最近、某クライアントと話をしていたら、ある翻訳会社は「英数字をカウントしない」(和文英訳、英文和訳)と言う話を聞かされた。まぁ、ビジネスにおける顧客に対する値引き口上としてはありえるだろう。但し、このクライアントの担当者のように翻訳に対する知識がない人だと、既に勘違いを引き起こしている。
仕方がないので、本来の考え方とそのエージェントの想定される考え方を説明しておいた。
時期を同じくして、ある翻訳者さんのSNSの書き込みに「英数字をカウントしない」と言うエージェントからの申し入れがあって断ったと言う話が書いてあった。そんな話を他の翻訳者さんからも過去に何度か聞いた事がある。
翻訳を知り、翻訳のプロである(べき)翻訳会社が、何故「英数字はノーカウント」などと言う翻訳の素人的発想を白々しく翻訳者へ押し付けてくるのか?
翻訳をやっているものなら誰だって分かる。原文にある英数字だろうが記号だろうが、訳文のどこに配置するのかを判断し決定するのは、紛れもなく翻訳を行っているのと同じなのだ(時にはスペルアウトだってある)。機械的に転記している分けではない。ならば、翻訳費用が支払われて然るべきである。
それを「英数字はノーカウント」などと言って支払いを行わないエージェントは、到底翻訳を理解しているとは思えないので、納める翻訳物の真っ当な評価もできないだろう。つまり、翻訳の価値が分からないエージェントである可能性が高い。それは、お付き合いする上で色々と理不尽な問題を引き起こすだろうし、レートに対する考えにも影響してくる。
こんな翻訳会社に出会ったらどうすればいいだろう?
⑴ 原稿に英数字がないものとして翻訳をします。ただ、文章として成立しないので翻訳できません。従って、お断りします。
⑵ 訳文から全て英数字を抜いてお納めします。
と言うような反論を繰り広げるしかないだろう。
翻訳者さんには、こういう案件を安易に受けて欲しくないと思う。翻訳として考え方が間違っているものを請けるという事は、暗に自分達の仕事を冒涜する事に繋がると思う。
前述のクライアントには、値引きの常套句にしているエージェントもあるようだが、翻訳のプロセスから考えればあり得ない事。だから、翻訳を知らない可能性がある。質も心配だし、トラブった時の対応も心配だ…と辛口な説明をしておいた。