翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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暇つぶし

今朝、通勤電車で隣の席に座った五十代と思わしきサラリーマンが、iPad miniを片手にカードゲームをずっと楽しんでいた。その姿を横目で見ながら、『長い通勤時間を潰すのにiPad miniを買ったのかな?』などと、他人事だからほっとけよ!と言うような事に思いを巡らしていた。

そこで、ふと思ったのです。

「暇つぶし」…時々、耳にする言葉だし、昔は良く使っていた記憶がある。でも、最近はどうだろう?と。

私の中では、最近はほとんど使わない言葉です。よく考えてみると、手持ち無沙汰で潰さなくてはならないような時間なんて、最近、ない気がする。勿論、積極的に「何もしない」時間を作る事はあるけれど、それは「潰す」対象とはちょっと違う。毎日、隙間時間をどう見つけて、そこにやりたい事を突っ込むか、そんな事を当たり前のように意識している自分がいる。

そして、その言葉をよく使っていたであろう若かりし日を思い起こし、「なんと無駄な時間の使い方をしてきたのだろうか」と自責の念に駆られるのでした。

今の私の意識面では、「時間を潰す」という言葉の意味を考えた時、それがとても「悪」な事で「無駄」な事で「勿体無い」事のようにしか感じられないのです。年齢のせいもあると思います。でも、時間に対する概念が、若かりし頃と明らかに違うのが一番大きい。潤沢に水を湛えた湖も、歳と共に枯れようとしている事への焦りもある。水の流れる先が増えた事もある。比例して自分に使える水が限られてきた事もある。やりたい事が増えた事もある。やりたい事がハッキリしてきた事もある。

そんな想いの中、気を付けていること。漠然と実行していること。それは…

やりたいと思ったら、まず、やってしまえ!

という事。考えるより実行。その結果からその先の継続を判断すればいい。条件が合うなら、やってしまおう…そんな風に考えてる。「想像」は「経験」を越えられないからね。自分の人生観の肥やしにもなる。


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JTFセミナー「翻訳の原点を見つめる」

ブログの下書きに入れたまま放置していた記事ですが、内容がそれなりに役立ちそうなので、そのまま公開します。

〜〜〜

12月17日に開催されたJTFセミナーに参加してきましたので、簡単にご報告します。

講演テーマ:「翻訳の原点を見つめる」
講演者:ウレマン・ブレッドさん

What we do
作者と読者をつなぐもの。それが翻訳者である。
好きな分野の文章を好きなだけ読める。それを他言語へ翻訳することでお金を貰えるなんて、ありがたいこと。

What it takes
スイスアーミーナイフは、ジェネラリスト
バターナイフや中華包丁のようなものはスペシャリスト
翻訳者も専門知識を持ち、専門性を持ってやらなくてはならない。
それぞれのナイフには、それぞれ特有の使い方がある。分野や文書内容により書き方があるのと同じ。

単語より複語
翻訳は単なる言葉の置き換えではない。

「八方美人」…そのまま訳しては「Beautiful person in eight directions」のような事になる。言葉が何を表現しようとしているかを考えて翻訳しないといけない。

“Dear John”…レターの書き出して良く使われるが、これには、お別れのレターの意味もある。言葉の本当の意味を理解して訳さなくてはならない

IADOTC : It all depends on the context

punch below/above its weight

佐高 信「この人たちの日本国憲法」
光文社

〜が、〜
この「が」を意味も考えず、but と訳したがる。原文のコンテキストを考える。それは文章の時代的な背景なども正しく考慮して訳出する必要がある。

英訳時、わからない単語がある時は、そのまま残して、まずは全体の流れを掴む。1つの単語を調べるのに時間を掛けていると全体の流れを忘れてしまう。

業として
専門性を持ってやった方がいい

品質:
翻訳者として、どこの品質を目指すのか。どの品質に自分を位置付けるか?
自分の品質のレベルを決めなくてはならない。誰かコンペティターなのか?

母国語へ訳す方が質の良い翻訳ができる。

最終読者までを考えた品質

エージェントに使われているという発想は逆転して欲しい。翻訳者がエージェントを使っているという発想にして欲しい。どのエージェントが良い仕事を持ってくるか、そういう良いエージェントにマージンを払っているという考え方にして欲しい。エージェントを雇っているという発想にして欲しい。

日本人の日英翻訳者へのアドバイス
日本語原文の本当の意図と意味を考えて欲しい。
英語の面白い表現を見つけたら、本当の日本語と脳内で繋げる。正しい日本語の表現と、正しい英語の表現を頭の中で繋げていく。

Q:ネイティブ言語への翻訳が質のいい翻訳ができるという話の一方で、日本では日本人による日英翻訳がある程度の需要を持っている。その理由として聞かれるのが、英語ネイティブでは日本語の読み込みが足らないからだという話もよく聞くが、どう思うか?
A:英語ネイティブでないと正しく表現できないという一面もある。どっちもどっち。
レートが安いから、ネイティブの和英翻訳者が少ない。そこが原因しているのではないか。正しく和文原文を読みこなし、正しく英語表現されるネイティブによる日英翻訳は、十分な価格が払われれば、なされる筈である。

一般人が認識する翻訳は、「書籍翻訳」

自分の専門分野の文書は両国語で読むべし。
目指しているものを読んで、真似をする。


1件のコメント

翻訳勉強会 十人十色&SKITコラボ しんハムさんセミナービデオ公開

大変お待たせを致しました。

11月26日に行われた翻訳勉強会「十人十色」と関西通翻勉強会「SKIT」の初のコラボセミナービデオが完成しましたので公開いたします。

セミナーテーマ:「生き残り戦略~その2:価値ある翻訳者になりたいよね」
講演者:小林晋也さん

 


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HCが外税方式に移行

Buckeye さんこと、井口耕二さんのブログ記事「業界最大手が外税方式へ移行」を拝読しました。
業界の先端を走る翻訳センターさんが率先して外税方式に移行された事は、非常に素晴らしい事だと思います。

これは、翻訳者への報酬支払において消費税の取扱いを外税方式にするという事です。この消費税の取扱問題は、かなり昔から見られるようですが、来年4月に予定されている消費税率5%から8%へのアップ、及びその後に予定されている10%へのアップ、そして将来的にも更なるアップが予想される現状、正しく消費税が取扱われる外税方式への移行は、とても重要な事です。

この翻訳センターさんの移行に伴い、同業他社が揃って「外税方式」へ移行するよう、我々も働きかけていかなくてはいけませんね。
また、翻訳者さんもこの情報を交渉の材料として利用する事も考えてほしいところです。