翻訳横丁の裏路地

We can do anything we want to do if we stick to it long enough.


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「アインシュタイン その生涯と宇宙(下)」の翻訳騒動

「アインシュタイン その生涯と宇宙(下)」に関する翻訳内容に関してネットを賑わせているが、出処はアマゾンのレビュー。

http://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/4270006501/ref=mem_taf_books_u

酷い翻訳内容の実際を紹介した投稿と、そこに翻訳者からの説明が投稿されている。

この投稿をきっかけにいろいろな議論が生まれているようなのだが、翻訳者の説明に「機械翻訳」というキーワードがあったために、機械翻訳の是非やら、機械翻訳の質に対する一般の人々の認識を問題にしている議論もあり、少々違和感を持っている。

そもそも、機械翻訳を使った翻訳文をそのまま商流ベースに乗せる事自体が、分野を問わず、あり得ない事なのだから。

翻訳者の説明がすべて正しいとするならば、問題は、本来、世に出る筈もない質の翻訳が、出版社のずさんな内部品質管理と社内組織の問題で、書籍として商流に乗ったということだろう。

疑問なのは、編集長が社長に出版の再延期を申し入れたのに断られた…という点。

社長が申し入れを断った理由がどこにあるのか?

社長が13章を読んで驚愕したというくだりがあるところから、社長は事態を正しく認識していなかった可能性がある。販売延期を申し入れした際の編集長とのコミュニケーションに問題があるのだろう。

編集長が問題点を正しく社長に伝えたのか?…伝えられない様な社内の雰囲気が出来上がっているのではないか?
社長も、再延期を申し入れられているのは、余程の事情があるのではないか?と親身に傾聴したのか?が大いに疑問である。これは経営者としてはリスクマネージメントができておらず失格だろう。

今回の件で、出版社はどんな対策を取るのだろう。その内容如何では、翻訳本に限らず、この出版社の本を買うにはそれなりの覚悟が必要そうだ。


2件のコメント

鉄は熱い奴に打たせろ!

何事も、好きな奴には敵わない。
好きな事はストレスさえも感じることなく、全ての神経を集中し、自分を投入する。
それはどんな人でも同じでしょう。

ならば、そういう人材に然るべき仕事を任せるのが、一番効率が良く、高い成果を得られる。

「適材適所」

使い古された言葉だが、まさしくそれです。組織の立場から考えれば、その仕事を熱く語る人間にやらせてみるという意識が大切ですね。

だめですよ、人ごとのようにこの言葉を読んでいては。我々個人レベルでも考えさせられる言葉です。

我々個人レベルが考えるべき事は、一体自分は何に適した材なのか?どこが自分に適した場所なのか?という事でしょう。

一体、自分は何に熱くなれるのか?熱く赤くなった鉄をサウナのような環境で、迸る汗を掻きながら、そんなものを忘れ去るほど一心不乱に叩けるものって何なんだろう?

それを自分で知り、そこへ自らを導く。

どんな言葉も、捉える基準を変えれば、自らに課せられたキーワードが捉えられるものです。


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『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』著者来日イベントに参加して

7月7日に日経BP社主催による『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』刊行記念 著者来日イベント 「ジョブズ流を自分の力に!」へ参加したので、簡単にレポートしておきたい。

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スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション―人生・仕事・世界を変える7つの法則

今回のイベントは、「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」の原著の著者である Mr. Carmine Gallo (カーマイン・ガロ氏)が来日され、ご本人の口からお話を聞けるという事で非常に期待感高く参加させて頂きました。

イベントは以下の3部構成で進められた。

  • 【1部】:「日本の読者のみなさんへのメッセージ」 著者 カーマイン・ガロ氏
    逐次通訳は、滑川海彦(『フェイスブック 若き天才の野望』『ビジネス・ツイッター』の共訳者)さんがご担当されました。
  • 【2部】:トークセッション カーマイン・ガロ氏 × 外村 仁氏 トークセッション(質疑応答を含む)
    「ジョブズ流を自分の力に!」
  • 【3部】:懇親会

このイベントに参加するにあたり、少しでもイベント参加の価値を高めるべく、本を完読しておこうとしたのですが、残念ながら半分程度を読んだところでの参加となりました。しかし、カーマイン・ガロ氏の話は、7つの法則のうち、Principle 1と2の部分に関して説明され、それをベースに二部のトークセッションで、来場者との質疑応答を通じて更に深耕するというスタイルで進められたお陰で、丁度、内容的に全て掌握でき、理解を深める事ができたと思います。

中身については私が下手な説明をするよりも、 USTREAM にてソーシャルメディア大学が配信されているビデオをご覧になる方が良いと思います。

私は職業的に通訳・翻訳という視点でも物を見てしまいますので、その視点から少しだけコメントします。

カーマイン・ガロ氏の話される英語は、とてもゆったりとクリアな発音で話され、聴衆の顔色を確認しながら、理解できなかったと思われる英語は別の表現で再度話をされるという、とても聞き手に立った説明手法をとっておられました。ですので、とても聞き取り易く、私はガロ氏の説明だけに集中して話を聞く事ができました。

滑川さんの通訳は、ガロ氏の話された内容に情報を付与しながら話されていて、全貌を掌握されているが故の通訳だったと思います。

全体的な私個人の感想として、セミナー及び質疑応答を含め、カーマイン・ガロ氏の話の内容はほぼ本の内容に沿ったものでしたので、余り新しい情報は得られなかったですが、その合間に解説に入られた外村 仁さん(現エバーノート日本法人会長)の話の内容は、経験をベースとした話や、少し視点を変えた話などがされて、得るものが多かったと感じました。

「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」については完読した後に感想を記事にしようと考えていましたが、既にかなり読み進めましたので、その内容の価値については理解できています。当初、(失礼ながら)話の展開が予測出来て、ビジネス書然とした在り来たりな話の展開を見せるようなそこら辺に良くあるビジネス書の類だろう?という先入観で読み始めたものの、ある程度読み進めたところで、その先入観が大間違いだった事に気付かされました。多くの知識と刺激を得る事ができました。

ありきたりなビジネス書に飽きた方には、ぜひ、一度お読み頂きたい本です。

今回のイベント冒頭、「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」が20万部突破したという話がされました。私もこの本は存じていますが、読んではいません。ジョブズ氏のプレゼンの巧さはビデオなどを観て理解していますが、この本はそのプレゼン手法に関して書かれた本なのだろうという先入観から、いずれ機会があれば購入しよう程度にしか考えていませんでした。

ところが外村さん曰く「この本はあちらではビジネス書として読まれているようです」と仰る。その発言を聞いて、素直に失敗したと思いました。翌日、仕事帰りに書店に立ち寄り、即購入したのは言うまでもありません。
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則

最後に、三部の懇談会・プレゼント大会では、翻訳者の井口耕二さんとのジャンケン大会で勝ち、カーマイン・ガロ氏のサインが入った原著「The Innovation Secrets of STEVE JOBS」を頂きました。購入しようと思っていただけに感動と感激で大喜びです。
The Innovation Secrets of Steve Jobs: Insanely Different Principles for Breakthrough Success

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また、持参した本「スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション」にカーマイン・ガロ氏にコメントと共にサインを頂き、井口さんにもサインを頂きました。これにも大喜びでした。我が家の永久保存版書籍として保存し、価値が上がったところで売りさばきたいと思います(冗談)。

そして最後の大喜び。それは事前にご本人のツイートで知っていたのですが、古川享さん(@SamFURUKAWA)が参加されていて、間近でお顔を拝見できた事。私のようなマイコン世代からすると古川さんは”神”ですから、もう、その感動と言ったら言葉に表せません(笑)。

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