翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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JTF基調講演を聴講してきました。

昨日、日本翻訳連盟の基調講演に行ってきました。

今回の講演内容は、JTFが五年振りに行った業界調査「第4回翻訳業界調査」に基づいた分析結果「翻訳白書」の内容説明で、非常に興味を持って参加しました。

具体的な調査内容は「翻訳白書」として、JTFのホームページから、非会員でも購入できますので、興味のある方は入手してください。

基調講演で、私が一番印象に残ったのは、調査データから独自解析を行い紹介いただいた井口耕二さんのお話です。翻訳白書に載ってない解析データだったので、とても興味深かったです。

翻訳者の労働時間と収入の関係、翻訳単価と収入の関係、翻訳速度と収入の関係、どれも興味深い。(データを欲しいけど頂けないだろうなぁ…)

単価が高ければ、速度が速ければ、やはり、高額所得者層側へシフトしていく傾向が見られる(当たり前と言えば当たり前ですが、データでしっかり裏付けされた)。

印象的だったデータは、単価と年間所得額の相関等高図グラフ(だったと思う)。年間所得額の山が単価の上昇と共に上昇するものの、ある時点から頭打ちとなり、そして、ある単価以上でポンと高くなるようなグラフだった。これは、市場構造として、価格競争帯域の先に、翻訳の品質重視でそれにあった対価を支払うセグメントがあると言う事を示しているようで、とても興味深かった。

データは、分析して初めて価値を生むので、今後もJTFが、法人的視点と個人翻訳者としての視点と両方で、同様なデータ分析を行って公開してくれると嬉しい。


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大イベント前にやっておこう

いよいよ、今月21, 22日に IJET-25 TOKYO が開催されますね。出席を予定されている方も多いと思います。

こう言ったIJETとか翻訳祭など、多くの同業関係者が集まるイベントのひとつの魅力は、ネットワーキングです。日頃SNSで繋がってはいても会うことのない、会うことのできない翻訳者さんや翻訳関係者の方々と親交を深める良いチャンスでもあります。

このネットワーキングを、より効果的なものにするために以下の事をお勧めします。

1. イベント開催の2〜4週間前から、SNSのアイコンをご自身の写真に変える。

期間限定で顔を公開し、参加者に覚えてもらう事で、当日の対面で認識され易くなり、その後のコミュニケーションもスムースです。何よりも良いことは、相手の方から自分を認識して貰える事です。知らない人ばかりの中で自ら声を掛けるのはなかなか勇気のいる事ですよね。そんな気苦労が少し減るわけです。

Twitterのような不特定多数が閲覧するサイトでの自分写真の公開はリスクをよく考えて行う必要があります。よく分からなければやめましょう。ただ、公開範囲を限定できるFacebookなどでは、アイコンを自分写真へ変える事を考えてみると良いですね。

自分写真には踏み込めない…そんな方は、アイコンのままで良いですが、人の記憶に残るアイコンにしましょう。例えばシンプルな図柄なれどご本人の特徴が表現されているとか、ご自身の似顔絵などは結構効果的です。

2. SNSのアイコンを入れたSNS名刺を作りましょう。

ビジネス用名刺とは別に、SNS名刺を作りましょう。名刺は、あなた本人とSNS上のあなたを繋げる大切な情報リンクとなります。イベント後に名刺を見て「あぁ、あの人だ」と思い出して貰うには欠かせないものですね。

この辺りの考え方は、過去に以下の記事を書いていますので、参考にして下さい。

名刺って役に立ってるの?
イベント参加に先駆けてSNS名刺を持とう
Twitter名刺は必需品

翻訳横丁の裏路地を「名刺」で検索

私は二年前から全てのネット上のアイコンを自分の写真に統一し、業界紙へ記事を載せて頂く際も同じ写真を使って頂いたり、名刺の写真も同じものを使っています。それ故に皆さんの認知度は高く、イベントでは声を掛けて頂く事が多くなりました。有難い事だと思います。

私は6月20日のIJET前夜祭と、21日のIJET基調講演のみ参加する予定です。会場で私を見掛けましたら、お気軽に声を掛けて下さいね。

では、IJET-25でお会いしましょう。


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今更のSDL XLIFF Converter for MS Office

Trados 案件は以前から取扱っているのですが、最近、WildLight を使って処理できないかなぁとググったのがきっかけで、SDL XLIFF Converter が手放せないツールになってしまいました。(そもそも WildLight を持ち出す事自体がナンセンスなのですが(笑))

SDL XLIFF Converter for MS Office

これは、Tradosのバイリンガルファイルをワードやエクセルに変換してくれるありがたいツール。簡単に言えば、対訳表みたいなものができる訳です。一旦、ワードになってしまえば、あれこれと WildLight で処理できるので重宝しているんですね。そして、未だやった事はないですが、変換したワードファイルからバイリンガルファイルへ戻せるらしいのです。そうなると、色々と便利な事が出てきますよね。

先日お会いした Trados使いの方がご存知なかったので、ブログ記事にしておきました。

 


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出たね、通訳翻訳ジャーナル 2014年7月号

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通訳翻訳ジャーナル7月号が発売になりましたね。

「通訳者・翻訳者の収入&料金」ととても気になる記事があるので、購入しなくちゃ!(笑)

私もどこかのページで関わっています(笑)
分かるかな〜??

(日頃からの私の言動を知っている人には簡単過ぎますね)

 


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チェックシートは品質保証にあらず

5月某日某社にて WildLight 社内セミナーをさせていただきました。その時に「おまけ」として話した「チェックシートは品質保証にあらず」をここでも紹介します。

チェックシートは品質保証にならず品質問題が発生すると「チェック(マーク)をつけよう」とか「チェックシートにしてチェックさせよう」という発言をする人を良く見かけます。あたかもそれが品質対策の一般常識のような勢いで、まことしやかに登場する「チェックシート」ですが、私は品質対策として期待通りには機能しない代物と考えています。

人間には、規則的連続動作を繰り返すことで、無意識でも同じ作業を繰り返し行うことができる「手続き記憶」の能力があり、製造業のポカミス対策では、その能力を利用した方法を行っています。例えば、複数箇所のビス(Screw)締め作業の場合、「ビス締め忘れ」(ポカミス)を防止する手段として、ビス締め順番を決め、その順番に沿って作業をするという指示を作業手順に盛り込みます。これは、作業実施者がその決められた順番で繰り返し作業する事で、その作業手順が手続き記憶として記憶され、積極的に意識をしなくても(無意識でも)決められた作業手順通りに作業が行えるようになります。ここで重要なのは、もし、作業している中で1本のビスを忘れてしまった場合、手続き記憶との不整合が発生し、作業実施者にはその部品忘れ、作業忘れが「違和感」として認識できるという点です。つまり、かなりの確率で自分のミスを自己検出できることになります。

この手続き記憶が、チェックシートにはマイナスに働きます。チェックシートの目的は、何かを「確認」し、その証拠を「記録」することですが、そのフローを大まかに書いてみると以下のようになるでしょう。

  1. チェックシート確認項目を読み、理解する
  2. 確認する(チェックする)
  3. 結果をチェックシートに記録する(レ点を付ける)

このフローの中で、手続き記憶が関わるのは3のみです。1と2は精神的プロセスなので肉体的動作を伴わず、手続き記憶として記憶に定着しません。また、精神的プロセスを必要とする作業項目は人間の意識に高く依存していて、人間が意識的に思い出し、また意識的にそれを脳内で実施しない限り簡単に欠落してしまいます。つまり、無意識に動作完結する物理的作業と、継続的意識を必要とする精神的プロセス作業が混在していることが、チェックシートの品質保証上の意味をぐらつかせていると考えるのです。

トラブル発生直後のチェックシート(チェックマーク付け)追加は、問題が新鮮であるが故に意識面で緊張を与えるため、その緊張が緩和されるまでの間、精神的プロセス作業は正しく再現され品質保証の効果を示します。しかし、その緊張が途切れた時、手続き記憶された物理的動作は継続されるものの、精神的プロセス作業は行われなくなるのです。現象として何が起こるか? それは、確認行為がされていないのに、チェックシートにレ点がついているものが出てくるということです。つまり、作業実施者の頭の中では「チェックシートへレ点をつける作業」に置き換わってしまったということです。

このような背景から、品質保証のために「チェックシートを実施する(チェックマークを付ける)」という発想はとても安易ですし、余計な作業工数が増える割に効果が無いことになります。

ただし「チェックシートにする」目的が、検査・確認する項目が標準化されておらず、それらをリスト化し明文化するのであれば、話は違います。「チェック内容とその基準が明確に指示されていない」という問題への対策となりますから、 品質保証上、重要となります。(ただ、チェックシートじゃなく、作業手順書で良いわけです)

さて、ここまで書いてしまうと、「チェックシートなんてやったって、品質が良くなる訳じゃないんだから、やらないよ!」という話をされてしまいそうですが、チェックシートには「記録」の意味があります。品質管理上の「エビデンス」という位置付けが大きいです。ISOや社内規程の要求事項として「品質記録」に位置付けられている場合は、品質管理上、必要です。

要は「チェックシート」もツールですので、その目的が何か?を正しく理解し、その目的に合った正しい使い方をすることが大切です。少なくとも「品質を良くするためにチェックシートにチェックマーク付けさせて…」という、ツールの特性と目的がアンマッチな発想だけは、避けたいものです。