の違いによって分野の仕事量が違いますので、自分の扱える分野の仕事量が多い翻訳会社を探すとか、取り扱える分野を拡げる努力をする事が、定常的な仕事の確保には大切だと思います。また、この例の翻訳者の場合、御用伺いメールを翻訳会社へ送付したことで、翻訳会社側が長期にわたり仕事を依頼していないことに気づき、内部調整して仕事を依頼する方向に話が進んだということで、「こない、こない」と腕を組んで待つのではなく、何かの機会に連絡をして様子をうかがってみるのも大切なことかもしれません。翻訳会社側の立場でみれば、優秀な翻訳者さんへは積極的に仕事を出したいと考えているものです。ただ、依頼状況をひとりひとり見ているわけでもありませんから、こういうきっかけを与えて気付かせるということも大切だと思います。

他にはこんなケースもあります。ある特有の顧客に対してのみ販売できる品質の翻訳者の場合です。どういうこと?と思われるでしょう。翻訳を購入する顧客の要求品質は、お客様によって様々です。私たち翻訳を仕事にしている側から見て、一種独特な翻訳を要求するお客様もいるわけです。そういう独自の翻訳に対応できる翻訳者の場合、そのソースクライアントが発注をやめた途端に仕事の依頼を失うことになります。一番、翻訳者さんが気になるのは、翻訳品質に問題があって依頼が来なくなるケースだと思います。その場合、はたして翻訳会社は品質に関するフィードバックをくれるでしょうか?答えは多分「No」です。会場からアスカコーポレーションの石岡社長がお話されましたが、「次に依頼しようと考えているから、フィードバックをする」のです。私も全く同意見です。フィードバックに大変な労力を要するのは皆さんが理解されている通りです。企業側から見ると、それは「投資」と全く同じですので、その投資効果が見込めないならばわざわざフィードバックしません。つまり、今後依頼をしないのにフィードバックはしないということです。

じゃぁ、翻訳者側から見たら、なぜ依頼が止まっているのか判断できないじゃないか・・・。という声が聞こえそうですが、だ・か・ら、御用聞きするのです。メールをしてみるのです。その反応である程度は判断することができるでしょう。返信さえないようなら、全く望みなしでしょう。忘れて次へ行きましょう。今後も依頼したいと考えている翻訳者さんが相手なら、翻訳会社も言葉数が多くなるものです。いろいろと状況を説明して理解を求めようとするものです。もし、「お願いできる案件がきたらご連絡します」という平易な乾いた返事がきたら、8割方、依頼する気が無いと捉えた方が良いかもしれません。(実は仲間内で、こういった「翻訳会社の常套句リスト」なるものを作り、その真意を説明するリストを作ってブログで公開しようか?という話になったことがあります(笑))

エージェントを「選ぶ」という発想

これに関しては、今朝ツイートをしたので、それらに加筆してこちらに載せます。

  • セッションで、翻訳会社を選択しようという話しをあまり掘り下げられなかったけれど、あそこで発信しようとしていた情報は実はもっとあって、翻訳会社の言動や行動を見て、その会社(や経営者)の意識と考えを汲み取って優良な翻訳会社のみを残して取引していこう・・・という話をしたかったのです。
  • そして、翻訳会社の選別をする上で、自分なりのスコアリスト(評価表)を作ってみてはどうかと。例えば1)消費税は支払われている。2)振込手数料は会社側負担。3)業務委託時に発注書が必ず送付されてくる。4)ソークラのクレームをそのまま連絡してこない・・・みたいな項目で評価する。
  • 翻訳白書を見ても分かるとおり、規模は別として翻訳会社は多数あるわけです。仕事が安定するまでは相手を選べないでしょうが、安定期を迎えて取引相手に問題があると感じるならば、どんどん新規取引先を開拓して入れ替えていく。そうやって自分の身を守り、位置を高めましょう・・・的話もしたかった。
  • まぁ、ちょっと話は脱線するが、セッション後に話しかけてくれた翻訳者さんに「JTF会員法人でも、消費税?なにそれ?という意識の会社がある」と聞かされて、もう、がっかりを通り越した。これは経営者の問題。勉強不足にもほどがある。JTFも会員にする上での評価項目に盛り込むといいのに。

まずは法令を遵守するコンプライアンスのちゃんとした翻訳会社、そして翻訳のプロである翻訳会社、翻訳者を対等に扱う翻訳会社、といった視点で評価項目を並べ、項目によっては加点法と減点法に分け、その評価リストをベースにして取引する(している)翻訳会社を評価する。そして評価の高い上位何社と取引するというスタイルを考えてみると良いと思います。リストは取引開始前(契約前)に評価する項目を分けておき、トライアル翻訳実施前に問い合わせる項目として、翻訳会社からの回答を得て評価し、トライアル翻訳を受けるかどうかなどを判断するという使い方もいいと思います。

振込手数料は本来、誰が負担すべきなのか?

セッションでは明確な情報出しができず、申し訳なかったと思います。セッション後にした私のツイートに対して、翻訳勉強会「十人十色」の主宰メンバーのひとり、豊田憲子さんが調べてくれましたので、そのまとめ記事をこちらにリンクしておきます。

振込手数料は翻訳会社負担であるべき

タイトルにある通り、振込手数料は翻訳会社が本来負担すべきものという解釈です。また、JTF翻訳ジャーナル279号の私の特集記事「翻訳者の真実」に記載した内容も併せて理解しておいていただきたいので、以下に引用しておきます。

もし、取引先が下請法上の親事業者にあたる場合、「下請事業者と合意することなく、下請代金を銀行口座へ振り込む際の手数料を下請事業者へ負担させ、下請代金の額から差し引くこと。」は「下請代金の減額」に該当する可能性があるようですので、これをひとつのガイドラインとして考えるのも良いかもしれません。(公正取引委員会「ポイント解説 下請法」より引用: http://www.jftc.go.jp/houdou/panfu.files/pointkaisetsu.pdf )

以上がフォロー記事です。

我々のセッション終了後の午後は、機械翻訳推進派の渦中で孤軍奮闘するであろう遠田先生応援のため、「MT Live ~機械翻訳の担うべき役割~」<第2部>を聴講しましたが、いろいろと言いたいこと満載の内容でしたので、別記事にして公開したいと思います。

最後に、我々のセッションを聴講いただいた皆様、ありがとうございました。


テリラジ「翻訳者の真実」録音公開

2015年9月20日テリラジで放送した特別番組「翻訳者の真実」の録音を、 YouTube の翻訳横丁の裏路地チャンネルへ登録いたしました。

聞き逃した方は、ぜひお聴きください。


1件のコメント

JTF法人会員は下請法に従うように要請されている?

先日公開されたJTF日本翻訳ジャーナル No. 279 の特集記事「翻訳者の真実」に、以下のような記述があります。

現在の(自分の)取引先で消費税を支払わないのが、すべてJTF法人会員というのも不思議な話。

これを読んで、あれ?と思ったのです。実は、日本翻訳ジャーナル2008年1月/2月号に「下請法について」という記事が組まれており、当時のJTF副会長 野上員生さんが執筆されているのですが、その中に以下のような記述があるのです。

JTF においては、資本金の額にかかわらず、すべての法人会員に対し、個人翻訳者等との取引において下請法に従うよう要請していくことが先日の理事会で決定されました。

下請法上の親事業者は、資本金1千万円を超える企業が対象となります。しかし、JTFでは、資本金1千万円を下回り、下請法上の対象とならない法人会員に対しても、下請法に従うように要請するということを理事会で決めたとあるのです。したがって、JTF法人会員で(下請法にも影響する)消費税を支払わないような企業があるということは、ありえないはずなのです。(まぁ、要請レベルなので、そこまで言い切れませんが(笑))

これは一体、どういうことなのでしょうね?7年も前のことだから忘れ去られているのか、はたまた反故にしているのか。要請など一度もしていない…なんてことはないと信じたい。

どこの業界団体でも構いませんが、その団体の法人会員であれば、コンプライアンスに則した綺麗な取引が約束される…ということになれば、市場の翻訳者は競って、その団体の法人会員との取引を希望するはずです。そんな会員資格に高い条件を持たせた業界団体が登場してくれることを、切に願うばかりです。


JTF翻訳ジャーナルNo.263 2013年1月/2月号公開

日本翻訳連盟の日本翻訳ジャーナルNo.263 2013年1月/2月号が公開になりました。

今回の号は、昨年行われた翻訳祭のレポートがあり、記事盛りだくさんです。

是非、ダウンロードしてお読み下さい(無料でダウンロードできます)

日本翻訳ジャーナルNo.263 2013年1月/2月号

iPhone 等のスマホでも読む事ができます。以前のこちらの記事をご覧下さい。


第22回JTF翻訳祭に行って来た

毎年恒例の日本翻訳連盟主催「第22回JTF翻訳祭」が、昨日11月28日に、アルカディア市ヶ谷で開催されました。

以前の記事でも書きましたが、今年は必ず見たいと思っていた講演の内容から業務として参加するのは難しいだろうと判断して、休暇を取得して個人出席で参加して来ました。

私が聴講したセッションは、以下の通り。

1)セッション1:トラック4:「翻訳者としてのワークフロー」リチャード・ウォーカーさん、ポール・フリントさん
2)セッション2:トラック4:「これだけ知っとけ行動経済学 〜ブラック翻訳会社に騙されないヒント〜」関根マイクさん
3)セッション3:トラック4:「Translation Quality Control – An Irreducible Process」デイビット・ストーマーさん
4)セッション4:トラック1:「機械翻訳を組み込んだ翻訳工程の最適化」CA Technologies 菊池邦昭さん、古田京子さん、株式会社東芝 鈴木博和さん、モデレータは株式会社翻訳センター 河野弘毅さん

私が聞きたかったトラック4のセッション2の感想に、かなりスペースを取られるので、まずは感想を記しておきたいセッション1とセッション4について書きます。

セッション1:トラック4:「翻訳者としてのワークフロー」リチャード・ウォーカーさん、ポール・フリントさん

セッション1は Translation flow が話されたが、私にとって目新しい情報は、フロー全体とそのファイル等の一連の流れをウェブベースのシステムで管理しているという話くらいだった。Projetex というProject Management Software も紹介された。http://www.translation3000.com/ で入手出来るようだ。

このセッションでポール・フリントさんが紹介された「The ideal translator」と「The ideal agency」がとても面白かったです。フリントさんから了解を頂きましたので、以下に引用しておきます。(フリントさんの「翻訳+」のサイト:http://honyaku-plus.com)

The ideal translator

  • Is available by phone or email during business hours (even if to say “I’m busy”)
  • Accepts our work almost always, if not always possible
  • Provides a good quality translation (check, edit) on time
  • Points out problems with the job (errors in the documents or problems with our processes) and offer solutions whenever possible
  • Is courteous
  • Works with us to solve the customer’s problems (short deadlines, special request, that kind of thing)
  • Is not too expensive (works within the economic constraints)

We give these people the most work.

The ideal agency

  • Pays a fair rate (and as high as possible)
  • Has constant work
  • Has long deadlines
  • Gives clear instructions how the work should be done (gives clear, formal workorder (PO))
  • Provides feedback about work quality so that the translator improves (not always needed)
  • Negotiates on behalf of the translator
  • Does not require invoicing (sometimes it’s a good PR point to send one anyway)
  • Flexibility in deadlines (can I have another day (hours)?)
  • Human touch (PM include’s their name, provide opportunities to socialize [valuable to freelancers])
  • Responds promptly to translator questions
  • Acknowledges the receipt of work
  • Communicates in the translator’s native language

セッション4:トラック1:「機械翻訳を組み込んだ翻訳工程の最適化」CA Technologies 菊池邦昭さん、古田京子さん、株式会社東芝 鈴木博和さん、モデレータは株式会社翻訳センター 河野弘毅さん

セッション4の機械翻訳ネタは昨年も聴講したのですが、他のセッションに比べ、聴講者の層に違いを感じました(なんか、雰囲気が違う(笑))。聞きたかったMT+ポストエディットと新規翻訳でのレート差に関して、モデレータの河野さんが突っ込んで下さったのはありがたかったです。半分くらい…という回答をされていたと思います。機械翻訳導入で15〜20%のスループット向上が見られたとも言っていました。また、MT+ポストエディットで、速い人で時速500ワード程度だと言っていましたが、翻訳で見れば決して速くないと思いますね。

私の勝手な印象を言えば、成果・効果を示す事を前提とした検討結果と情報(所謂、後付けの理由)がお披露目されているんではないのか?と言う疑いを持ちました。

このセッションで一番印象的だったのは、東芝の鈴木さんのプレゼンで、機械翻訳をハサミで例えられていた点です。何をするのか、何を切るのかを理解した上で、その目的に適したハサミを使用する。機械翻訳の使い方もまさしく、それだ!と仰りたいのだと思います。昨今、メディアを賑わせている機械翻訳の誤訳問題。アインシュタイン本にせよ、東北博HPにせよ、目的に合わない機械翻訳の使用が原因であり、機械翻訳が悪い訳ではなく、使った人間がダメなだけです。それがメディアにより「機械翻訳は使えない」的な一般認識になってしまっているところは、日々、機械翻訳の技術向上に努力されている方達にとっては悲しい話だなぁと思います。開発に従事されている方の、そういう心の叫びのようなものを感じました。我々も少し考え方を変える必要があるのだと思います。機械翻訳は翻訳者の脅威になる…というような話とは別で、少なくとも機械翻訳の技術は、将来、人々の生活を豊かにする技術である事には間違いがないと思うので、そういう技術開発にはエールを送りたいものだと思うのです。

セッション2:トラック4:「これだけ知っとけ行動経済学 〜ブラック翻訳会社に騙されないヒント〜」関根マイクさん

最後に、セッション2の関根マイクさんの講演について、自分の理解の範囲で箇条書きにしますので感じ取って下さい(笑)。
そもそも、私が Twitter, Facebook, Ustream, Blog の使い方や使い分けは、関根さんの考えを私なりに咀嚼してやってきているという経緯があり、今回の講演内容はかなり刺激的で勉強になりました。(今回の講演内容には昨年9月にIJETのプレイベントで講演された内容も一部かぶっています)

行動経済学を主軸にお話をされました。翻訳者や翻訳会社の行動に照らし合わせて、翻訳者がどのように応用出来るかを話されたと思います。

  • 翻訳会社に依存している翻訳者が圧倒的に多い → 行動経済学的に見て、とても危険
  • 商売の基本は「安く買って、高く売る」。翻訳会社もそういう商売の基本を踏襲しているだけ。
  • レートが低いのは貴方の実力 → 翻訳能力が低い・・だけでなく、翻訳能力はあってもビジネスセンスがないだけかもしれない。そういうのをひっくるめて「実力」
  • 「翻訳業界は実力主義」という考えと、翻訳購買者への「適正な単価を払うべき」という啓蒙は矛盾している。実力主義ならば正当な単価が支払われる筈である。
  • アンカーリング:無意識のうちにインプットされた情報(固定観念)で、知らず知らずに意思決定に影響を与える。(最初に残った印象がその後の判断に影響する)
  • レートを上げるのは難しい。それはレートの上がり幅は最初のレートで決まってしまうからである。
  • 例えば、レート5円で始まれば、その数字が残像として残ってしまう。それで貴方の価値が決まってしまう。(アンカーリング)
  • コーディネーターは入れ替わる。新しいコーディネータが見るのは数字。その数値の印象で決まってしまう。
  • 最初に残った印象がその後の判断に影響するのだから、最初のレートは高めに設定して交渉すべし
  • 「これからお世話になって長い付き合いになるのだから、最初は低めレートでもいいや…」等と言う情け心を持つようではダメ
  • 自分の思ったレートより、高めに設定する事
  • 顧客は翻訳の質を評価できない。だから、価値に見合った適正価格なんて分かる筈もない。
  • 黒真珠の価値の話。世に出た時は価値がはっきりしていなかった。高価格を設定して販売し、その価格がその後の価格のベースになっている。
  • 顧客は、翻訳の価格を知らない(実感として知らない)
  • そういう顧客を狙ってマーケティングすべし。
  • 本当にレートが上がらない理由は、翻訳会社ではなく、自分たち翻訳者の問題であり、自分たちに小さな物語を作れていないからだ。
  • 顧客は相対評価をする。顧客は、一番高いものより、1つ2つランク下の商品を買う傾向がある。これを翻訳者も活用できる。
  • フレーミング効果:全く同じものを出されても、判断に人の主観が入ってしまう
  • プロスペクト理論:人間は儲かった時の喜びよりも、損した時の悲しみの方が大きく感じる
  • 情報収集の時代から、情報を解析する時代になってきている。フリーランス翻訳者はそれができる能力がなくてはならない。
  • Google Adwords がブログアクセスの解析ツールとして使える。そういうツールを使って解析をするなど、考えるべき
  • ブランディングが大切:あなたがプロとして信頼されているか?顧客にプロとして凄いという印象が与えられればいい。
  • 評価経済:Amazon や食べログの評価や、Facebook の「いいね!」のように評価が可視化されるようになった。これは、昔は見えなかった。
  • 評価を見て、顧客は商品を選択するようになった。
  • さて、翻訳者はどうだろうか?
  • 仮に翻訳者から10円で仕入れ、翻訳会社が20円で販売しているとする。直取引と比較すると単純10円の損…という考えは間違い。実際はもっと損をしている。それは「信頼」である。
  • 翻訳者がどんなに良い仕事をしても、その評価は全て翻訳会社のものとなる。つまり、翻訳者の「評価」が翻訳会社の「評価」となっている。長期的に見れば、翻訳者には全く「信頼」が残らない。
  • 現状維持バイアス:色々な勉強会やセミナーで、翻訳単価をあげるにはこうしたらいいとか、クライアント直取引がいい…という話がされているが、現状維持バイアスが働いて実際に行動に移す人は殆どいない。それは、人は将来より今が大切だと考えるから。
  • 名前が一番のブランドになる。翻訳会社と仕事をしている限り、翻訳会社のブランドに吸収されている。
  • では、個人翻訳者はどうやってブランディングするのか?→メディアを持つしかない。→ Twitter や Facebook, Blog
  • 紹介されたブログの例。その1その2その3その4
  • 依頼する側から見ると、専門分野に長けていて、専門知識を持っている等の情報を得る事ができる。「なんか、出来そうな奴だ」と思われる。
  • フローからストックに誘導する。Twitterで公開して、ブログへ誘導する…というスタイル。
  • 情報を発信する場所に、人と情報が集まる。情報を発信すれば、そこに人の目や顧客の目が集まる。
  • 何を発信する?→自分の歴史の蓄積。
  • 皆と同じ事をやっていてはダメ。自分にしかできない情報を発信する。
  • 翻訳者は、翻訳会社以外の可能性を理解しているのか?…。他の選択肢もあるのだと言う事も考えるべし。
  • 情報を出すにも内容を吟味する必要がある。正しい情報を発信して行かないといけない。馬鹿な情報を出せば、自分のブランドを傷つける事になる。
  • 今まで、翻訳会社がないと繋がらなかったソースクライアントが、インターネットやSNSの発展で、翻訳者とソースクライアントの距離が近くなってきている。直接つながれるようになってきている。
  • いまや、翻訳会社と付き合う事が最善の選択ではない…という事を知っておくべき。
  • コンテンツは宝。それにコンテンツには賞味期限がある。賞味期限がなくなった情報は一般公開したり、イベントの起爆剤として活用するなどを考えるべき(業界団体の話)
  • 知名度は信頼
  • 評価経済の限界:カリスマは何人もいらない
  • 全員が情報発信を始めると、情報の価値が下がって行く。
  • これからのフリーランス翻訳者に必要な事。それは・・・お客との距離を可能な限り縮める事。信頼を得る。プロとして認めてもらう。長期の信頼を獲得する事。自分の物語を語る。差別化。
  • プロとしての情報発信
  • なお、これらの話の大前提は、翻訳者として必要な技術を持っている事である。

だらだらとキーワードに加筆して並び連ねました。講演者さんの言葉通りでないかもしれませんので、額面半分で読んで下さい。

どちらにせよ、業界を取り巻いている環境は、インターネットやSNSの普及で大きく変化しており、その変化によって翻訳者とソースクライアントの距離が近くなってきています。そういう環境変化の中で、翻訳者として何が得意なのか?を改めて自分で分析して位置付けして、ネットと言うツールを積極的に使ってブランディングしてマーケティングする。そういうビジネスセンスも求められる時代になってきているのだと思います。自分の翻訳の価値に見合った収入を得る事は、誰しもが望む事だと思います。それを実現するひとつの手法だと思います。

 

 

※取り敢えず記事にしました。加筆・修正の可能性があります。