翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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JTF翻訳ジャーナル No.280 2015年 11月/12月号公開

 

JTFジャーナルWeb

日本翻訳連盟の「JTFジャーナル」 11/12月号が公開されました。
私のコーナー「翻訳横丁の表通り」の本年度最後を飾るのは、大久保克彦さん執筆による「EPWING 辞書のご紹介」です。

無料でお読みいただけますので、どうぞ、お気軽にダウンロードしてお読みください。


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駅前駐車場から学ぶ、パート2

日本翻訳者協会(JAT)が発行している2015年の「翻訳者の目線」へ寄稿した「駅前駐車場から学ぶ」は、このブログ用に下書きした記事が元になっています。

その記事で紹介した駅前駐車場で、また金額を一日200円に変更するという告知が貼られていました。

そこから50mも行かないところに一日200円パーキングができて以来、朝見る車の量が激減したものの、平日なら日中はある程度、車の量が回復するようす。しかし、問題は多分休日なのでしょう。以前はほぼ満車になる休日が、最近、私が利用した範囲では「満」表示を見たことがなく、空きがかなり目立つ状態です。きっと、売上額に大きな違いが生まれ、値下げを決定されたのでしょう。

さてさて、今日のお話は、ここからです。

面白いのは、フェンスを隔てた隣に、同じく一日300円の時間貸し駐車場があり、そちらは利用する車の量にあまり変化が見られないのです。

隣の駐車場との違いは、その立地条件と規模。隣は駐車スペースが二倍越えの広さで、駅から通じる道の突き当たりにあって直ぐに分かる。それに、出入口が広い。一方、問題の駐車場は、隣の駐車場のフェンス沿いに細長い一本道が8mほどあり、その先にゲートがある。出の車がいると入れない袋小路な作り。初めてだと何処から入れば良いか見つけるのが容易ではない。大きな看板を立ててはいるがゲートの傍で、通りからは遠くて気が付かない。それに、通り沿いに隣の駐車場の大きな看板があって、そちらに目が留まる。

隣の駐車場が1日300円の価格ながら、駐車する車の数に大きな変化が見られない理由は、なるほどと理解できるものだと思います。

JATの「翻訳者の目線」では、「差が評価されるセグメントへ移る」というキーワードで記事を書きました。でも、上記の状況を見ると、顧客はコスト以外の何かに差を見出して利用しているのが分かります。立地条件の良さを積極的に利用する、もしくは悪さを克服する。顧客にすぐに見つけてもらう。分かってもらう。

立地条件を翻訳で考えれば、多分、取り扱える分野や得意分野、そんなところに話は繋がるのではないかと思います。そこを継続的に伸ばし深耕していくことが大切でしょう。そして、それらを効果的にアピールする。ブログでの発信やSNSでの発信なども大切ですよと、以前、「翻訳者よ、実名でブログろう」という記事を書きましたが、これは業界という大枠で捉えた場合の話で、そんな大きな枠でなくても、例えば、ある翻訳会社内という限られた範囲で考えてみても良いと思います。単価と品質が拮抗する翻訳者ゾーンにいるなら、何かしら差別化をする努力は必要です。自分の得意分野とその実力を上手く認識してもらうために、何か行動に移した方がいいでしょう。それは問合せの内容であったり、翻訳物に対するコメント付けだったりするかもしれません。会社訪問して説明をするという手もありかもしれません。

以前、遠方に住む翻訳者さんが上京されて挨拶に来られたことがありました。お顔を見ながら膝を交えて話をする。そこで過去案件の話や分野の話、得手不得手などいろいろと情報交換したことで、その翻訳者さんが担当できる分野イメージが明確になったことと、どの程度の実力をお持ちかを間接的に判断でき、仕事の依頼へつながりました。あがってきた翻訳物は期待を裏切らない素晴らしいもので、その後、継続的に仕事をお願いし、今ではなくてはならない翻訳者のひとりになっています。

どこまで行っても、「翻訳の品質」は優先順位第一位ですし、それが最高の営業ツールです。でも、それを顧客やエージェントに認識して貰うための手段は、あれこれ考えて実行する必要があるのです。袋小路に良い翻訳者がいたって、誰にも気づかれなければ普通の人と同じってことです。今の時代、SNSやブログという手段もありますし、ネット上の翻訳コミュニティもあります。そういう業界的発信と同時に、エージェントやクライアントとのコミュニケーションの中で実行できる営業手法も真面目に取り組むことが、とても大切だと思います。


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トライアルの期限

翻訳会社と仕事を始める場合、トライアル翻訳は避けて通れないものだと思います。そのトライアル翻訳の内容ややり方は、翻訳会社により考え方がまちまちで、また、募集する翻訳者の特性や依頼予定の翻訳案件の特性によっても変えている場合があります。

トライアル翻訳に設定されている条件は、そういった特性を反映している可能性があると理解しておいた方がいいでしょう。以前、「たかがトライアル、されど…」という記事を書きましたが、トライアル翻訳の期限などは分かりやすい条件かもしれません。

通常であれば「日数」で設定される期限が、「時間」で設定される場合があります。そういう条件の場合、翻訳速度も必要特性として見ている可能性が出てきます。(例え、通常翻訳の速度から判断して余裕がある期限設定であってもです。重要なポイントは、なぜ翻訳会社は日数ではなく時間制限を選択したか?というところです。)

私が翻訳者の立場なら、そういう条件を課せられたトライアル翻訳から感じ取れる翻訳会社の思惑や意図、それに要求特性から、もしトライアルに合格しても、納期に厳しい案件を優先的に依頼される可能性があると感じ取ると思います。翻訳会社側は、そこそこの質でサクサクと短納期の仕事をこなしてくれる翻訳者を探しているのかもしれません。そんな翻訳会社の意図を類推して、自分の志向や意思に合致しているかどうかが、トライアルを受けるか否かの判断に繋がると思います。簡単にいえば、他の条件も鑑み、そういう仕事を自分がやりたいか、やりたくないかで考えれば良いと思うのです。

一方、同業者の立場で「時間」期限を設定してくる翻訳会社を考えてみると、私には、この時間制限は単に速い翻訳者を探しているようにしか思いつきません。求められる翻訳品質をどこにおいているかにもよりますが、少なくとも翻訳会社側の意識は、「質」より「速度」であることに、間違いないと思います。また、十分な期限を設定しない裏には、翻訳者の都合に関係なくトライアル翻訳を捻じ込むような意識が見え隠れしているように感じられて、その会社の翻訳者に対するスタンスが現れているとも解釈できます。

翻訳会社も、条件を設定する以上、その条件の目的と意図したとおりに機能をするかをちゃんと判断する必要があります。本当は優秀な翻訳者が欲しいのに、目的に合わない条件を付けたために避けられてしまうということも実際におきているのを見掛けます。先の「時間制限」も同様に、果たして翻訳会社の本当の意図に合致しているのかはとても怪しい気がします。


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JAT「翻訳者の目線」が公開になっています。

日本翻訳者協会(JAT)が毎年発行している「翻訳者の目線」が、今年も公開になっています。

今年、私が寄稿したのは、実は、このブログ記事として下書きして1年以上放置していたものを、若干加筆・修正したものです。

無料でお読みいただけますから、ぜひ、ダウンロードして読んでみてください。

JAT 「翻訳者の目線」


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【十人十色】翻訳者さんの質問に答えてみる

10月1〜2日に翻訳勉強会「十人十色」の広島・大阪遠征が行われました。この遠征に先立って、参加される翻訳者さんから質問を受け付け、それに対して会場で回答するというセッションが持たれたようです。

私もエージェントの立場で回答をして、今回遠征された井口さんへ託しましたが、紹介されたかどうかは不明です。ここに私の回答内容と補足説明を記したいと思います。

1)翻訳スピードが遅い

  • スピードが遅いので分量がこなせず、収入アップが難しい。
  • 専門として絞れる分野がないため、来る案件の半分以上が新しい案件となり、ゼロから調査が必要で非常に時間がかかる。

1. 収入=翻訳速度×単価×稼働時間

収入をアップするには、速度を上げるか単価を上げるか稼働時間を長くするかの三通りしかないのでしょうね。速度を上げられないのであれば単価(品質)を上げる。それもダメなら馬車馬のように長時間働くしかないでしょう。

自分が目標とすべき単価と速度は、自分が目標とする年収をまず考え、それから自分の年齢や体力、集中の持続力などの特性や条件を考慮して年間の稼働日数を考え、一ヶ月の稼働日数を考え、一日の稼働時間を考えて、それらに基づいて逆算して単価と速度を見積もる、そんな流れになるのでしょう。

どちらにしても、単価を上げ、(品質を落とさずに)翻訳速度を上げる事が、単位時間当りの収入をアップすることになります。

速度アップのポイント:

  • 人間がやらなくて良い事は、機械にやらせる。
  • ツールを使う。
  • ちゃんとした道具を揃える。(コンピュータ、ソフトウェア、辞書など)
  • いろいろな作業を時間制限を設けて集中して行う(だらだらやらない) → 訓練になる
  • 知識の蓄積をする。直ぐに取り出せるようにしておく。(用語の蓄積、訳の蓄積)

品質保証の効率と精度アップ:

  • ツールに人間の手助けをさせる。

2. 時間投資という考え方

自分の時間を仕事に投資しているという意識を常に持つ。その上で、効率的かつ効果的な時間投資を日頃から考える。無駄な投資になっていないかを考える。時間に対する意識が変われば、違ったやり方を考え出そうとするものですね。

3. 専門性の創出

スペシャリストであるべきかジェネラリストであるべきかは、取扱言語でも考え方は変わるようです。

翻訳者数が多い英語のような言語の場合、スペシャリストを目指し、希少言語の場合は、ジェネラリストを目指す。要は、自分が提供できる翻訳分野の需要をどう束ねるかでアプローチは変わるでしょう。専門分野は、自分が持っている知識のエリアや、強く興味を持つエリアから勉強して、徐々に隣接分野に拡げていき、コツコツと積み上げていくしかないと思います。

4. 調査力の向上

  • 突然、行き当たりばったりに調査を始めていないか?
  • 毎回、戦略を立ててから調査する。
  • その繰り返しが、効率的で正確な調査手法の構築に役立つ。
  • 調査に使用する情報ソースを日頃から増やす努力をする。

2)最近突然、仕事の依頼がほとんどゼロになってしまった(翻訳歴5年以上)クライアント様から特にクレームがあったわけでもなくパッタリ。

【ポイント】

  1. 1社もしくは限られた翻訳会社/クライアントへの依存体質からの脱却する。
  2. 「クレームのない」事が本当に問題がないことではない。
  • 日頃から取引先を増やす活動をする。→単価アップへもつながる。
  • 「クレームがない」から仕事がきているのか、「仕事の質は並だけども、仕事量が多くて溢れている」から仕事がきているのか、はたまたほかの理由なのかは判断が難しい。「連絡が無いのは良い知らせ」ではない。

エージェントとの関係にもよりますが、クレームがある場合というのはかなり酷い状態だと考えた方がいいと思います。ですので、連絡がないから「品質が良い」とか「満足して貰えている」と短絡的に解釈しない方が良いと思います。

3) 時間管理がうまくできていない。机に向かっている時間は長いものの、集中できない時間が長い。また、 毎日どれぐらい処理できて、全体の内どの程度進んでいるか、進捗管理のよい方法が見つからない。

【ポイント】

  1. 作業ログを付ける。ここに紹介されているWorkTimerを使ってみる。
    https://terrysaito.com/2013/06/06/作業時間計測ツールのすすめ/
  2. 進捗管理用のエクセルシートを作るなどして、管理する。
  3. 将来案件の予測、見積のベースデータとなる。

 4) 自分の翻訳がこれで正しいのか、どうすればもっと分かりやすい表現になったのかを指導してもらうことがなく、常に不安

【ポイント】

  1. 添削のある通信講座、セミナーを数多く受講する。
  2. 独り善がりな翻訳をしない。
  3. 一時的に投資をして、自分の翻訳を他者(例えば翻訳会社)にチェックしてもらう。

比較対象がないと善し悪しが判断できませんから、自分の翻訳を第三者がチェックしてくれる機会を持つしか方法はないように思います。

5)専門分野をどのように絞るか、あるいは増やしていくか、悩んでいる

【ポイント】

  1. 多角化の考え方は、既に持つ知識を活用できる近い分野を選んで学習する。
  2. 自分が好きで好きでたまらないこと(趣味だろうが何でもいい)へ絞る、または、広げていく。

6) 体調管理(肩こりなども含め)とモチベーション・集中力の維持に悩んでいる

【ポイント】

  1. 適度な運動を一日に一回は組み入れる。
  2. フリーランス翻訳者にとって「運動」は、仕事として見なして、必ず運動する。
  3. 仕事をする環境を見直す。身体に優しい体制で仕事ができるか、机やいすの高さ、キーボードの種類、モニターの高さや角度、室内の照明の明るさなど。
  4. 52/17ルールを導入してみる。
    http://99u.com/workbook/38813/use-the-5217-rule-to-maximize-productivity

こんなところかな〜?