以前より、お役所や地方自治体のウェブサイトで、多言語化に機械翻訳が使用されているのは有名ですが、東京23区の区役所ホームページでは一体どういう状況にあるのかを調べてみました。
結果、23区すべてで機械翻訳を使用した多言語化が行われています。
一部は人間による翻訳を行い、カバーしきれないところに機械翻訳を使用するというスタイルを取っているところもあります。また、Google翻訳と併用しているところもあります。他言語へ翻訳されたPDF文書をリンクしているサイトもありますが、その内容が機械翻訳によるものではないかと思われるものも散見されました。
ちなみに、URLなどから調べた範囲では、これら23区が使用している機械翻訳システムの提供企業は2社のようで、そのうちの1社が87%を占め、独占状態にあるようです。
以下は2018/2/4日、私が調べた範囲の結果です。
- 足立区 MT(k)
- 荒川区 MT(k)
- 板橋区 MT(k)
- 江戸川区 MT(k)
- 大田区 人間翻訳+MT(k)
- 葛飾区 MT(c)
- 北区 MT(k)
- 江東区 MT(k)+google
- 品川区 MT(c)
- 渋谷区 MT(c)
- 新宿区 人間翻訳+MT(k)
- 杉並区 MT(k)
- 墨田区 MT(k)
- 世田谷区 人間翻訳+MT(k)
- 台東区 MT(k)
- 中央区 人間翻訳+MT(k)
- 千代田区 MT(k)
- 豊島区 人間翻訳+MT(k)
- 中野区 MT(k)
- 練馬区 MT(k)
- 文京区 MT(k)
- 港区 MT(k)
- 目黒区 人間翻訳??+MT(k)
機械翻訳を使用したページを閲覧する際に、免責事項が表示されるのは以前と変わりありません。利用者立場で考えれば、正確な情報発信が求められるこれらのウェブサイトですが、機械翻訳による翻訳後の情報は保証せず、それによる損害も責任を持たないというスタンスです。つまり、不正確な情報なので利用価値がないことになります。
この辺りの話は、以前、福島県ホームページで外国語ページの誤訳が話題になった際に書いた記事「無責任な情報発信は許されるか?」に繋がるところがあり、利用者からみれば「何が正しい情報なのか分からない」ということになるでしょう。