翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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JTF翻訳ジャーナル No.278 2015年 7月/8月号公開

  JTF翻訳ジャーナルWeb  

日本翻訳連盟の「JTF翻訳ジャーナル」7/8月号が公開されました。

私のコーナー「翻訳横丁の表通り」
今号は、私も愛用している「かんざし」の開発者である内山卓則さんに、「串刺し検索と『かんざし』」というタイトルで記事をご執筆いただきました。

無料でお読み頂けますので、皆さん、是非、お気軽にアクセスしてお読み下さい。


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JTF基調講演「時間管理術」を聴講してきた

6月9日に開催されたJTF総会 基調講演「佐々木かをりの時間管理術」を聴講してきました。

時間管理については、過去の仕事の経験を通じて作り上げた自分なりの方法を持っているのですが、そこへ新たな考えを持ち込めないか?と考えての参加です

失礼ながら、佐々木かをりさんも、アクションプランナーも全く知らず、予備知識なしでの聴講でした。

今回の講演時間が1時間程度。通常は3〜4時間のお話だそうで、かなり圧縮されたお話だったようです。「なぜ時間管理をするのか?」という考え方の部分がやはり大切で、その部分に重きを置かれ、講演時間の半分近い30分ほどを使って話されました。

自分を幸せにする時間管理、人生の脚本、というような発想は今まで全く持った事がなかったです。

具体的な時間管理術は、アクションプランナーを軸に外枠を話されましたが、基本的な考え方は、自分の今のやり方と同じ。その見せ方については一部取り入れたいと思いました。また、細々と役立つ情報をもらえました。

「約束管理」ではダメという話をされていましたが、そこはかなり前に卒業してるので、頷きながら話を聞きました。

予定を点ではなく線で捉えるという点は、私のやり方も同じ。平面に描写する事で空きを見える化するのも同じだけど、私のやり方は1日の空き総時間管理が目的なので、少しやり方が違うのです。

時間管理については、仕事の性格や中身によっても合う合わないがあるので、自分なりのやり方を生み出すのがいいと思います。

ただ、何もやっていないという人は、今回の講演で紹介のあったアクションプランナーをひとつの切り口にするのは悪くないと思いました。

講演の中の言葉で一番印象に残ったのは:

「自分を幸せにする責任」

という言葉です。自分を幸せにする責任があるという考え方は、とても勉強になりました。子供達にも伝えたい言葉です。


(参考)JTF翻訳ジャーナルの報告記事


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効率化の何が悪い!

先日、ネットを渡り歩いていたら、とある記事に目が留まりました。「世の中、効率化が持て囃され、右も左も効率化、効率化。人生にまでも効率化を持ちだす人がいる。果たして効率化は人を幸せにするのだろうか?」というような事が書かれていたと思います。

この記事を読んで咄嗟に頭に浮かんだのは、「この記事は、効率化で生まれたリソースの余裕を、どう使うかを理解していないから、こんな頓珍漢な問いに繋がってるんだ。」ということです。

生み出した余裕リソースを必要としない(使う充てがない)のなら、効率化なんてする必要はないですものね。

「効率」ってなんでしょう。新明解国語辞典には、こう書かれています。

【効率】
その事をするのに消費した労力や時間から見た、成果の程度。

つまり、効率化とは、効率を高くすることですから、投資する「労力」や「時間」に対する「成果」を高くすることです。簡単に言えば、一石二鳥、もしくは 半石一鳥にしてしまうということです。「手間」「お金」と「時間」を主たる効率化の対象として改善するのですから、当然、他の事に充当できる「時間」と「お金」をたくさん得ることができるわけです。

さて、この時間とお金、何に使います?

収入を得るために仕事をするというのも良いですし、日頃できない改善活動への投資に使うというのもいいでしょう。人生を豊かなものにするために、余暇に投資するのもいいでしょうし、何もしない日を一日作って、旅館で読書でもしながらボンヤリ一日過ごすのもいいですよね。効率化することと投資する事はセットで考えることが大切だと思います。仕事ばかりに投資しようと考えるから「効率化は人を幸せにするのか?」というような発想が生まれるのだと思います。それとも、一日ボンヤリする事は非効率だからと考えているから?でしょうか。積極的にボンヤリする時間を持つために、他を効率化するのです。幸せな人生のために。自分の時間の価値が高まります。

経験上、効率化って忙しいときの方が効率的に効率化できます(笑)。効率化のアプローチは「(1)同じ事を速くやる」「(2)方法を変えて速くする」「(3)やめてしまう」などいろいろありますが、私の場合は(3)を考え、(1)を行い(2)へ移行するという流れが多いように思います。
翻訳という仕事は、時期によって(?)仕事の量に山谷があり、忙しくなるとなかなか時間の融通が利かなくなります。効率化の検討を行うにはリソースが必要で、忙しいときはそのリソースを作り出せず、なかなか効率化を進められないものです。ただ、そういう多忙時期は業務上の問題点が具体的に認識できるようになり、効率化のネタをいくつも出せるようになります(問題意識がなければダメですが)。

私が今の仕事を始めた時は、まさにそのような状態でした。仕事に追われる状態ですから、効率化を検討する時間が全くありません。まずはきっちりしたタイムマネージメントを行い、そして(2)(3)を検討する時間を作り出すために (1) を必死で行いました。そして、1日に15分程度の時間を捻出し、その時間を使ってあれこれと効率化の検討をし、不要と思われた仕事を止めてしまったり、方法変更を検討して、そのための仕掛け作りをやっていきました。すると当然、効率化が進み、時間にさらに余裕が生まれてきます。これの繰り返しを続ければいいのです。結果的に、ひとりで取り扱える仕事量を1.5倍までアップする事ができました。もし、これがフリーランス翻訳者だとしたら、同じ時間で売り上げが1.5倍になるって事です。余暇は同じで収入が増える。人生楽しめそうではないですか(笑)

「効率化」を何か、人の心を貧しくするようなもの…という印象を持っている人もいるようだけど、私は全くそう思っていませんというお話でした。


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翻訳とボリュームディスカウント

以前から「翻訳にボリュームディスカウントはない」と言い続けているのですが、「さて?ボリュームディスカウントの考え方って何?」というところになると、脳内で曖昧な考えしか出てきませんでした。

そもそもボリュームディスカウントって?

普通の(?)日本語にすると「まとめ買い割引」とでも言うのでしょうか。大量に商品を購入(発注)することにより得られる値引きのことです。ただ、それってどういうカラクリで成り立っているのでしょうか?どうして値引きに応じられるのでしょうか?その原資はどこからくるのでしょうか?

翻訳のボリュームディスカウントについて書かれた情報を探してみたのですが、ジェスコーポレーションの丸山社長が2007年に書かれたブログ記事「翻訳業界におけるボリュームディスカウント」程度しか見つけ出す事ができませんでした。これによると、在庫処分目的の値下げという観点もあるようです。

値引きに応じる以上、通常のプロセスを経た場合よりも利益幅が大きく、そのはみ出す利益の一部を還元することができる条件であるという事でしょう。例えば1000枚の案件を20回受注する場合と、20000枚の案件を1回受注する場合の差を考えると、その条件がはっきりするでしょう。

  1. 案件(発注)数に伴って増減するもの
  2. 分量によって増減するもの

翻訳受注に伴って発生する事務処理は、上記1に該当し、案件数に比例して負荷が増減するので、ボリュームディスカウントする上での原資になり得ます。上記の例で言えば、20分の1の手間になるので、19回分の作業費(作業時間)が「通常より多く得られる利益」という事になります。ただし、翻訳者が請けられる翻訳案件の規模の限度や、翻訳全体に占める事務処理に費やす時間は小さなものであるという事を考えると、値引きにつなげられるほど大きな金額にはならないでしょう。

「ちょっと待って!単価って翻訳に対するものでしょ?事務処理なんてお金貰ってないし」という声が聞こえてきそうです。それはちょっと視点が違うのです。クライアントやエージェントと翻訳者の間では、翻訳作業に対する報酬を、翻訳量と単価を乗じて支払がされていると思います。この報酬を翻訳者視点で考えれば、実際は、その分量の案件を受注するまでのやり取りや、受注してからの問い合わせや翻訳作業、チェック作業、納品して請求書を作成して送付するという一連の作業が全て、含まれていると考えるべきです。よく「時給換算して単価は考えるべきだ」といわれているのは、そういう理由です。(この辺りの話は別記事を書きたいと思います)

さて、一方で、分量によって増減するものとして、丸山社長はブログで「用語・表現の統一」を例としてあげられています。私も、それはあるかな?と感じるものの、正比例以上の増加があるのかが実感として良く分からないのが正直なところです。ただし、大型案件の複数翻訳者による翻訳を想定したエージェント視点の意見だとすれば、理解できます。値引原資を考える上で、分量増により通常より減少する負荷とは何があるでしょうか?、私には想像できなかったです。つまり、総合的に考えると、翻訳者によるボリュームディスカウントはできないというのが私の意見です(CAT使用などは、別の話)

ボリュームディスカウントを視点を変えて考えてみる

そもそもボリュームディスカウントという名が表す通り、「値引き」行為ですので、翻訳者の立場で考えると、下請法のいう「下請代金の減額」に当たらないのかが気になるところです。

公正取引協会のホームページに以下の記事を見つけました。 http://www.koutori-kyokai.or.jp/law/subcontract/subcontract-5.pdf

「ボリュームディスカウント等合理的理由に基づく払戻金」の項に以下のような記述があります。

具体的には発注数量の増加とそれによる単位コストの低減により、当該品目の取引において下請事業者の得られる利益が、割戻金を支払ってもなお従来よりも増加することを意味します。

つまり「割戻金を支払っても(ボリュームディスカウントによる値引きをしても)、従来よりも利益が増加する」という解釈のようです。

これから判断すると、翻訳でボリュームディスカウントが成立するケースは存在しないと思われますね。

もし、翻訳会社からボリュームディスカウントを持ち掛けられたら、上記のような情報をもとに、彼らが考える「合理的理由」の説明を求めるようにしましょう。


2件のコメント

単価上げ交渉マニュアル…なんちゃって

大上段に構えたタイトルをつけてみましたが、これは、ほんの冗談です(笑)

昨今、業界の景気が上向いている感じを受けることと、2020年の東京オリンピックに向けて翻訳需要が高まり、売り手市場になっていく可能性を考えると、単価相場も上昇していくのではないかと期待しています。そんな中、単価上げ交渉を積極的に仕掛けていくチャンスかもしれません。

単価上げ交渉を考える際に考慮すべきこと。

  • 単価ばかりが判断材料ではない。
  • そのエージェントの問合せ開始から納品〜請求処理〜アフターサービスまでに拘束される時間(手間)が少ないこと。
  • 余計な作業時間を必要としない原稿のスタイルであること(煩雑な前処理を必要とするか。取扱いの難しいファイル形式でないか)
  • 簡潔明瞭で付帯業務の発生しない翻訳指示であること(分かり辛く誤解を招くような指示ではないか。文書管理に絡む指示が入ってないか)
  • 仮にそれらの翻訳に付帯する作業が発生する場合、それぞれの作業費が明確であり、事前に提示されること。
  • 打診時、もしくは依頼時に作業内容と報酬額(単価と分量)が提示されること。
  • 依頼時に必ず発注書を送付してくること。
  • 支払いは期日通りに正しくされること。
  • 消費税は正しく支払われていること。
  • 消費税は外税であること。
  • 内税であっても、消費税増税時は増税分を正しく転嫁して単価を上げていること。
  • クライアントのクレームを丸投げしてこないこと。
  • 有益で的確なフィードバックを多く返してくれること。
  • 担当者が信頼できる人であること。
  • ビシネスパートナーとして対等に取り扱っていること。
  • トラブル発生時、クライアントとエージェント側の責任を明確にし、翻訳者へ一方的な押し付けをしてこないこと。
  • 自分がそのエージェントにとって必要とされている翻訳者であるかの自己評価。

つまり、その翻訳会社の取引先評価や報酬以外に得られるもの、そして翻訳案件に費やす時間から算出される時間単価を総合的に判断し、そのエージェントの単価が高いのか安いのかを判断することになるでしょう。単価は高いけれど周辺作業に時間が掛かり、その作業費用を支払ってくれないエージェントだった場合、単位時間当たりの単価を見た場合、とても低いものかもしれません。また、自分が必要とされている翻訳者かどうかの自己判断も大切になってきます。エージェントから見た時、替えがいくらでもいるような翻訳者では、レートを上げる事は難しく、仮に上げても仕事を頼まれないという状況になるでしょう。単価上げ交渉は、仕事量減少(無くなることも含む)のリスクがありますので、取引先をある程度確保できている状態で考えた方がいいでしょう。また、タイミングも仕事の依頼が増加傾向にある時が良いでしょう。

レート上げ交渉における枕詞をいくつか考えておくといいでしょう。

  • 現在取引している翻訳会社の中で一番低レートであるため、お仕事は他社さんを優先させていただいています。
  • XX円以下のレートのお仕事はお請けしないことにしております。

なお、単価交渉は自己責任でお願いいたします(笑)